持ち回り契約の手付金は、契約成立とのタイミングを合わせることが重要
持ち回り契約では、売主と買主が同じ場所に集まらず、売買契約書を郵送や持参などで順番に取り交わします。
手付金は「先に振り込めばよい」というものではなく、売買契約がいつ成立するのかを確認したうえで、契約書の内容・契約成立日・手付金の授受時期を整合させて進めることが重要です。
特に、契約が成立する前に手付金を受け取る形にすると、契約上・宅建業法上の問題が生じる可能性があります。
持ち回り契約では、契約書への署名・押印だけでなく、「いつ契約が成立したのか」「手付金をいつ授受するのか」を不動産会社に確認してから振り込むことが安全です。

不動産の持ち回り契約とは、不動産の売買契約など締結する際に、対面などで手続きを経ず、
書面や電子メールなどを回覧して合意を形成し契約を成立させる方法を指します。
不動産売買で売主・買主が同席せずに、契約書を「郵送」や「手で持ちまわる」などで署名押印する契約です。
持ち回り契約の順番
①売主様→買主様の順番でご契約

<売主様が先の持ち回り契約>
①売主様:売買契約書をご記入
②買主様:売買契約書をご記入
③手付金を振込 or 担当者が預かる
④担当者が売主様へ振込 or 手渡し
一般的には、売主様に最初に契約書をご記入いただくことが多いです。
②買主様→売主様の順番でご契約
<買主様が先の持ち回り契約>
①買主様に重要事項説明&売買契約書をご記入
②手付金を預かる or 振り込みを保留
③売主様が売買契約書にご記入
④手付金を渡す or 振り込みをする
持ち回り契約でトラブルになりやすいのが、手付金を振り込むタイミングです。
売主と買主が同席する通常の契約であれば、契約書への署名・押印と手付金の授受を同じ場面で行いやすいため、契約の成立時期と手付金の授受時期が分かりやすくなります。
一方、持ち回り契約では、売主・買主が別々に契約書へ署名・押印するため、「契約書に署名したから契約成立」「手付金を振り込んだから契約成立」と単純に判断することはできません。
そのため、持ち回り契約では、契約書の署名・押印、契約成立日、手付金の授受をどの順番で行うのかを、媒介業者と事前に確認しておくことが重要です。
特に、契約成立前に「手付金」として金銭を振り込ませる方法は、取引形態によっては宅建業法上の問題が生じる可能性があります。不動産流通推進センターも、持回り契約では手付金の授受と売買契約の締結時期がずれる場合について注意を示しています。
「先に手付金を振り込んでください」と言われた場合は、契約成立のタイミングと、その金銭を誰がどの立場で預かるのかを確認してから振り込むことをおすすめします。
持ち回り契約:メリット・デメリット
持ち回り契約:メリット・デメリットを比較表にしました。
| メリット | デメリット | |
| コスト | ・会場費や交通費などのコストを削減できる | ・郵送代や書類管理コストがかかる場合がある |
| 柔軟性 | ・当事者の都合に合わせやすい | ・当事者の対応が遅れると全体の進行が滞る |
| 時間管理 | ・直接会わなくても契約が可能なため、日程調整の手間が省ける | ・契約締結までに時間がかかる (郵送・確認・押印に時間を要する) →担当者が直接伺う方法あり |
| 安全性・ 信頼性 | ・各当事者が自分のペースで内容確認・検討できる | ・書類の紛失・改ざんリスクがある ・信頼関係がない場合は不安 |
| 契約内容の確認 | ・内容をじっくり確認できる | ・内容変更があった場合、面倒 |
| 法的トラブル回避 | ・慎重に進めることで法的なミスを防ぎやすい | ・署名・捺印の順序や方法に不備があると、 契約の効力に問題が生じる可能性 |
持ち回り契約のケース

持ち回り契約の具体的なケースを紹介します。
①コロナ・足腰が悪いなどで立ち会えないケース
病気の影響で「売買契約に立ち会えない」場合
持ち回り契約はよく使われます。

売主さんが病気・ご高齢で足腰が悪いなど。
買主さんに売買契約書に署名捺印いただき、営業マンが、売主宅で契約書に署名捺印していただきます。
②遠方のケース
例えば、群馬県の田舎の実家を
「東京の息子さん」が相続し、買主が群馬の場合。
東京から群馬に行くことが面倒なので、持ち回り契約になるケースがあります。
※買主さんに署名捺印いただき、東京へ足を運ぶか、郵送で記載していただきます。
③ワンルームマンションなど投資案件のケース
例えば、福岡の人が東京の1Rマンションを売却するときは、持ち回りになります。
※賃借人が居住中で、オーナーチェンジ
決済は司法書士が代理人として、
処理をするケースが多いです。

遠距離なので、やや危険な気もしますが、上記の方法で仲介をしている会社さんは多いようですね。
④低価格は不動産のケース
500万円などややお安めの不動産の場合は、
売主さんが対面で契約することは少ないです。
事前に契約書に持ち回りでサインしてもらうことが多いです。
また、抵当権が未設定で、現金払いのため、
その日に所有権移転も含め「完結するケース」もあります。
⑤離婚など家庭問題のケース
離婚後の財産分与や相続問題など家庭の事情によるケース。
不動産を処分する際、夫婦一緒だと気まずくなりますよね・・・
持ち回り契約は買主・売主が先なの?

持ち回り契約はどちらでもOKです。
ただし、物元が契約書や調査をすることが多いため、
売主側に記名、捺印を2通してもらい、買主側に渡すケースがスムーズです。

逆に買主様のキャンセルを防ぐために、買主側に先に記載してもらうケースもあります。
<売主先行のやり方>
①契約書2通、売主が記名捺印をし、日付は未記入
→買主へ返送 or 担当が持ち帰り
②買主が契約書2通、記名捺印をし、日付は記入
→手付金を売主へ振り込む
③買主に1通のみ売主へ返送か、 担当が持ち帰る
※日付未記入は、売主/買主双方の事前合意が必要です。
<買主先行のやり方>
①重要事項説明書の交付&説明、売買契約書を郵送or持参
②契約書2通、記名捺印をし、
日付は未記入、返送 or 担当が持ち帰り
③手付金(預かり)を不動産屋業者へ振込み
※手付金を誰が受領・保管するかは、取引形態や契約内容によって異なります。
④後日、売主に売買契約書を発送or持参
※2通に記名捺印、日付を入れる
⑤買主に1通のみ返送、営業が持参
不動産屋→売主に手付金を振り込む
※買主→売主へ指定日に直接振込みも可能
※日付未記入は、売主/買主双方の事前合意が必要です。
決済・引き渡しはどうする?
原則、決済&引き渡し日には売主・買主双方立ち合いが必要です。
ちなみに、司法書士を代理人とすることで決済することは可能です。
また、抵当権が抹消済みだったり、金額が安価な場合は、
事前に売主さんから司法書士が書類を預かり、着金確認で所有権移転登記をすることも可能です。
司法処理に代理する場合の手順
- 事前相談・委任契約の締結
- 売主または買主が司法書士に連絡し、代理人としての依頼を相談。
- 必要書類や手続きの流れ、費用について説明を受ける。
- 委任状を作成し、司法書士に代理権を付与
- 本人確認と書類準備
- 司法書士が売主・買主の本人確認を行い、登記書類(登記申請書、登記原因証明情報など)を準備。
- 売主が不在の場合、事前に司法書士と面談して署名・押印を済ませる
(代理人に委任できない作業) - 必要書類:印鑑証明書、権利証(登記識別情報通知)、委任状など。
- 司法書士が売主・買主の本人確認を行い、登記書類(登記申請書、登記原因証明情報など)を準備。
- 決済当日の対応
- 司法書士が決済に立ち会い、書類の真正性や売買意思を確認。
- 売買代金の振込、領収書交付、鍵の引き渡しを代理人が代行
(銀行や不動産会社の応接室など) - 司法書士が登記に必要な書類を最終確認し、問題なければ代金決済を許可。
- 司法書士が決済に立ち会い、書類の真正性や売買意思を確認。
- 登記手続き
- 決済後、司法書士が法務局で所有権移転登記や抵当権抹消登記を申請。
- 登記完了後、登記事項証明書を取得し、名義変更の確認を行う。
- 決済後、司法書士が法務局で所有権移転登記や抵当権抹消登記を申請。
- 完了報告
- 司法書士が依頼者に手続き完了を報告し、必要書類(登記事項証明書等)を引き渡す。

売主・買主が入院中だったり、遠方などの場合は便利です。
ちなみに、売買契約は持ち回りでもよいですが、
決済&引き渡しは可能であれば、
当人同士顔を合わせることをおすすめします。
売主が不動産会社の場合は手付金のルールに注意
持ち回り契約の手付金については、売主が個人なのか、宅地建物取引業者なのかによって注意点が異なります。
売主が宅地建物取引業者で、買主が宅建業者ではない場合、宅建業法によって手付金の額や手付解除などについて買主を保護する規定があります。
また、一定の場合には、宅建業者が手付金等を受領する前に保全措置が必要となる場合があります。
国土交通省も、宅建業者が自ら売主となる不動産取引について、手付金等の保全制度を案内しています。

そのため、この記事で説明している「持ち回り契約の手付金」は、個人間売買などの媒介取引と、宅建業者が自ら売主となる取引を分けて考える必要があります。
手付金を振り込む前に、「誰が売主なのか」「誰が手付金を受領するのか」「契約はいつ成立するのか」を確認しましょう。
持ち回り契約で失敗しないための5つの確認事項
持ち回り契約では、手付金を振り込む前に次の5点を確認しましょう。
- 売買契約書の内容を最終確認する
- 契約がいつ成立するのか確認する
- 契約書の日付をいつにするのか確認する
- 手付金をいつ、誰に支払うのか確認する
- 手付解除の期限・条件を確認する
特に重要なのが、「契約成立前に手付金を振り込むことになっていないか」です。

分からないまま振り込むのではなく、
不動産会社に「この振込は契約成立後の手付金ですか?」「契約成立日はいつですか?」と確認してから手続きを進めると、トラブルを防ぎやすくなります。
【Q&A】持ち回り契約でよくある質問

- Q持ち回り契約では手付金を先に振り込む?
- A
持ち回り契約でも、手付金を必ず契約前に振り込むわけではありません。
契約成立の時期と手付金の授受時期を確認し、両者のタイミングを適切に合わせることが重要です。
- Q手付金を振り込んだら契約成立?
- A
手付金を振り込んだことだけで、売買契約が成立したと判断することはできません。
契約書への署名・押印や当事者間の意思表示などを踏まえて、契約成立時期を確認する必要があります。
- Q持ち回り契約は危険?
- A
持ち回り契約そのものが危険というわけではありません。
ただし、契約成立日、契約書の日付、手付金の授受時期、本人の意思確認などを曖昧にするとトラブルにつながる可能性があります。
まとめ

持ち回り契約のメリット・デメリットをまとめました。
| メリット | デメリット | |
| コスト | ・同席契約に比べて会場費や交通費などのコストを削減できる | ・郵送代や書類管理コストがかかる場合がある |
| 柔軟性 | ・当事者の都合に合わせて進められる | ・当事者の対応が遅れると全体の進行が滞る |
| 時間管理 | ・直接会わなくても契約が可能なため、日程調整の手間が省ける | ・契約締結までに時間がかかる (郵送・確認・押印に時間を要する) →担当者が直接伺う方法あり |
| 安全性・ 信頼性 | ・各当事者が自分のペースで内容確認・検討できる | ・書類の紛失・改ざんリスクがある/信頼関係がない場合は不安が残る |
| 契約内容の確認 | ・内容をじっくり確認でき、弁護士等と相談する余裕がある | ・内容の共有や修正がしにくく、変更があった場合は全体に影響が及ぶ |
| 法的トラブル回避 | ・慎重に進めることで法的なミスを防ぎやすい | ・署名・捺印の順序や方法に不備があると、契約の効力に問題が生じる可能性 |

遠方でない限り、
担当者が書類を持参するケースが多いです。
もしくは、電子契約書を利用する方法があります。
「実際のところどう?」
時になる方はリヤマ不動産へご相談ください。




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