囲い込み理由とスキーム【なぜ?】
囲い込みの本題に入る前に、
基本的な仲介の仕組みを解説します。
まず、売買仲介には2つの方法があります。
①共同仲介(仲介2社):報酬はそれぞれ3%+6万円
②単独仲介(仲介1社):報酬は6%+12万円※おいしい
共同仲介 (複数業者) | 単独仲介 (1社のみ) | |
---|---|---|
取扱業者数 | 複数社 (買主側・売主側で別) | 一社のみ |
買主へのアプローチ数 | ◎ 多くの仲介会社が動くため幅広くアプローチ可能 | △ 自社のネットワーク中心 |
成約スピード | ◎ 早くなる可能性がある | △ 業者の力次第で差が出る |
業者間の連携 | △ 業者間の調整や連絡が必要 | ◎ 情報の一元化でスムーズ |
情報管理の一貫性 | △ 複数業者で情報がブレやすい | ◎ 情報が一元管理されやすい |
売却戦略の統一性 | △ 複数業者で戦略にばらつきあり | ◎ 一貫した戦略で進めやすい |
売主の手間 | △ 各社との連絡・対応が必要になる場合あり | ◎ 担当1社のみで手間が少ない |
仲介手数料の負担 | △ 売主・買主で分かれる(業者が分担) | ◎ 通常は1社で全額受け取る |
囲い込みリスク | ◎なし | ×高い |
価格交渉時の立場 | △ 中立性が強いが、調整に時間がかかる | ◎ 担当者が交渉窓口となりやすい |

売主側と買主側の仲介業者が2社います。

仲介業者は1社のみで、両方の手で
報酬をもらいます。
囲い込みとは、
売主側の仲介会社が「買主側の仲介会社」からの問い合わせをシャットアウトし、
両手取引に持ち込む行為です。
<例>
①当社のお客様が「◎◎小学校近くの戸建てを見たい」
とお問い合わせをいただきます。
②当社が売主側の「囲い込み不動産」に問い合わせ
「◎◎にある2700万円の戸建ての確認です」
→囲い込み不動産「すいません、商談中で・・・」
と紹介を断られる。
③売主側の囲い込み不動産は、断る間に
他のお客さんを「自分で」探す
④両手取引でおいしい!

どうして嘘をつくの?

両手の方が報酬が多いからです。
例えば、
100万円の報酬と200万円の報酬
どっちが欲しいですか?

そりゃ、200万円よ

ですよね。
囲い込む根本的な理由は
大きく分けて2つ。
①広告費をかけすぎ
②人件費をかけすぎ
「会社の支出が多い」→「売り上げを増やす」
「売り上げが増えないと倒産する」
ただそれだけ理由で、囲い込みをします。
また、営業マンもノルマに追われているため、
囲い込みをせざるを得ないといえます。
囲い込みのデメリットは?

項目 | 内容 |
---|---|
売却価格の下落 | 競争原理が働かず、 価格交渉力が弱まりやすい。 結果的に安く売却する可能性がある。 |
売却期間の長期化 | 他社からの紹介がないため、 買主の母数が減り、成約までの時間が長くなる。 |
機会損失 | 他社の顧客に紹介されないため、 条件の良い買主との出会いを逃す恐れがある。 |
情報の不透明性 | レインズに登録されても「商談中」などと表示し、 他社からの案内を断るケースがある。 |
売主の利益が軽視される | 仲介会社が両手仲介の手数料重視で、 自社の利益を優先する傾向になる。 |
信頼関係の悪化 | 売主が囲い込みの事実に気付いた場合、 仲介会社への信頼が大きく損なわれる。 |
物件の価値低下印象 | 長期間売れない物件は 「訳あり」や「人気がない」と見なされやすい。 |
違法リスクも含む | 明示的な囲い込み行為は 宅建業法違反の可能性があり、問題視されることがある。 |
よくある囲い込み5つの手口と対策方法

囲い込み5つの手口と対策方法を解説します。
①レインズに物件登録をしない
レインズは
不動産会社同士の出会い系サイトのようなシステムです。
専任媒介・専属専任媒介の場合は、
詳細情報や販売図面を登録する義務があります。
<対策方法>
レインズ登録義務化され、登録証明書が発行されます。
不動産屋さんに書面又はpdfファイルで
送るよう依頼しましょう
※IDパスワードでログインも可能です。

・専属専任媒介は締結日の翌日から5営業日以内
・専任媒介は締結日の翌日から7営業日以内
・一般媒介契約は登録義務なし
営業日のため、不動産業者のお休みは除外されます。
ちなみに取引情報は3つあります。
①公開中
②書面(買付証明書)による購入申込みあり
③売主都合で一時紹介停止中
②レインズ登録データ(写真など)が雑
レインズに登録した物件情報の写真などデータが足りない、
または雑な画像がアップされているなど

どうして雑なデータをアップロードするの?

雑な情報だと、買主さんの買う気が失せます。
(この物件大丈夫かしら・・・)
その間に、
売主側の仲介店が自分でお客様を探すわけです。
<対策方法>
①掲載画面をキャプチャして、
見せてもらいましょう。
②合理的な理由があれば問題ありません
(写真の映りがもともと悪いなど)
※担当者が嫌がる場合、囲い込みの恐れがあります。
③レインズで広告をクローズ
売主さんが「他社には広告ださないで」と
指定があれば問題ありません。
<対策方法>
広告「可(すべてオープン)」になっている
キャプチャを定期的に送ってもらいましょう。
※広告可のデメリットがあるため、
すべて可でいいわけではありません。
④物件確認で断る
買主側の不動産屋さん
「〇〇町の200㎡地の土地ですが、ございますか?」
売主側の囲い込み不動産屋
「商談中で決まりそうで・・・難しいですね」
「売主の奥様が入院されて、それどころじゃない」
ありとあらゆる言い訳をしてきます。
※本当の場合もあります。
<対策方法>
家族、友達などに売主側の不動産屋に電話をしてもらい
「ご案内可能ですよ」と回答したら、囲い込み成立です。
⑤一般媒介で囲い込み【新手の手口】
「専任媒介・専属専任媒介は囲い込みされるから、一般媒介に」
とネット上で散見されます。
ですが、一般媒介は「レインズの登録義務」がありません。
<対策方法>
専任媒介以上で契約し、
レインズ登録してもらいましょう。
囲い込み防止のための簡単な方法

誰でもできる囲い込み防止の方法をご紹介します。
①電話してもらう
「囲い込みはしていませんよね?」と
媒介契約前にストレートに聞きましょう。
また「知り合いの不動産屋に、抜き打ちで物件確認させる。録音しておく」と言うことで、
囲い込みの抑止力になります。

これで、囲い込みをしていたら、
ヤバイ業者さんですよね・・・
②レインズ登録をマメに報告させる
物件の広告可やアップロードしたデータがいい加減か報告をさせる
※画像をスクショ、キャプチャなど

可能であれば、PCを目の前に持ってきてもらい、
確認する方法もおすすめです。
③囲い込みで有名な不動産会社に依頼しない
囲い込み不動産会社の規模は問わず、行われます。
ネットで「囲い込み + 〇〇(会社名)」と
検索すればたくさん出てきます。
④依頼前の「囲い込み防止」文章を読む
①「広く情報を公開していただけますか?
1社だけに任せるつもりはありません。」
②「他社さんからの問い合わせも受け入れてください。
それが条件です。」
③「囲い込みのようなことは避けたいので、
他業者にも案内をお願いします。」
④「専任媒介でも、
必ず他社に紹介してもらえる前提でお願いしたいです。」
⑤「レインズ登録状況と反響状況は定期的に報告してもらえますか?」
⑥「自社で買主を見つけるまで、
他社の案内を止めるようなことはしないでください。」
⑦「早く売りたいので、
囲い込みをされると困ります。」
⑧「情報開示を制限するような営業方針なら、
媒介契約は見直させていただきます。」
⑨「過去に囲い込みで騙された経験があります」

とりあえず、囲い込みの抑止力に
なるかも?

そうですね。
不動産業者は
「売主様のレベル」を見てきます。
その時
(この人は詳しいんだ・・・)
と思われれば、変なことはしない
と思いますよ
囲い込みをされた場合の対処法

もし、囲い込みが判明した場合どう対処すればいいのか?
対策法を解説します。
※証拠をきちんと押さえてから、行動しましょう
締結中の媒介契約を中途解約
専任媒介契約・専属専任契約問わず、途中で解約をしましょう。
メールや手紙などで連絡するだけでOKです。

いきなり一方的な解約通知でなく、
証拠を突き付けてから、解約連絡をしましょう。
宅建協会に通告する
囲い込みは2024年まではやりたい放題でした。
しかし、
2025年から不動産売買仲介における「囲い込み行為」の罰則が強化される予定です。

今までは罰則はあってないようなもの、でした。
しかし今後は厳しいペナルティが下される予定です。
※内容は未定
民事訴訟&刑事告発をする

<民事訴訟>
仲介業者が囲い込みなど不正行為を行った場合、
損害賠償責任が生じる可能性があります。
<刑事告発>
囲い込みケースによっては「詐欺罪」や「背任罪」として
刑事責任を問える可能性があります。
まとめ

2025年「囲い込みで罰則が強化!」と言いたいですが・・・
手口が巧妙化しているため、
減少はしても「なくならない」かもしれません。
例えば
「担当者が入院した」→本当かもしれない
「売主の奥さんがインフルエンザ」→本当かもしれない
「内覧時に、買付が通らない」→本当かもしれない
本当かウソかなんとも言えない、ケースもあるため、
明らかな証拠を押さえない限り、
囲い込みはこれからも続きます。
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