空き家の維持費やメンテナンス費用を、
市街化区域にある土地58坪、建坪29坪の2階建て、築50年の空き家を例に、わかりやすく解説します。
以下に、維持費の内訳と概算費用を項目ごとにまとめます。
なお、費用は地域や家の状態により異なるため、参考値としてください。
1. 空き家の維持費の主な内訳

空き家を所有し続ける場合、誰も住んでいなくても以下の費用がかかります:
- 固定資産税・都市計画税
- 火災保険・地震保険
- 概要:空き家でも火災や自然災害に備える保険加入が推奨されます。
築50年の木造住宅の場合、保険料は高めになる傾向があります。 - 費用目安:
- 火災保険:29坪の木造住宅で年間約3万~6万円。
- 地震保険(任意):火災保険の50%程度、約1.5万~3万円。
- 合計:約4.5万~9万円/年
- 注意:空き家の場合は補償内容が限定される保険商品もあり、
保険料は会社や契約内容で変動します。
- 概要:空き家でも火災や自然災害に備える保険加入が推奨されます。
- 水道・電気の基本料金
- 概要:空き家でも最低限の水道・電気契約を維持する場合、基本料金が発生します。
通水や換気のために使用するケースも考慮。 - 費用目安:
- 水道基本料金:約1,000~2,000円/月 × 12 = 約1.2万~2.4万円/年
- 電気基本料金:約1,000~2,000円/月 × 12 = 約1.2万~2.4万円/年
- 合計:約2.4万~4.8万円/年
- 注意:全く使用しない場合は契約解除も可能ですが、再契約時に費用がかかる場合があります。
- 概要:空き家でも最低限の水道・電気契約を維持する場合、基本料金が発生します。
- メンテナンス費用
- 概要:築50年の空き家は老朽化が進んでおり、定期的な点検や小修繕(屋根・外壁の補修、雨漏り対策など)が必要です。
放置すると劣化が加速し、売却や賃貸の際に高額なリフォームが必要になることも。 - 費用目安:
- 定期点検(換気、清掃):約5,000円/回 × 年4回 = 約2万円/年
- 小修繕(例:雨樋清掃、簡単な補修):約5万~15万円/年(家の状態による)
- 合計:約7万~17万円/年
- 注意:築50年の場合、屋根や配管の劣化が顕著で、突発的な大規模修繕(例:屋根葺き替え100万円~)が必要になる可能性も。
- 概要:築50年の空き家は老朽化が進んでおり、定期的な点検や小修繕(屋根・外壁の補修、雨漏り対策など)が必要です。
- 管理費用(委託する場合)
2. 総額の目安

上記の項目を合計すると、年間の維持費は以下の範囲になります:
- 最低限の場合:約29.1万円
(固定資産税15.2万円+保険4.5万円+水道電気2.4万円+メンテナンス7万円) - 高めの場合:約64万円
(固定資産税15.2万円+保険9万円+水道電気4.8万円+メンテナンス17万円+管理18万円) - 平均目安:約35万~50万円/年
特定空き家指定の場合:
- 固定資産税が6倍になると、土地の税金だけで約69万円/年となり、総額は約80万~100万円/年に跳ね上がる可能性があります。
3. 費用の特徴と注意点

- 市街化区域の影響:市街化区域は土地評価額が高めで、固定資産税が大きな負担に。住宅用地特例の適用有無を自治体に確認することが重要です。
- 築50年の課題:老朽化によるメンテナンス費用が予想以上にかかる場合があります。特に雨漏りやシロアリ被害は早急な対応が必要。
- 節約のコツ:
- 特定空き家リスク:放置により自治体から「特定空き家」に指定されると、税負担が増すだけでなく、強制解体のリスクも。定期的な管理が必須です。
4. 具体例:シミュレーション

ケース1:最低限の管理(年間約30万円)
- 固定資産税・都市計画税:15.2万円
- 火災保険:4.5万円
- 水道・電気:2.4万円
- メンテナンス(点検のみ):8万円
- 特徴:自分で清掃・点検を行い、保険も必要最低限。突発的な修繕が発生すると追加費用が必要。
ケース2:管理会社に委託(年間約60万円)
- 固定資産税・都市計画税:15.2万円
- 火災・地震保険:9万円
- 水道・電気:4.8万円
- メンテナンス:13万円
- 管理会社:18万円
- 特徴:遠方の所有者向け。メンテナンスや管理をアウトソーシングし、家の状態を維持。
ケース3:特定空き家指定後(年間約90万円)
- 固定資産税(軽減なし):69万円
- 火災・地震保険:9万円
- 水道・電気:4.8万円
- メンテナンス:7万円
- 特徴:放置により税負担が急増。早急な売却や活用が必要。
5. まとめとアドバイス

市街化区域の58坪の土地、29坪の2階建て空き家(築50年)の年間維持費は、
平均35万~50万円
放置によるリスクで最大100万円近くになる可能性があります。
以下の行動を検討してください:
- 税金確認:自治体に住宅用地特例の適用状況を確認。
- 管理計画:定期的な点検や清掃を自分で行うか、管理会社に委託。
もしくは、ご自身で管理・修繕 - 活用or売却:賃貸や売却の可能性を不動産会社に相談。
解体費用(約160万円)と売却益を比較し、経済的負担を軽減。 - 専門家相談:不動産会社や空き家管理サービス(例:NPO法人 空家・空地管理センター)に相談し、最適な選択肢を模索。
コメント