土地を買う前の17つの注意点
「注文住宅を建てたいけど、
どんな土地がいいんだろう」
今回は、土地選びで迷うあなたのために、
17個に分けて注意点を解説します。
※この記事を読めば、
土地選びで90%は失敗しない・・かも?
①ハウスメーカーを先に決める

土地選びが先じゃない?
戸建てを建築する際
①土地を探す②ハウスメーカーを探す、
と考えがちです。

実際は
①ハウスメーカーで
建物予算を決める
②土地を探す
が失敗しない手順です。

え?どうして?
理由は簡単で予算オーバーになるからです。
例えば、3000万円の予算の場合、
①土地が気に入って1500万円
②建物は残り1500万円
打ち合わせを重ねるうちに、
あれも欲しい、これも欲しい・・・
「理想の家を作るには最低2000万円ないと・・・」
となると、計画が振り出しに戻ります。
加えて、用途地域の法規制に注意です。
適当に決めた
土地の用途地域にあなたの理想の家が建築できるか?わからないからです。
区分 | 用途地域名 | 主な特徴・建築可能な建物 |
住居系 | 第一種低層住居専用地域 | 低層住宅中心。高さ制限あり。小規模な公共施設や店舗も限定的に可能。 |
住居系 | 第二種低層住居専用地域 | 第一種よりやや用途が広く、事務所や小規模店舗も可能。 |
住居系 | 第一種中高層住居専用地域 | 中高層住宅が建築可能。病院や大学なども建てられる。 |
住居系 | 第二種中高層住居専用地域 | 第一種よりも用途が広く、飲食店や小規模店舗も可。 |
住居系 | 第一種住居地域 | 住宅中心だが、3,000㎡以下の店舗・事務所・ホテルなども建築可能。 |
住居系 | 第二種住居地域 | 第一種住居地域よりもさらに用途が広がり、カラオケ店なども可。 |
住居系 | 準住居地域 | 幹線道路沿いなど。住宅のほか、自動車関連施設や倉庫も建築可能。 |
商業系 | 近隣商業地域 | 商業施設と住宅が混在。小中規模の店舗・飲食店など。 |
商業系 | 商業地域 | 駅前・繁華街など。百貨店・銀行・ホテルなど大型商業施設が可能。住宅も建築可。 |
工業系 | 準工業地域 | 環境に悪影響の少ない工場・住宅などが建築可能。 |
工業系 | 工業地域 | 工場専用エリア。住宅や学校は建築可能だが、商業施設は制限あり。 |
工業系 | 工業専用地域 | 工場専用。住宅・学校・病院は建築不可。 |
特別用途 | 田園住居地域(2018年追加) | 農業振興と調和した住居地域。農家レストランなども可能。 |

不動産業者は「仲介のプロ」で、建築はアマチュアです。
用途地域などに説明に注意をしますが、
ハウスメーカーの設計士さんに
最終判断を仰がないといけません。
以上のことから、
ハウスメーカー探し(※建物)からのスタートがおすすめです。
②区域に注意
市街化区域/非線引き/市街化調整区域を決める
理想は市街化区域を選択することです。

市街化調整区域は担保価値は低く、
土地の履歴(浸水歴、洪水歴)は
不明瞭のため、
積極的におすすめしません。
非線引きは現在問題ないですが、
将来、調整区域になるリスクがあります。
③用途地域&建蔽率と容積率に注意
例えば、「広めの平屋(35坪)を立てたい!」
低層エリアを選択すると、庭が広くないと建蔽率的にきついです(40%)
※70坪で建蔽率40%=建坪28坪だと小さめの平屋に・・・・
商業地域の近くですと、
騒音が気になるリスクがあります。

平屋なのか、2F以上の戸建てなのか?
イメージしている建物を
ハウスメーカーの建築士さんに質問しましょう。
④防火地域・準防火地域に注意
防火地域・準防火地域の土地は
「市街地における火災の危険を防除するため定める地域」
として指定されるエリアです。

東京23区内はあちこちが防火、準防火エリアですが、
田舎だと駅前が防火、
その周辺が準防火エリアのケースが多いです。
特に防火地域は耐火構造にしたり、
窓等の開口部を防火窓や防火ドア、防火ダンパー付き換気扇にすることなどが必要があります。
つまり建築コストがアップするため、注意が必要です。
【メリット】 | 【デメリット】 | |
防火地域 | ・火災に強く、周囲への延焼を抑える設計が義務化されている。 | ・建築コストが非常に高い(耐火建築物が必須) |
・都市中心部や商業地に多く、安全性が高い。 | ・木造住宅が基本的に建てられない | |
・耐火建築物が基本となり、災害保険料が安くなるケースも。 | ・自由な設計の制限が強い | |
準防火地域 | ・一定の防火性能が求められるため、 ある程度の火災リスクに対応できる。 | ・建築制限あり(防火仕様の外壁・窓など) |
・木造住宅の建築も可能(条件付き) | ・通常地域に比べて建築コストがやや高い | |
・保険料の優遇もある場合あり。 | ・開口部(窓やドア)に制約が出ることもある |
⑤地目に注意
土地を買う際に「地目」をチェックしましょう。
畑・雑種地:
畑から宅地への地目変更では、地目変更を行う時期に注意が必要
市街化区域の中で、畑や雑種地の場合、費用は4~5万円程度かかります。
※畑は農地法の届け出&地目変更が必要

市街化区域で畑の場合は、逆を言うとラッキーです。
建物を解体すると、埋設物が出ることが多く、畑の場合は、埋設物の確率が低いからです。
⑥地盤が軟弱だと地盤沈下に注意!液状化現象のリスクあり
購入予定の土地の地盤の固さを確認しましょう。
<簡単なチェック>
・電柱が傾いている
・河川が近い
・土地の名前に川や沼がある
・昔、湖だった
住まいの安心研究所などで、住所を入力すると確認できます。

強い地盤・やや強い地盤・ふつうの地盤・弱い地盤など色別で確認できるため、便利です。
地盤が緩いと、改良工事費用(50万円から200万円ほど)かかるため、
土地が安いからといって安易に飛びつかないようにしましょう。
⑦地形と高低差に注意
地形
理想は正方形。
長方形に近い土地の形です。
・・・といっても、理想の字型の土地はありません。

奇麗な正方形の土地が理想ですが、業者間ですぐに売れてしまいます。
そのため、ある程度、形がいびつ(台形など)だとしても、設計士によってはうまく設計してくれます。
また、旗竿地は敬遠されがちですが、
大幅な値下げ交渉が通れば、良質な土地とも言えます。
土地の高低差
道路や隣家の敷地との高さが異なっている
「高低差のある土地」は注意が必要です。
高低差が大きいと、
造成工事が必要となり、ケースによっては都道府県知事の開発許可が必要になります。

<土地が高いメリット>
①洪水で床上浸水しづらい
②目線が高いため、プライバシー確保できる
<デメリット>
①造成工事費がかかり
②土留めや擁壁工事費がかかる
③階段設置費用がかかる
逆に土地の方が低い(※調整区域の田んぼ)場合は、土を埋める必要があるため、
費用が高額になります。
⑧道路と種類の位置関係に注意

土地と道路って関係あるの?
土地と道路は戸建建築においてかなり重要です。
建築基準法でいう道路とは、公道、私道を問わず幅員4m以上。
敷地が幅員4m以上の道路に最低限2m以上接していなければ戸建を建築できません。
【注意道路の記事】
→みなし道路セットバックが必要
⑨種類:私道 or 公道か?
①公道:市道・県道・国道で公的な道路のため、交渉や問い合わせがしやすい道です。
②私道:個人or法人が所有しており、私的な道のため、交渉に時間がかかります。
私道の場合、例えば上下水道管が近所のおじさんが所有しているケースがあります。
そのため、通行許可や掘削許可、下水の使用許可などが必要です。

ご近所が上下水道管を所有していると、少し面倒です。
私道に接している土地を購入する場合、持ち主が誰か?
営業担当と確認してから購入しましょう。
⑩境界に注意
土地と土地の間の「境界」が確定しているか?していないか?
事前に担当者に確認しましょう。

境界が確定している土地がベスト。
・・・と言いたいですが、実際は公募売買で確定していない土地が多いです。
現実的には、土地の売買は公募売買です。
「現況測量」をして、注文住宅を建てるケースが多いです。
⑪高さ制限などに注意
□道路斜線制限:
敷地の周囲にある道路から発生する架空の斜めの線による制限
※反対側の境界線までの距離1.25倍/1.5倍以下に建物の高さは制限
□隣地斜線制限:
隣人の採光、通風など良好な環境を保つため建築物の高さを規制
□北側斜線制限:北側隣地の日照の悪化を防ぐ制限。
5mまたは10mの基準の高さから、北側境界線までの距離の1.25倍以下(傾斜勾配)に建物の高さが制限
□絶対高さ制限:
第1種低層住宅専用地域・第2種低層住宅専用地域・田園住居地域内にある場合、建物の高さが10mもしくは12mに制限
※一般的な「2F戸建て」は約8.5mほど
□日影規制:建築敷地の隣地の日照を保護するための制限

高さ制限などは簡単に言えば、高すぎる建物は作るな、日当たりが悪すぎる家を作るな・・・的な制限です。
家を作るとき、営業・設計さんとよく質問をして、お家を建てましょう。
⑫埋蔵文化財包蔵地に注意
埋蔵文化財を包蔵する土地として周知されている土地のことです。
簡単に言うと、「石器、土器」などの遺物が地中に埋まっている可能性がある土地です。
全国で約46万か所存在し、売却価格は安価で、調査費用は売主が負担します。

分譲地で事前にチェックされているのであれば、買ってもいいです。
ですが、遺跡が発見された場合、調査(試掘など)をし、補助金が出たとしても面倒です。
事業地が遺跡内にある場合、
工事着手の60日前までに文化財保護課に書類の提出が必要です。
※不動産会社が調査してくれますが、
心配でしたら役所の文化財保護担当課に問い合わせください。
⑬インフラ(電気、ガス、上下水道など)に注意
・電気は電柱の位置がどこなのか?
・光回線の引き込みはどこからか?
・都市ガスの引き込みルートは?
・プロパンガスエリアか?
・上水道は前面道路にあるか?
・下水道は前面道路にあるか?
・浄化槽エリアだが、対応しているか?
など、インフラ系は確認点が多いです。
⑭ハザードマップ(水害・災害)に注意
河川の近くで、川が氾濫すると、堤防が決壊し、浸水リスクが高まります。
その際、浸水の範囲や深さ、指定緊急避難場所・指定避難所の位置を示した
「洪水ハザードマップ」を調べましょうです。

・・・と言いたいですが、
東京23区内はハザードマップは真っ赤(汗)
群馬の田舎でも、
赤い範囲が広く、今後、気温上昇で真っ赤に染まる気がします。
⑮盛り土・切土など
土地を盛ったり・切ったりした土地です。
結論から言うと、地盤が軟弱・家が斜めに傾いて沈む「不同沈下」などが起きやすいです。
また、斜面を埋め立てて造られた土地などはおすすめしません。

盛土がすべて危険なわけではありませんが、気を付けないと後悔します。
⑯過去の土地利用履歴に注意
購入予定の土地が何に利用されてきたのか?歴史を調べましょう。
- 戸建て
- 倉庫
- 資材置き場
- 駐車場
- アパート
- 工場
- お墓
→地図・空中写真閲覧サービス|国土地理院
→明治期の低湿地データ|国土地理院
などを使って、土地の履歴を調べましょう。

一番簡単な方法は、お隣さんにヒアリングすることです。
※売主が相続人だと、
「わからない」と言われるため、ご近所への聞き込みがおすすめ!
⑰土地の周辺環境に関する注意点
土地だけでなく周辺環境も大切です。
日当たり
日当たりがいいのか?空地で建物が立たないか?
など日当たりがどの程度なのか、できれば、設計士と現地で確認しましょう。

日当たりのシュミレーションソフトがあるため、設計士にお願いして計算してもらいましょう
サン・サーベイヤーがおすすめ↓
建築計画
都市計画道路の計画があるのか?公園などができるのか?
など、「◎◎市 都市計画道路」で検索しましょう。

計画道路は、都市計画法に基づいて将来整備される予定の道路です。
まだ工事はされていないが
「将来この土地に道路が通る予定」として市町村が決めているものです。
計画道路にかかっている土地では、建築許可が必要な場合があります(都市計画法第53条)。
特に道路予定地に建物の一部がかかっていると、再建築できない可能性も。
アクセスの良さ
職場、学校・幼稚園・スーパー・病院・公園
などが購入予定の土地の近くになるのか?
また、町内会の参加費用は?ゴミ置き場はどこか?
など下調べしましょう。
騒音・振動・臭い
①騒音:ご近所に音がでる工場があるか?
②振動:工場や幹線道路など、振動がするか?
③臭い:牛舎や飲食店などで匂いがするか?
土地を購入前に、実際に現地へいって、歩いて周辺環境を確認しましょう。
まとめ

【土地選びの注意点】
①ハウスメーカーを先に決める
②区域に注意
③用途地域&建蔽率と容積率に注意
④防火地域・準防火地域に注意
⑤地目に注意
⑥地盤が軟弱だと地盤沈下に注意!液状化現象のリスクあり
⑦地形と高低差に注意
⑧道路と種類の位置関係に注意
⑨種類:私道 or 公道か?
⑩境界に注意
⑪高さ制限などに注意
⑫埋蔵文化財包蔵地に注意
⑬インフラ(電気、ガス、上下水道など)
に注意
⑭ハザードマップ(水害・災害)に注意
⑮盛り土・切土など
⑯過去の土地利用履歴に注意
⑰土地の周辺環境に関する注意点
以上、あなたの土地選びの参考になれば幸いです。
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