
土地を買う予定だけど、
公簿売買、実測売買
確定測量・・・
何が何だかわからない!
土地や中古戸建の売買の際、土地の売買について
公簿売買、実測売買、確定測量の区別がわからない!

そんなあなたのために、どれが多いケースなのか?
メリット・デメリットを解説します。
公簿売買とは?

公簿売買とは、法務局に登録してある土地の面積で価格を確定し、
実際に測量をしない契約方法です。
つまり、売買契約書にそのままの㎡数を記入し、
取引をします。

え?法務局って
法務省の地方支分部局でしょ?
そこに登記してあるデータなら、
問題ないでしょ?

昭和時代の測量は適当で
「実測と異なる」ケースが多いです
公簿(こうぼ)とは、
官公署が法令に基づいて作成し、備えておく帳簿や、
法令などに基づいて登記されている情報のこと
と聞くと「国が管理しているのだから問題ない」と思われがち。
しかし、昭和の時代の測量図は精度がイマイチで
実際の土地の面積を異なるケースが多々あります。

例えば150㎡で公募売買して、
実際に測量したら145㎡
つまりマイナス5㎡だとしても
買主減額は減額請求ができません。
※逆のケースもあり
<豆知識>
〇縄伸び:土地の登記簿面積<実際の面積
※田舎の広い土地
〇縄縮み:土地の登記簿面積>実際の面積
※都心の土地
公簿売買でよくあるケースは?
①広大な山林
広大すぎて、現実的に測量不可能な「山林」や
敷地面積が広すぎる案件は、公募売買がほとんどです。
②相続による案件
例えば、東京で家を購入した息子が、
群馬県の田舎の実家を相続した・・・
など、公募売買が多いです。

実家に年1回しか戻らず、
近所や、境界ブロックの所有など
よくわからない・・・
面倒くさい・・・
といった相続物件は
公募売買が多いです。
③田舎の土地売買
例:
Aは成城にあり坪300万円
Bは群馬県にあり、坪10万円
例えば150㎡で公募売買して、
実際に測量したら145㎡
つまりマイナス5㎡(1.5坪)と仮定します。
A:成城は1.5坪(450万円の損失)
B:群馬は1.5坪(15万円の損失)

なるほど!
地方の土地は安いから、
公募でもトラブルは
少ないわけだ!

東京など都心が坪単価が高額なため、
公募売買をすると
「感情的なトラブルに」
都心は確定測量がおすすめで、
地方は公募売買のケースが多いです。

本当は、確定測量がベストですが、
実際問題、そんな教科書通りにはいかない
ケースが多いようですね。
公簿売買のメリット&デメリット

メリット | デメリット |
・費用がかからない ・契約内容が単純 ・契約から引き渡しまでの時間が早い | ・実際の面積に誤差がり、トラブルリスクあり ・損をした気持ちになる ・小さい面積だと、予定建物が 建てられないケースも ・境界は未確定 |
公募売買と実測売買では、
公募売買の方がトラブルに発展しやすいです。

とはいえ、登記済みの測量図
が、比較的新しめ(90年代~)の場合、
著しく面積の差がでるケースが少ないです。
※昭和の古い測量図は
信ぴょう性が低く注意!
どうしても心配な場合は、
次の実測売買がおすすめです。
実測売買とは?
実測売買とは、土地の売買で、
実際に測量して得られた面積(実測面積)に基づき
売買代金を決定する売買方法です。
※大手のFRK契約書では「実測・清算型」とも呼びます。
<実測売買の基本>
①登記簿上の地積を基準に、売買金額を記入
②売買契約~決済前に実測し、差を清算する
例えば150㎡で公募売買して、
実際に測量したら145㎡
つまりマイナス5㎡(1.5坪)と仮定します。
㎡が単価1万円の場合、
5万円を売主→買主に清算します。

1㎡未満の誤差のケースでは特約をつけます。
「売主、買主は清算基準面積と
測量で得られた清算対象土地面積
との差異が1㎡未満の時は、
〇条の売買代金の清算を行いません」
実測売買のメリット・デメリットは?
メリット | デメリット |
・土地面積の誤差を 清算できる点 | ・時間がかかる ・実測の費用がかかる ・境界未確定 |
実測売買の測量は「仮測量」「現況測量」
とも呼びます。
土地の広さ、地域、業者にもよりますが、
約10万円~20万円ほど
現況測量費用が発生します。
測量は1日で完了し、
図面化は3日ほどかかります。

売主・買主どっちが
費用負担するの?

双方納得すれば、
どちらでも可能です。
ちなみに、不動産取引の慣例では売主様が
負担するケースが多いです。
※売主様の状況による
確定測量とは?
土地の境界を確定させた実測図のことです。
確定測量図は「確定実測図」とも呼ばれます。
※大手のFRK契約書では「確定・清算型」とも呼びます。

①民民確定:「当該地とAなど」民間人同士の境界確定
②官民確定:「当該地と市・県など」官と民同士の境界確定
上記2つを確定させることで「境界確定」が成立します。

へ~
それなら最初から
境界確定させれば?

おっしゃるとおりです。
ですが、境界確定は
大きなデメリットがあります。
境界確定のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・境界トラブルが激減する ・土地を分筆できる ・売りやすい | ・費用が30万円~50万円かかる ・2.5か月~6か月と時間がかかる ・トラブルを自ら起こしに行く とよりトラブルになる |
境界確定をすることで、隣地とのトラブルが減り、
買主さんへのアピールポイントになります。
また、不動産屋さんが、ハウスメーカーなど業者へ
紹介するときは分筆が必須となります。

大きすぎる土地は、個人は買いません。
そのため、パワービルダー・ハウスメーカーさんが
購入をして、区割りして、売ります。
分筆するには、確定測量が必要になります。
デメリットは費用がかかる、時間がかかる点です。
・赤道や青道は確定はやや高額
・公園や国道があると4か月~6か月
・隣地の所有者が行方不明
・トラブルおじさんが住んでいる
隣地との立ち合いで、境界はこっちだ!ともめると、
筆界特定制度の利用をします。

法務局の登記官が筆界案を示し
「ここが境界位置と思われます」
と提案するだけです。
登記官に境界を決定する強制力はありません。
最終的には境界確定訴訟にて境界が確定します。
※裁判費用と1年以上歳月を必要とします。

なんか面倒くさそうね・・・

確かにそうですね。
今まで良好な関係だったのに、
「確定させたいので立ち会ってほしい」
とトラブルになったら、
隣人と険悪になります。
筆者の自宅は換地(区画整理地)で、
ある程度確定部分がありますが、
一部、ブロックが越境されています。
ちなみに、筆者の自宅建築の際、
家屋士さんに越境を指摘されましたが、
「数センチの越境なんて別に気にしません」と回答しました。

どうして?

何十年と良好な関係を気付いていたのに、
たかだか数センチを指摘して
住みづらくなったら・・・
イチイチ文句を言う必要ないでしょう
家に住む目的は
「快適な生活」を楽しむためですから。
個人で境界確定が必要なケースはない?
不動産業者がパワービルダーに土地を卸す以外に、
緊急で境界確定させる必要はない、と思います。
※確定しないと家が建たない場合は例外
ですが、東京の高坪単価(300万円など)の土地の場合、
確定測量は必須といえます。

トラブルになったら?

どんなトラブルでしょうか?
トラブルになるケースは、
隣地とのブロック(※)は誰のもの?
※解体でもめる
境界立ち合いで「意見の相違」で隣人と
もめるなど・・・です。
もちろん、できるなら確定測量が良いですが、
現実的には公募売買や実測売買が多いです。
現況測量で自宅を建築できる(筆者の自宅のように)
なら、それでよいですし、
どうしても確定測量をしたくなったら、
引き渡しを受けてから、測量する方法もあります。
よくある質問Q&A

公簿売買、実測売買、確定測量について、
よくある疑問をQ&A形式で解説します。
Q:公簿売買だと境界の明示が不要?
公簿売買でも、確定測量でも、境界の明示は必要です。

「公簿=そのまま固定」
というイメージから、
境界の明示が不要と勘違いする
営業マンが一部いるようです。
Q:契約前に現況測量はできない?
売主様が了承すれば、契約前でも現況測量は可能です。
しかし、その場合は、
買主様負担となるかもしれません。

売主負担で現況測量した結果
買主が「やっぱり買いません」
となれば、売主様の気分を害するからです。
Q:公簿売買、実測売買、確定測量どれがいい?
教科書通りなら、確定測量がおすすめです。
しかし、現実的には公募売買が多く、
昭和の測量図で不安なら、清算金が発生する
実測売買が公平でおすすめといえます。
まとめ

公簿売買、実測売買、確定測量は
どれもメリット・デメリットがあります。
youtuberなどが「確定測量がいい!」と必死に説明していますが、
ケースバイケース。
理想論ばかりで、現実を知らないようです・・・

確かに、理想ばかりじゃ
生きていけないわよね・・・

土地の取引は人間同士ですから。
絵空事よりも、リアルな売買交渉が必要と
言えます。
もちろん、何度もいいますが、
確定測量ができるなら、おすすめです。
公簿・実測・確定測量について
あなたのお役になれば幸いです。
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