不動産売買契約書とは、不動産(土地・建物など)を売買する際に、
売主と買主が締結する契約書です。

不動産売買契約には
「24の不動産売買契約条項」があり、
今回は第20条契約不適合責任
について解説します。
第20条契約不適合責任について
引渡された本物件が種類又は品質に関してこの契約の内容に適合しないものであるとき(以下「契約不適合」という。)は、買主は、売主に対し、本物件の修補を請求することができる。この場合、売主又は買主は、相手方に対し、修補の方法に関し協議の申し入れをすることができる。
2.引渡された本物件に契約不適合があるときは、その契約不適合がこの契約及び取引上の社会通念に照らして売主の責めに帰することができない事由によるものであるときを除き、買主は、売主に対し、修補に代え、又は修補とともに損害賠償を請求することができる。
3.引渡された本物件に契約不適合があるときは、買主は、売主に対し、相当の期間を定めて本物件の修補を催告したうえ、この契約を解除することができる。ただし、その契約不適合によりこの契約を締結した目的が達せられないときに限り解除できるものとする。
4.買主が前項に基づきこの契約を解除し、買主に損害がある場合には、その契約不適合がこの契約及び取引上の社会通念に照らして売主の責めに帰することができない事由によるものであるときを除き、買主は、売主に対し損害賠償を請求することができる。この場合、標記の違約金(F)の定めは適用されないものとする。
5.買主は、この契約を締結したときに本物件に契約不適合があることを知っていた場合、又は本物件の引渡し後標記(J)に定めた期間を経過するまでに売主に本物件に契約不適合がある旨を通知しなかった場合、売主に対して本条に定める権利を行使できないものとする。
<やさしく翻訳>
例:雨漏れを発見した場合
引き渡された物件の①種類①品質が契約内容と適合しない時、
買主は売主に「直して」と請求できる。
→雨漏れがあったら修復して!
修理方法についてはお互い協議をする
2.雨漏れが発見されたとき、
一般社会常識に照らして、売主の故意過失がない時以外、
売主に対して、直して!又は、直す+損害賠償を請求できる
3.雨漏れが発見されたとき、
売主に対して5日~10日の間に「直してほしい」と伝え、
「直してもらえない」場合、契約を解除できる。
ただし、雨漏れが原因で契約の目的(※住めないなど)
が達せられないときのみ、解除できる。
4.買主が契約解除をしても、損失がある場合、
売主の故意過失がない時以外は、損害賠償請求できる。
※表記の違約金(10%~20%)の定めではない
→違約解約の「違約金」ではありません。
5.買主は、売買契約時に「雨漏れを知っていた場合」、
又は、物件の引き渡し日から、3カ月以内(※個人間の売買の場合)
に売主に「雨漏れがある」と連絡しなかった場合は、
契約不適合責任を行使できない
契約不適合責任って?!

契約が適当しない・・?

一般の生活に落とし込んで、
たとえ話をします。
例えば、お弁当屋さんにいき
①ノリ弁当を
②5つ
③食べられる品質で
注文したとします。
自宅に帰って、ふたを開けたら、
①牛肉弁当が
②3つ
③異臭がする品質(食べられない)
が入ったとします。

最悪!
注文どおりじゃない!
・・・あっ、なるほど!
①ノリ弁当が牛肉弁当(種類の不適合)
②5つと3つ(数量の不適合)
③食べられる、食べられない(品質の不適合)

不動産の不適合責任は
③の品質の不適合が多いです。
「雨漏れがない」と聞いていたが、
「住んで2か月で、雨漏れしてきた!」
となれば、品質の不適合ですよね。
契約不適合責任の5つの権利
①追完請求
引き渡された目的物が契約の内容に適合しない場合に、
買主が売主に請求できる権利
・目的物の修補:お弁当なら作り直し、雨漏れの修理
・不足分の引渡し:お弁当の足りない個数を引き渡す
②代金減額請求
売買で引き渡された目的物が契約内容と適合しない場合に、
買主が売主に対して代金の減額を請求すること

代金の減額請求はいきなりできません。
①追完請求がダメなら
↓
②減額請求です。
また、雨漏れが直してほしいが「補修が難しい」のであれば、
代金の減額請求ができます。
③催告解除
債権者が債務者に対して履行を催告し、
その期間内に履行がない場合に契約を解除すること

①追完請求がダメ
↓
②減額請求がダメ
↓
③催告解除
の順番です。
「直してもらえない」「減額してもらえない」
「じゃあ、購入辞めます」
と売買契約を解除できます。
◆無催告解除
債務者に対して履行の催告(※履行を促す)をせず、
直ちに契約を解除することを
<無催告解除の例>
履行不能(建物が焼け落ちて同じものを用意できない)
相当長期間にわたる継続した賃料不払い
◆損害賠償請求
契約不適合責任に基づく損害賠償の範囲
①信頼利益:契約が有効と信じたために発生した損害)
雨漏りがないこと信じ、中古住宅を購入した。
しかし、入居後に雨漏りが発生したため、
売主に対して最終的に損害賠償請求をした。
②履行利益(契約が履行されていれば、発生したであろう利益)
転売目的で不動産を買ったが、雨漏れがあり、
修理に時間がかかった。
すぐに転売していれば、得られた利益の損害賠償請求をした。
【売買契約(売主・一般消費者用)の24つの条項】
以下、お好きな条項をお選びください
第1条売買の目的物及び売買代金
第2条売買対象面積
第3条「手付金」の条項
第4条境界の明示
第5条売買代金の支払時期及びその方法
第6条所有権移転の時期
第7条「引渡し」
第8条所有権移転登記の申請
第9条物件状況の告知
第10条付帯設備の引渡し
第11条負担の消除
第12条印紙代の負担
第13条「公租・公課の負担」固定資産税等
第14条「収益の帰属・負担金の分担」
第15条「手付解除」
第16条引渡し前の滅失・毀損
第17条契約違反による解除
第18条反社会的勢力の排除
第19条融資利用の特約ついて
第20条契約不適合責任
第21条諸規約の継承
第22条協議事項
第23条「管轄の合意」管轄裁判所
第24条特約条項
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