
契約不適合免責ってなに?
メリット・デメリットは?

今回は契約不適合責任「免責」の
メリット・デメリットを
売主&買主双方の観点からわかりやすく解説します。
契約不適合責任とは?

契約不適合責任とは、売買契約後に商品に品質不良や間違い、
数量不足などの不備があった場合に、
売主が買主に対して負う責任のことです。

うーん、難しい!

わかりやすく、実生活に落とし込んで解説します
実生活で例えると?
あなたが、「お弁当屋さん」での買い物をしました。
注文内容はノリ弁当を5つで4000円です。
自宅に帰ると「弁当の注文が間違っている」
ことに気づきました。
①数量:3つ(注文は5つ)
②種類:唐揚げ弁当(注文はノリ弁当)
③品質:腐っていて食べられない(注文は食べられる状態)
①は数量の不適合
②は種類の不適合
③は品質の不適合

なるほど!
これなら私でもわかる♪

次は不動産においての契約不適合の
ケースを解説します。
不動産における契約不適合のケース

①不動産の数量の不適合
引き渡された数量が
購入数量に足りなかった場合です。
<例>売買契約で50坪の土地を購入。
しかし、自宅建築で仮測量をしたら、48坪だった場合。

売買契約書の内容と数量が異なるから、
不適合です。
注意点は公募売買(固定)の場合は、
不適合になりません。
<売買契約書の特約>
売主および買主は、本契約書第◯条の定めに関わらず、確定測量(または仮測量)の結果、売買対象面積に差異が生じても売買代金の増減を行わない事を確認しました。
ただし、登記簿50坪が、実際測定したら15坪しかなかった場合は、
錯誤による取り消しのケース(※)もあるようです。
※司法が最終的に判断します。
②不動産の種類の不適合
種類の不適合は
注文した商品の種類が異なっていた場合です。
<例>
・地目が異なっていた
・用途地域が異なっていた
例えば、5F建てのオフィスを作ろうと土地を購入したけれど、
用途地域が第一種中高層住居専用地域で、建築できなかった

種類の不適合トラブルは多くないようですが、
私も気を付けます・・・
③不動産の品質の不適合
品質の不適合は注文した商品の品質が悪く機能しないなどの場合です。

不動産で最も多い不適合が
「品質の不適合」です。
<品質の不適合の例>
・建物の経年劣化による雨漏り
・不動沈下による建物の傾き
・地中からブロックのガラが大量に出てきた
・建物の耐震の強度不足
・シロアリが発生した
・給配水管の損傷で水漏れ発生
買主が請求できる5つの権利


契約不適合があったら、
直してくれるの?
契約解除できるの?

買主様が請求できる
5つの権利を解説します。
①追完請求
「雨漏れをしているので直して」
「給水管から水漏れしているので直して」
追完請求は目的物の修補&代替物の引渡しや
不足分の引渡しを求めることができます。

お弁当の数が足りないから、
2つ作って!ってことね
不動産の場合は、
目的物の修補の請求ケースが多いです。
②代金減額請求
いきなり「代金を安くしろ!」とは言えません。
まずは、追完請求をし、それでも直してもらえないとき
「代金を減額して」と請求できます。

確かに・・・
いきなり減額しろって
怖い

ケースによっては修理不可能の場合があります。
その場合、催告なしですぐに代金減額請求できます。
③催告解除
「雨漏れを修理してくれない&減額してくれない」
となった時は、催告解除です。
※催告は相手に対して一定の行為を要求すること
買主としては、修理できず、仮に減額OKだとしても
住むための費用が膨大にかかるケースがあります。

減額しても、お金がかかりすぎたら、
納得できないな・・・
それなら購入を辞めたい!
って売主に伝えたくなるわ

もし催告解除をする場合は、
弁護士さんに相談しましょう
④無催告解除
無催告解除は、売主に対して履行の催告(履行を促す)をしないと
直ちに契約を解除すること

売主様に修理依頼をしても、減額をお願いしても
まったく応じてくれない場合、
催告せずに、買主と契約を解除します。

違約金かかるの?
不動産売買契約の違約金の欄には
売買価格の最大20%までとされています。
これは、手付解除期間が過ぎたり、決済でドタキャンしたりと
自己都合による契約解除の場合です。
⑤損害賠償の請求
損害賠償は契約相手に対して、
何かしらの損害を与えた場合
金銭で損害しなければいけない責任です。

売主様が
「故意に隠した不具合」や、
「売主の過失で生じた損害」
の場合は、買主様は損害賠償請求ができます。
故意に隠した不具合・・・・
例えば雨漏れを知っていたのに「ありません」と
雨漏れを隠していたなど
ただし、
売主側に故意や過失がなければ損害賠償の責任は負いません。

売主さんが
雨漏れを知っていたか?
知らなかったか?
どちらかわからない・・

「売主さんが雨漏れを故意に隠していた!」
と証明する必要がありますね・・・
契約不適合責任の「免責」とは?

免責とは「責任を免じること。責任を問われるのを免れること」

契約が不適合
つまり雨漏れをしても
売主さんは責任とって
くれないの?

そうです。
一般的には契約不適合責任期間内
は責任を取りますが、
「免責」は責任が無くなります。
契約不適合責任は任意規定です。
※買主は個人とします↓
<一般的な不適合責任の期間>
①個人間売買:3か月以内
②売主(法人)売買:1年以内
③売主が宅建業者売買:2年以内
④契約不適合責任免責:なし
売買契約の特約で契約不適合責任免責にできます。
ですが、②③の法人が売却する場合は、
特約で免責にしても無効になります。

買主は一般人で、売主はプロです。
買主に不利な条件での特約(免責)は
無効となります。
逆に、通知期間を引渡しから2年以上は可能です。
※買主に有利のため
ちなみに、
買主がプロ(業者など)の場合は、守る必要がありません。
そのため、責任の期間は自由に双方の同意があれば、自由です。
契約不適合責任免責のメリット&デメリットは?

契約不適合責任免責を売主と買主の立場で
メリット&デメリットを解説します。
①売主側のメリット&デメリット
契約不適合責任免責にする売主のメリット&デメリットの
解説です。
メリット:損害賠償リスクを回避
不動産を売却した後、責任を負わずに済む点です。
また、売主が個人であれば、設備の補修(給湯器など)などの
免責特約も可能です。

引き渡した後
あちこちトラブルが起きて対応するのは
面倒ですからね・・・
デメリット:価格が下がる
分譲マンションは価格に影響はありません。
ですが、戸建の場合は、成約まで遅くなったり
値下げ要求を受けるケースが多いです。
②買主側のメリット&デメリット
契約不適合責任免責にする買主側のメリット&デメリットの
解説です。
メリット:指値交渉がしやすい
区分マンションや人気物件は難しいですが、
戸建はしやすい傾向にあります。

買主様から見れば、あちこち不具合があったら
自分で修理が必要になります。
その分を値下げ交渉するのは「あり」
といえます。
デメリット:中古戸建はリスクが多い
分譲マンションはさほど影響はありません。
しかし、中古戸建はトラブルの宝庫。
雨漏れ、シロアリ、傾き、地中埋設などのリスクが多いです。
事前に物件調査(インスペクション)できる、
または大規模なリフォーム予定でしたら、リスクを軽減できます。
契約不適合責任免責にするケースは?

契約不適合責任免責にするケースを解説します。
※大手不動産は両手取引にしづらいため、嫌がりますが、
小さな会社は受けてくれるケースが多いです。
※当社は対応可能です。

故意に不具合を隠して売却した場合は、
無効に可能性があります。
分譲マンション
区分マンションで雨漏れ・シロアリ・傾き
が起きても、管理組合全体の問題です。
マンション占有部分のみのため、
給排水管のトラブル以外は不適合責任は起こりづらいといえます。

もちろん、可能性はありますが、
戸建に比べてマンションの契約不適合責任
の事例は少ないといえます。
特に築年数が新しいほど、トラブルは少なくなります。
戸建(旧耐震)の空き家
旧耐震の戸建て空き家は、契約不適合責任免責にしましょう。
建物の傾き、シロアリ、雨漏れは当たり前で、
売主様が修理したら数百万円もかかります。

空き家を解体前提で、
売却がおすすめです。
もしくは、
不動産投資家に契約不適合責任免責で売却を
おすすめします。
アフターが面倒な人(戸建て)
「現状有姿でこのまま引き取ってくれない?」
といった後々、
買主様から指摘が面倒な方におすすめです。
契約不適合責任免責のQ&A

契約不適合責任の免責についての疑問質問を
まとめました。
Q:大手不動産屋は契約不適合責任免責にしてくれない?
FRK書式(※大手の重説・契約書)は
「引渡し後3か月間」責任あり、です。

両手取引が目当てのため、
消極的といえます。
当社のような小さな会社は対応可能なケースが多いです。
Q:どんな特約を付けるの?
本契約書第◯条(契約不適合による修補請求等)および第◯条(設備の引渡し・修復)の定めにかかわらず、
売主は、買主に対し、本契約にかかる一切の契約不適合責任、および設備の修補責任を負わないものします。
したがって、買主は、本物件が品質に関して契約の内容に適合しないことを理由として、補修の請求、または本契約の解除をできません。
これに伴い、
本契約においては別紙「設備表」を作成しないものとし、第◯条(物件状況等報告書)中の「◯~◯」および「◯~◯」は記載しないこととします。
上記は契約不適合責任免責の一文です。
他には重要事項説明書の容認事項など、
一つ一つ記入が必要なケースがあります。
Q:契約不適合責任免責だと売れない?
分譲区分マンションは、契約不適合責任を負うケースが少なく
さほど影響がありません。

中古戸建はトラブルの宝庫です。
そのため、値下げ交渉などで柔軟に対応する
必要があります。
もちろん、築浅だったり、
ホームインスペクション済みで
問題なければ、適切な価格で売りやすいといえます。
Q:現状有姿と契約不適合責任免責は同じ意味?
現状有姿売買:キズや不具合があるけど、このまま引き渡すね
契約不適合責任免責:
後からわかる欠陥(例:雨漏り、白アリなど)についても売主に責任を問わない

現状有姿って
そのまま渡すから、
後で文句言わないでってことだと
勘違いしていた。

混同されやすいです。
①そのまま渡す
②欠陥の責任を負わない
ば別です。
比較項目 | 現状有姿売買 | 契約不適合責任免責 |
---|---|---|
意味 | 現在の状態のままで売却するという合意(キズ・汚れ等を含む) | 売買物件に契約内容と異なる不備があっても、売主が責任を負わない |
対象範囲 | 建物や設備の物理的な状態 | 法的・物理的・権利的な不適合すべて(例:隠れた瑕疵、無許可増築など) |
目的 | 修繕義務や原状回復の回避 | 不備発見後の責任や損害賠償請求を免れるため |
売主の責任 | 基本的に修繕等は行わないが、 契約内容に反する重大な不備があれば責任あり | 買主が不適合を発見しても、原則売主は責任なし(ただし、故意・重過失除く) |
買主の注意点 | 状態を現地確認し、 納得したうえで購入することが大切 | 専門家によるホームインスペクションが望ましい。あとで文句を言えないことを理解する必要あり |
表現例(契約書) | 「本物件は現状有姿のまま引き渡すものとする」 | 「売主は契約不適合責任を一切負わないものとする」 |
よく併用される? | 多くの場合、「契約不適合責任免責」とセットで使われる | 単独でも使用されるが、「現状有姿売買」と併記されるケースが多い |
注意すべき誤解 | 「責任をすべて免れる」と誤解しやすいが、重大な隠れた欠陥は責任を問われる可能性あり | 「隠れた欠陥も免責される」と理解されがちだが、売主が知っていた場合は免責されない |
まとめ

契約不適合責任免責:売主のメリット・デメリット
項目(売主側) | 内容 |
---|---|
メリット① | 引渡し後のトラブル(雨漏り・設備不良など)に 対応する必要がない |
メリット② | 買主からの補修請求や損害賠償請求を回避できる |
メリット③ | 売却後の精神的・金銭的負担が軽減される |
メリット④ | 古家・空き家などの状態不明な物件でも 売りやすくなる |
デメリット① | 売却価格が下がる可能性がある (買主がリスクを感じるため) |
デメリット② | 買主からの信頼度が下がるおそれがある |
デメリット③ | 隠れた欠陥を知っていた場合は免責されない (=トラブルリスクあり) |
契約不適合責任免責:買主のメリット・デメリット
項目(買主側) | 内容 |
---|---|
メリット① | 交渉によっては価格が安くなる可能性がある |
メリット② | 売主側が免責にしたがるため、 戸建なら交渉の主導権を握れることがある |
メリット③ | 自由にリフォーム・リノベーションする前提なら影響が少ない場合も |
デメリット① | 欠陥が見つかっても 売主に補修や損害賠償請求ができない |
デメリット② | 専門家による調査(インスペクション等)のコストが必要になる(戸建て) |
デメリット③ | 購入後の修繕費が予想外に高くつく可能性がある (戸建て) |
デメリット④ | 住宅ローン減税や瑕疵保険の利用条件に 影響する場合がある |
契約不適合免責にして、売却&購入する場合の
メリット&デメリットについて
あなたのお役に立てれば幸いです。
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