
戸建を購入する時、
境界非明示で公募売買ってヤバイ?

投資用のアパートの場合は、
①境界非明示②現況有姿③公簿売買
はよくあります。
ですが、戸建&土地の場合は、
①は注意が必要です。
今回は、住居用の戸建て&土地の
境界非明示について解説します。
境界明示・境界非明示とは?
境界明示とは、土地売買で買主に対し、
境界を明示することが義務付けられています。
ちなみに「明示」とは明らかに示すこと。はっきり示すこと。
【民法415条】境界の明示を行わず土地を売却すると、
債務不履行となり損害賠償責任が売主に発生する場合がある

義務ってことは
強制ってこと?

境界明示は義務です。
しかし、売買契約の特約で
非明示にできます。
【境界の明示を省略】
買主は本物件土地に関し、売主が境界の明示を省略することを承諾の上、
買い受けるものとし、将来本物件土地の面積、形状等に変化、
差異が生じても、買主は売主に対して何らの異議を申し立てない。
※不動産契約 特約雛形DBより参照
境界明示はいつまでに行う?
境界明示は残代金支払日までに、
現地で境界標を指示して境界を明示します。

明示ってなにするの?

①境界標の指差し、
ない場合は復元
②写真撮影
などが一般的です。
境界標がない(地震やイタズラで紛失)とき、
売主は境界標を設置(復元など)して境界を明示します。
※ちなみに、道路(私道含む)と土地との境界は、境界標は省略できます。
確定測量をするか、時間や予算関係上難しい場合は
境界標を復元や設置しましょう。
法務局に保管された「地積測量図」を見ながら、
現地の境界標を確認し、復元しましょう。
境界非明示のメリット・デメリットは

メリット | デメリット |
・費用がかからない ・手間がかからない | ・引き渡し後、 隣人とのトラブルの可能性を含む ・売却しづらい ※安くなる |
境界非明示について売買契約書に特約を入れ、
売主・買主双方が同意すれば、費用がかからず、
手間がかかりません。
しかし、隣人とのトラブル可能性があり、
土地・建物を売却する際、売りづらくなります。

投資用のアパートはよくあるため、
さほど気にせず問題ありません。
しかし、戸建・土地の場合は、
購入者から見ると、買い控えにつながる
ケースもあります
境界非明示の具体的なケースは?

どうして非明示
になるの?
①田舎の相続案件
都心に住む相続人が実家や土地を相続し、
売却する際「立ち合いとか面倒」と境界非明示で
売却するケースがあります。
※古めの空き家などで多いです。
②お隣の連絡がつかない(立ち合い不可)
お隣が空地で、登記名義人に連絡がつかない。
または、相続登記が未了で、相続人が行方不明など
境界確認ができないため「境界非明示」となります。
③立ち合いを拒否された
土地家屋調査士に交渉を委ねます。
お隣さんと険悪な仲だったり、
立ち合い拒否をされた場合、
境界非明示になるケースがあります。

境界確認の立ち合いは義務でなく
任意です。
イヤがある人を無理やり立ち会わせる
わけにはいきません。
境界非明示&契約不適合責任免責は危険?

相続案件で、相続戸建・土地のことをよくわからない場合は、
売買契約の特約で
①境界非明示②契約不適合責任免責に
するケースはあります。

築40年の旧耐震戸建てで、
雨漏れ、水回りの修繕履歴がわからない。
隣地との境界もよくわからない・・・
となると、値下げして売却する方法が
ベストといえます。
よくあるQ&A

境界非明示について、よくある質問をまとめました。
Q:境界標が破損・移動する原因&対策は?
【原因】 | 【説明】 |
工事・造成時の誤撤去 | 建築工事や外構工事、道路工事などで、 重機がぶつかったり、掘削時に取り除かれるケース |
地盤の変動や自然災害 | 地震や地盤沈下、大雨による地盤のゆるみなどで、境界標が傾いたり埋もれたりケースあり |
悪意ある移動・破損 | まれに隣地トラブルや土地の拡張を狙った意図的な移動が行われることも。 ※法的には違法 ※近所の子供が剥がして、持ち帰った |
草刈りや清掃時の破損 | 草刈り機や刈払い中に、誤って境界標に接触して破損 特にプラスチック製は壊れやすい |
経年劣化 | 石やプラスチックの境界標は、 紫外線や風雨により劣化し、 風化して砕けたり割れるケールあり |
舗装や地形の変更 | 境界標がアスファルトで覆われる、 または整地によって位置が変わったように見える |
以下、対策方法について
【対処方法】 | 【内容】 |
土地家屋調査士に相談 | 元の位置を特定するため、 測量や登記簿との照合を依頼します。 |
境界復元登記を検討 | 破損や紛失が確定している場合は、 復元測量を行って正式に設置し 直せます。 |
隣地所有者との立ち会い | トラブル防止のため、隣地所有者と立ち会って設置するのがベストです。 |
破損・移動させた者の責任追及 | 意図的な破壊・移動が明らかであれば、 民事上の損害賠償請求や警察への相談も 視野に入れましょう。 |
Q:隣地と境界が越境している場合は?
<越境でよくあるパターン>
・家の樋が隣地上空を越境している
・ブロックが傾いて空中越境している
・敷地に木の枝が飛び出す
・電線電話線などの引込線が空中越境
越境している/されているケースがあります。

越境の場合は、
売買契約に特約をつけます。
本物件東側隣地の建物の一部が越境している可能性がある為、
隣地と立会の結果、越境が確認された場合は、
売主は本物件引渡し期日までに
「越境建物の建て替え等の際には越境部分を収去する」等の内容の
「確認書」を隣地越境者より印鑑証明書添付にて取得し買主に引き渡すものとする。
隣地と越境部の確認書参照
本物件の北側隣接地(地番:○○番○)の○○氏所有の
建物の屋根の雨樋(幅約15cm・長さ6m)の一部が越境しております。
この越境物の
撤去については別添の覚書が売主と○○氏間で交わされています。
金龍ラーメンさんが、龍のしっぽが越境しており、
撤去されました。
まとめ

<境界明示>
・境界明示が義務
※売買契約書の特約で非明示も可能
・「地積測量図」で境界標を復元
・道路・私道は立ち合い不要
・田舎の相続案件は境界非明示が多い
・投資用アパートは境界非明示が多い
確定測量でない場合、実測売買にして、
現地測量時に、土地家屋調査士さんに、境界標の復元を
お願いする方法もあります。

教科書的にいえば、
確定測量がベスト。
しかし、現実的にそうはいかないため、
公募売買や実測売買がおすすめです。
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