不動産売買契約書とは、不動産(土地・建物など)を売買する際に、
売主と買主が締結する契約書です。

不動産売買契約には
「24の不動産売買契約条項」があり、
今回は第19条融資利用の特約ついて
について解説します。
融資利用の特約について解説
第19条「融資利用の特約」住宅ローン特約
1.買主は、この契約の締結後すみやかに、
標記(I)の融資の申込手続きをしなければならない。2.標記(I)の融資未承認の場合の契約解除期限までに前項の融資の全部又は一部について承認を得られないとき、又、
金融機関の審査中に同契約解除期限が経過した場合には、この契約は自動的に解除となる。3.前項によってこの契約が解除された場合、売主は、
受領済の金員を無利息で遅滞なく買主に返還しなければならない。4.買主が第1項の融資の申込手続きを行わず、
又は故意に融資の承認を妨げた場合は、第2項の規定は適用されないものとする。
<やさしく翻訳>
買主は売買契約締結後、早めに金融機関に
住宅ローン本審査の申し込み手続きをしなければならない。
※できれば翌日
2.融資が未承認の場合、解除期間までに全額、または一部承認が得られなかった
または、審査中のまま解除期限が過ぎると、契約は自動解除になる。
3.2によって解除されたら、
売主は買主へすぐに手付金を無利息で返却する
4.もし買主が1の融資先にローン申し込みをしなかった
または、わざと融資承認を妨害した場合は、
ローン特約は適用されない。
住宅ローン特約とは?
買主が住宅ローンを利用する際に、
金融機関の承認が得られない場合は、売買契約を白紙解除できる特約です。

買主が審査落ちしても、
数千万円の買い物をしなければいけない・・・
お金が用意できないなら、手付解除や
違約解除はさすがに可哀想です。
ローン特約は
買主保護のための特約です。

なるほど。
ちなみに、すぐに本審査申し込みが
必要なの?

売買契約の翌日、遅くても
2日以内に書類を提出しましょう。
※売買契約前に本審査用の書類を
準備するとスムーズです。

ローン特約の期限は理解できるけど、
融資の全部又は一部について承認を得られない
ってどういう意味?

融資希望額が2000万円だとして。
①全部は2000万円
②一部については1800万円など
減額で承認されるケースです。
ローン特約の期限は建売は2週間と高速で、
個人間売買の場合は1か月ほどです。
特約期限をすぎても、審査結果がわからなければ、
条項だと「自動解除」になります。
住宅ローン特約が受けられないケースは?
住宅ローン特約が受けられないケースで、
まずは、本審査に申し込みをしなかった場合です。
売主側からすれば、ローン特約は不利な条件です。
そのため、早く結果を知りたいですし、
「審査する気がないなんて、ナメている!」
と売主からすれば激おこぷんぷん丸です。
次に、住宅ローン審査にわざと落ちるように仕向ける行為です。

どうして?
本審査に合格すれば
好きな物件買えるでしょ?

「やっぱり買うのやめた!」
「でも手付解除したくない!」
と、手付金がもったいないため
審査に落ちるようにする人がします。
<故意に融資の承認を妨げるケース>
・消費者金融で複数キャッシングをする
・車のローンを組む
・ショッピングでリボ払いを組みまくる
・本審査の種類を適当に書く
・本審査で融資金額をアップする
・虚偽の内容で申請をした
などです。

わざと審査落ちする行為が
判明したら、ローン特約は利用できません。
その場合、手付解約期限は過ぎている場合は、
違約解除となる恐れがあります。

なるほど。
ウソをつかずに
正直に申請すれば
問題ないのね♪
白紙解除の場合、手付金&仲介手数料は?
ローン特約で白紙解除になった場合、
手付金は「金利なし」で、早めに返却されます。

仲介手数料も50%受け取っている場合、
手付金と同じで返却されます。

売主さんが
手付の返却を拒んだら
どうなるの?

説得し、ダメなら訴訟となります。
ですが、手付金を返却してくれる
ケースがほとんどです。
とはいえ、売主としては
(時間と労力を使って対応したのに・・・)
(手付を暫く返却しないようにするか)
と思う人がいるかもしれません。

契約書の内容に反するでしょ?

おっしゃるとおりです。
ですが、怒りの感情は契約書に記載されていません。
売主&仲介業者としてはただ働きになるため、
融資申し込みは担当の営業マンのアドバイスをしっかり聞きましょう。
【売買契約(売主・一般消費者用)の24つの条項】
以下、お好きな条項をお選びください
第1条売買の目的物及び売買代金
第2条売買対象面積
第3条「手付金」の条項
第4条境界の明示
第5条売買代金の支払時期及びその方法
第6条所有権移転の時期
第7条「引渡し」
第8条所有権移転登記の申請
第9条物件状況の告知
第10条付帯設備の引渡し
第11条負担の消除
第12条印紙代の負担
第13条「公租・公課の負担」固定資産税等
第14条「収益の帰属・負担金の分担」
第15条「手付解除」
第16条引渡し前の滅失・毀損
第17条契約違反による解除
第18条反社会的勢力の排除
第19条融資利用の特約ついて
第20条契約不適合責任
第21条諸規約の継承
第22条協議事項
第23条「管轄の合意」管轄裁判所
第24条特約条項
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