
私の家は市街化調整区域にあるんだけど、
売却できないって噂は本当なの?

ケースにもよりますが、
市街化調整区域内の戸建て住宅でも売れます。
今回は、調整区域内に家と土地を所有しているあなたのために、
家を売却する際の注意点を解説します。
市街化調整区域とは?

市街化調整区域とは、「家やお店をむやみに建ててはいけない場所」のことです。
🗺 なぜそんな場所があるの?
町がどんどん広がっていくと、
- 道が混んでしまったり
- ゴミの回収が大変になったり
- 田んぼや森がなくなってしまったり
といった困ったことが起きてしまいます。
そこで、「この場所には、建物を建てないようにしましょう」
と決められているのが市街化調整区域です。
🏙 市街化区域は積極的に建てる?
市街化区域は「この場所はどんどん建物を建てて、にぎやかな町にしていきましょう」という区域です。
市街化区域にはたくさんの家やお店、
学校や病院などが建てられています。
「本当に売れないの?」売却が難しいと言われる主な理由

①建物の新築・建て替えに許可が必要だから
- 市街化区域以外で建て替え・新築には開発許可・建築確認が必須。
- 調整区域で現在建物がある場合でも、建替え時にも許可取得の条件(都市計画法第34条)が必要
- 条件に沿わないと、買主には将来不安・リスクがある。
②担保価値が低いから
具体的な評価差の目安
- 市街化区域の土地:通常は担保評価額が「実勢価格の70〜90%程度」。
用途地域や開発可能性が高いため評価が高め。 - 市街化調整区域の土地:担保評価額は「実勢価格の30〜50%程度」まで下がる。
なぜ評価が低いのか?
金融機関のリスク評価:担保価値の変動リスクが大きいため、評価を厳しく見ます
建築制限が厳しい:原則として新たな建築は認められていないため、利用価値が制限されます。
流動性が低い:売却や転用が数が少なく、換金性が低い。
“売れる”調整区域の戸建ての特徴とは?!

線引き前に建てられた住宅

線引き前ってなに?
「調整区域の線引き前宅地」っていうのは、ちょっと難しい言葉だけど、
わかりやすく説明します。
①「調整区域」
「家やお店をたくさん建てないで、自然や畑を守ろうね」って決めた場所のこと。
↓
②そのルールが決められた時期っていつ?
※昭和45年頃
↓
③戦後から住んでいる人たちは
「勝手に調整区域に線引きしやがって!」
と激怒!
↓
④申し訳ないから、線引きする前に宅地として
利用している人は再建築できます

なるほど!
普通に家に住んでいたのに、いきなり
市街化調整区域に線引きされたら、
ムカつく!

ですよね。
線引き前宅地は、
救済措置?みたいなものです、
昔、町や市が地図に線を引いて、「このエリアは調整区域にするよ」って決めたときのこと。
この線を引く前の土地が「線引き前」の土地です。
そして、「宅地」っていうのは、家を建ててもいい土地のこと。
だから、「調整区域の線引き前宅地」っていうのは、
線引きされる前は家を建ててもOKだった土地で、
でも今は調整区域の中に入っちゃってる土地のことです。
線引き前の宅地の調べ方は?
「自分の家の土地が線引き前宅地なのか?」
調べる方法は以下です。
1. 市役所や町役場に聞く
- 役所には、土地のルールや昔の地図がたくさんあります。
- 「この土地は線引き前宅地ですか?」って聞くと、教えてくれます
- 土地の住所(地番っていう番号)を調べてからいきましょう
2. 地図や書類を見る
- 「都市計画図」でいつ線引きされたか、どのエリアが調整区域かわかります。
- 昔の地図と今の地図を見比べると、線引き前にどんなルールだったかわかるよ。
- 「登記簿(とうきぼ)」で過去の履歴を調べればわかります。
3. 専門家に聞く
- 土地のことを知ってる「不動産屋さん」や「土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)」っていう専門の人に聞くと、詳しく教えてくれるよ。
- お父さんやお母さんに「この土地のこと、専門家に聞いてみたい!」って言ってみてね。
後は、戦後からおじいちゃんたちが家を建てて住んでいるかどうか?
またはご近所で建て替えが行われたか?などで
わかります。

線引きのタイミングは昭和45年のケースが多いです。
とはいえ、市町村によって異なるため、
市役所や不動産屋さんに問い合わせましょう。
市街化調整区域住宅を売却するときの3つのポイント

市街化調整区域住宅を売却するときの注意ポイントをご紹介します。
①市街化調整区域のメリットを強調する
- 土地価格が割安
- 静かな住環境
- 都市計画税がかからない点をアピールすると良い

調整区域はランニングコストが安く、
静かです。
②再建築は原則できない
古い家を解体して、更地にし、売却・・・
昔開発許可が下りていれば、再建築できるのでは?
と思われがちですが、将来的にどうなるかわかりません。
そのため、解体せず、そのまま引き渡し、
買主が解体することで、「建て替え」扱いになり、
多少ハードルが下がります。
③安く売却して、リフォームを提案
線引き前宅地なら、再建築できるケースが多々あります。
そうでない場合は、売却額を下げて、リフォームを提案する方法があります。
※安ければ、居住用で住みたいファミリーは意外と多いです。
調整区域の家の売却可能性を高める3ステップ

- 許可要件の確認
- 建築前後の状況、再建築条件の可否を自治体に相談。
- ターゲットを絞る
- 安い家が好きなファミリー、安く土地を買いたい人など、
調整区域を好む層に焦点を当てた売却戦略を
- 安い家が好きなファミリー、安く土地を買いたい人など、
よくあるQ&A

Q1. 調整区域で売却すると開発許可が必要?
→ 既存の建物をそのまま売るだけなら不要。
建て替えやリフォーム目的だと許可が要るケースも。
Q2. 建替え不可=買い手が見つからない?
→ 既存のままで住み続ける買主ならOK。
土地に使い道があれば条件付きで購入可能なケースもあり。
Q3:役所での調査の仕方は?
□担当部署:都市計画課、開発指導課、建築指導課など
□調査内容:
・区域指定の状況:都市計画法34条11号・12号などの対象か?
・開発許可の有無:開発許可や建築許可が下りているか
・法的制約の確認:建築基準法43条(接道義務)や都市計画法34条の状況
・線引き前宅地:線引きした年月日を聞いて、対象土地が線引き前かヒアリング
→登記簿謄本の所有者履歴でわかります。
Q4:60条証明とは?
市街化調整区域で家や建物を建てるときに、
「この建物はルール通りだからOKだよ!」と証明する紙のことです。
- 特別な場合(たとえば、農家の人が家を建てる、昔からある家を新しくする)はOK!
- 60条証明は、「この家はルールを守ってるから建ててもいいよ」と市や町の役所がくれる大事な書類。
- たとえば、おじいちゃんが家を新しく建て直すとき、役所に「昔からここに家があったよ」と証明して、60条証明をもらうケースなど

家を建てる前に、役所に60条証明をもらって、
「この家はOK!」って確認してから建築を始めるわけです。
まとめ

- 市街化調整区域でも戸建ては売却できるが、条件や戦略が重要。
🏡 なぜ「売れない」と言われるのか
- 建替えや新築に許可が必要なケース有
- 担保価値が低い
市街化区域の土地担保評価は70~90%なのに対し、調整区域は約30~50%と大きく下がる。金融機関の評価が厳しく、換金性も低い
📌 売れる調整区域戸建ての特徴
- 「線引き前宅地」
昭和45年ごろ以前(※)に建てられ、その後調整区域に編入された住宅は再建築の特例が認められる場合が多く、買い手の安心材料になる
※市町村による - 調べ方:市役所の都市計画図・登記簿を確認、不動産業者や土地家屋調査士への相談も有効
🛠 売却時のポイント
- 調整区域のメリットを強調
価格が割安、静かな環境、都市計画税がかからない点などを訴求 - 再建築不可を逆手にとる
解体せず現状のまま引き渡すことで、買い手がリフォーム・建替えの許可を取りやすくする - 価格を少し下げ、リフォーム提案を
安価なため住みたい層は多く、リフォーム付きの提案で購買意欲を引き出す。
- 市街化調整区域でも売却は可能だが、建替え制限の理解と適切なPR戦略が鍵。
- 特に「線引き前宅地」は買い手に訴求しやすい。
- 許可条件の確認、市場ターゲットの明確化、価格帯・リフォーム提案の工夫で成約率アップにつながる。

調整区域の家を売却予定のあなたの
お役に立てれば幸いです。
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