不動産売却の抵当権を基礎を学ぶ
不動産売却で抵当権の抹消方法を解説する前に、
抵当権の基礎を学びましょう。
不動産の抵当権って?
戸建やマンションを購入するとき、住宅ローンを借ります。
その際、担保として銀行が抵当権を設定します。

万が一、借主が住宅ローンを返済しない場合、
銀行は抵当権を実行して
不動産を競売にかけて、現金化し回収を試みます。
抵当権実行の簡素な流れ
抵当権が実行されると、以下の流れになります。
- 債務不履行の発生
→ 借金の返済が滞った状態(期限の利益喪失) - 担保権者(債権者)が裁判所に申立て
→ 不動産競売の申立てを地方裁判所に行う - 裁判所が競売手続き開始決定
→ 不動産の調査・評価・公告が行われる。 - 入札・開札(競売)
→ 一般の買受希望者が入札し、最高値の人が落札。 - 売却許可決定・代金納付
→ 落札者が代金を納付後、所有権が移転。 - 売却代金から債権回収
→ 売却代金から、優先順位に従って債権回収される。

うーん、怖そう・・・

毎月、金融機関へ返済すれば
大丈夫です。
不動産の抵当権を付けたまま売れる?
物理的には抵当権をつけたまま売却は可能です。
しかし、買主側が納得しません。
なぜなら売主が借金を返さなければ、
抵当権が実行され、
買主の住まいが売りに出されてしまうからです。

抵当権が付いたまま、
売却されることはありません。
※一般的には取引が中止になります。
抵当権抹消登記&所有権移転は同時に行う
不動産の
「売買決済&引き渡し日」に抵当権抹消登記も一緒に行います。
<売買契約日~決済日「まで」の流れ>
①売主が住宅ローンを借りている銀行へ連絡
②窓口で、決済日を伝えて、銀行に書類準備を依頼
③司法書士へ連絡(※銀行名や担当者など情報共有)
※事前に住民票・権利書などFAX(画像)で
司法書士に送ります。
<決済日の「当日」の流れ>
①買主が売主口座に振り込み
②売主が着金確認(※完済が解除条件)
③売主の銀行から抹消登記書類を受け取る
④所有権移転登記&抹消登記の手続き
⑤法務局へ抹消登記の手続き
水曜日以外の平日の朝10時~あたりで行います。
※司法書士が担当するため、大まかな流れだけ抑えればOK

売主様は売買契約が締結されたら、
早めに銀行へ足を運びましょう。
金融機関によりますが、
抵当権抹消の準備に約1か月間かかるため、早めにご連絡を!
金融機関に何を伝える?手続きは?

<銀行に伝える&聴くこと>
・引渡し&決済日を伝える
・必要書類を聴く
・店頭への訪問・手続き日を聴く
・担当者・連絡先を聴く
・司法書士による代理受領の可否を聴く
・後日、担当者さんへ
不動産会社・司法書士が連絡をします。

不動産業者が代わりに
銀行へ連絡してくれないの?!
原則、
売主ご本人が連絡をし、銀行窓口へ足を運びます。
※ネットバンクはネット&郵送で手続き
<銀行での手続き(持ち物)>
・返済用の通帳&銀行印
・身分証明
・実印(※印鑑証明も一緒に)
・その他書類(※銀行による)
銀行窓口で手続き後、
後は司法書士が決済日に向けて、銀行と打ち合わせをしてくれます。
自分で抹消登記できる?
売主が知識&経験があれば、
抵当権抹消登記はできます。

(え?この人大丈夫かな・・・)
買主さんから見れば不安に感じます。
不動産取引において、一般的には、
プロの司法書士に依頼をし、抹消手続きをお願いします。

自分で抹消登記をするときは、
不動産売買が関係ない場合です。
つまりローンが完済したときに自己責任でチャレンジしましょう。
売主が抹消登記しないとどうなる?

契約書に第8条(抵当権等の抹消)について記載があり、
契約違反となる場合は違約金が発生する恐れがあります。
たまにあるトラブルが
「売主が銀行に売却&抹消の連絡をしていなかった」ケースです。
抹消登記の書類が住宅ローンを返済すれば、すぐに用意できません。
※決済日の3週間~1か月前あたりに連絡が必要です。
<例>
①1/8に売買契約
②2/10決済&引渡し予定
上記の例なら、売買契約終了後、
銀行に電話をしましょう。

個人間売買の場合、売主が頭を下げれば、
許してもらえるかもしれません。
しかし、買主がプロの業者の場合、
速攻で違約解約の内容証明が届きます(汗)
抹消登記について不明な点があれば、
すぐに営業担当者に相談をしましょう。
抵当権抹消の費用&必要書類

不動産売買決済時の抵当権抹消の費用&必要書類を解説します。
抵当権抹消の費用
区分マンションや戸建(土地)は2万円~3万円程度です。
※抵当権抹消は売主が負担
✅ 抹消登記にかかる費用(概算)
<例:100㎡の建物、160㎡の土地の抹消登記>
内容 | 金額(目安) | |
---|---|---|
登録免許税 | 不動産1個につき1,000円(※土地・建物それぞれに発生) | 2,000円(1,000円 × 2件) |
司法書士報酬 | 抵当権抹消登記の手続き代行費 | 約10,000〜20,000円 |
郵送・通信費等 | 書類郵送や手数料などの実費 | 約1,000円前後 |
合計(概算) | 約13,000〜23,000円 |
住所変更登記や名義変更が未了の場合、
それも同時に求められることがあります(別途費用)。
不動産の個数ごとに登録免許税が発生します。
今回の場合、建物1、土地1で計2件。
司法書士への依頼が一般的です。
自分で行うことも可能ですが、書類不備などのリスクがあります。
必要書類
今回は抵当権抹消「のみ」に絞った書類です。
※他にも用意する種類はあります。
・抹消書類
・本人確認書類(免許証、マイナンバーカードなど)
・印鑑証明書
・登記申請用の委任状(※1)
・住民票または戸籍の附票(※2)
※1抹消書類は本人が決済完了後、銀行から受け取ります。
とはいえ、実際は代理人である
司法書士が受け取るため、委任状が必要です。
ちなみに、代理がNGの場合は本人&司法書士が一緒に銀行へ行く必要があります。
※2新居に移転済みだったり、結婚離婚で名字変更がある場合
抵当権抹消Q&A

抵当権抹消についての質問をQ&A形式にして解説します。
- Q抵当権抹消の確認方法は?
- A
インターネットか法務局で登記事項証明書を取得しましょう。
抵当権設定の下の行に
「抵当権抹消 令和〇年〇月〇日 原因 令和〇年〇月〇日 弁済」と表示されます。
※不明な場合は、司法書士さんに問合せしましょう。
- Q抵当権抹消の何日かかる?
- A
不動産の抵当権抹消は決済日から2~3週間かかり、
完了の書類が届きます。
「え?決済当日に完了しないの?」
法的には決済日で抵当が抹消された、とみなされるため、ご安心ください。
- Q抵当権抹消でローン残債がある場合は?
- A
抵当権抹消の条件は「ローン完済」のため、
残債が残る場合、違約解約のリスクがあります。
例:3000万円の物件で違約金20%なら、600万円の支払です。そのため、
足りない分を「返済口座」に事前に振り込んでおいてください。
まとめ

抵当権の抹消方法のまとめ
- 売買契約を締結
- 売主・買主間で売買契約を締結。
- 金融機関にローン残債の一括返済を申し出
- 売却代金で残債を完済する旨を伝える。
- 金融機関は「抵当権抹消」に必要な書類を準備。
- 決済(残代金の支払い)当日
- 買主から売主へ代金が支払われる。
- 同時に、売主はその代金を使ってローンを完済。
- 金融機関が
「抵当権抹消書類(登記原因証明情報、解除証書等)」を発行。
- 抵当権の抹消登記
- 売主(または司法書士)が、
法務局にて抵当権の抹消登記を申請。 - 抹消と同時に、買主への所有権移転登記を行うのが一般的。
- 売主(または司法書士)が、
- 残債を売却代金で完済できることが前提です。
- 書類の不備があると登記ができないため、司法書士への依頼が一般的。
- 金融機関の担当者も、決済当日に同席することが多いです。
不動産の売却で抵当権抹消について疑問のあなたへ
お役に立てれば幸いです。
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