【媒介契約書の基礎知識】
売主様が「土地・戸建てを売りたい!」「マンションを売りたい!」といった場合、
口頭で「物件の売却任せる」といっても、
言った言わないでもめるリスクがあります。

細かいルール・条件などを決めなければいけません。
媒介契約書に署名捺印するため、
後でもめることはありませんよね。
媒介契約書ってなに?
媒介契約書とは、
不動産会社に仲介を依頼する際に締結する契約書です。

費用はかかるの?印紙代は?

契約書ですが、費用は無料です。
また、印紙代はかかりません。
媒介契約書の締結タイミングは?書かないとダメ?
媒介契約書の締結タイミングは、
売却を不動産会社に依頼するタイミングです。
口頭で依頼すると、
仲介業者は仲介手数料をもらえないリスクもあります。

・仲介手数料がいくらなのか?
・レインズへの登録機関
・違約の場合の処理
など、必要な事項がたくさんあります。
また、買主側も媒介契約書が必要となります。

なるほど!
口頭でなく、「あなたに物件紹介を任せる」って意味で必要なのね

はい。
買主さんも購入の仲介依頼のため、媒介契約書の記載が必要です。
ちなみに、買主側の仲介は一般媒介が多く、
買付証明書提出タイミングや売買契約日に記載することが多いです。
媒介契約書はITで交付できない?
媒介契約書はITで電子交付は可能です。
2022年5月には宅地建物取引業法が改正されました。

媒介契約締結・重要事項説明・売買契約締結の電子交付が認められました。
・・・と言いたいですが、売主様がお年寄りの場合は「紙」での契約が多いです。
まだまだIT化は遠いといえます。
媒介契約書の記載事項の10つのチェックポイント

媒介契約書の記載事項の10つの重要ポイントを解説します。
①契約は3種類
媒介契約書は
①一般媒介②専任媒介③専属専任媒介と3つあります。
【一般媒介】 | 【専任媒介】 | 【専属専任】 | |
依頼可能な業者数 | 複数社 | 1社のみ | 1社のみ |
販売活動の報告 | なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
レインズへの登録 | 義務なし | 締結した日から 7日以内 | 締結した日から 5日以内 |
自己発見 | できる | できる | できない |
一般媒介は、複数社に依頼でき、
専任と専属専任は1社契約です。
また、売却活動の報告は一般媒介は不要です。
(※任意で依頼可能)
レインズは不動産会社同士の「出会い系サイト」のようなサービスです。
一般媒介は登録不要ですが、
専任・専属専任は登録義務があります。

不動産屋さんの90%以上は専任媒介契約をおすすめしてきます。
②契約の有効期間
一般媒介は特に決まりがありません。
専任媒介契約や専属専任媒介契約の有効期間は「最大3か月」です。

最大ってことは・・
1か月でもあり?!

可能です。
ちなみに、売却まで最低3か月以上かかるケースが多いため、
3か月をおすすめします。
③レインズへの登録義務&報告義務

レインズ登録って・・・
私のおうちは本当に登録しているの?

登録証明書が発行されますし、
IDパスワードでログイン&内容確認ができます
一昔前は、登録証明書発行はありませんでした。
しかし、悪徳囲い込み業者の悪事を防ぐ目的で、レインズ登録の証明書が登場しました。
④一般媒介は「明示型か非明示型か」
□明示型:他にどの業者に依頼しているかを相手に通知
■非明示型:不要

一般媒介契約は
「浮気」できる契約です。
明示型は「僕はA子ちゃんとB子ちゃんと付き合っている」と
C子ちゃんに通知します。
非明示は内緒で浮気できます。

ええ!
なんか気持ちが悪い!

国土交通省が定めた書式では明示型になっています。
業者からすれば
「浮気されているんだから、営業はそこそこでいいや」
と活動がネガティブになりがちです。
⑤義務
不動産仲介業者は、
購入希望者が買付証明書を提出したとき、購入希望金額にかかわらず、遅滞なく、依頼者に報告する義務があります。

囲い込み業者は他社不動産業者から連絡があっても、
「もみ消し」ます。
希望額が安すぎる場合もありますが、
売主さんの正直に報告をする義務があるわけです。
⑥媒介契約の解除時ペナルティ
一般媒介は解除時の違約金などペナルティはありません。
しかし、
専任媒介契約・専属専任媒介契約は
仲介手数料に「相当する金額」が定められていることが多いです。

仲介手数料に「相当する金額」のため、満額とは限りません。
⑦特別依頼に係る費用
例えば、東京の業者が、依頼者の特別依頼で「沖縄へ出張調査」に行くなどです。

物件金額が高ければ、とられることはないと思います。
⑧媒介報酬の条件
媒介報酬は
物件が売れた、買えた時に支払う「不動産屋へのギャラ」です。
※物件価格の3%+6万円に消費税がかかります。
⑨国土交通大臣が定めた標準契約約款に基づくか否か
標準契約約款とは、契約の公正性・透明性を確保するために、国土交通大臣などの行政機関が内容を審査・認可した、業界共通の契約書式のことです。
たとえば:
- 建設工事標準請負契約約款(公共工事・民間工事用)
- 宅地建物取引業に関する標準媒介契約約款(一般・専任・専属専任)
- 貨物運送に関する標準運送約款(運送業法)

国土交通大臣が定めた標準契約約款の媒介契約なら
安心です。
仮に裁判になった時も、一般的に信頼性・公平性が高いとされます。
⑩建物状況調査を実施する者のあっせん
建物状況調査(インスペクション)とは、
中古住宅などの売買にあたって、建物に劣化や不具合がないかを専門家が調べる調査のことです。
→ 例えば「雨漏りがないか」「基礎にヒビが入っていないか」などをチェック
「あっせん」とは、その調査をしてくれる専門家(建築士など)を紹介すること
【売主】
|
(家を調査したい!)
↓
【不動産会社(宅建業者)】
|
(建物状況調査を実施する専門家を紹介=あっせん)
↓
【インスペクション業者(建築士など)】

専門家を紹介するだけです。
「依頼する/しない」は別の話で、
話を聞いて、必ず申し込みが必要なわけではありません。
※ラグジュ様のyoutubeサイトより参照
媒介契約書のひな型・見本は?

こちらになります。
※あくまでサンプルです。
媒介契約書に関するQ&A

- Q買取でも媒介契約書は結ばないといけませんか?
- A
不動産の買取の場合は「仲介」でないため、不要です。
ただし、仲介業者が間に入る場合は必要です。
- Q仲介手数料はいつ支払いますか?
- A
①売買契約成立時の50%支払う
②決済日&引き渡し日に50%支払う
上記のケースがほとんどです。
- Q媒介契約自体、無料?
- A
媒介契約は無料です。
仲介業者の報酬は原則仲介手数料です。※ただし、特殊な依頼は別途費用が発生します。
専任媒介契約書を実際に解説!

※動画で解説
国交省の専任媒介契約書を元に、解説します。
成約に向けての義務
甲:売主
乙:不動産の仲介業者
<文章>
一 乙は、契約の相手方を探索するとともに、
契約の相手方との契約条件の調整等 を行い、 契約の成立に向けて積極的に努力します。
<やさしく解説翻訳>
仲介業者は「買主を探す」とともに、買主と契約条件の調整をし、契約成立に向けて努力します。
<文章>
11 乙は、甲に対し、 〇〇(方法)により
〇回以上の頻度で業務の処理状況を報告します。
<やさしく解説翻訳>
仲介業者は売主に対し、文章・メール・LINE・電話などで
2週間に1回以上のペースで進捗状況を報告します。
<文章>
三 乙は、目的物件の売買又は交換の申込みがあったときは、
甲に対し、遅滞なく、 その旨を報告します。
<やさしく解説翻訳>
仲介業者は「取引物件を買いたい!」と
申込が入ったら、売主に速やかに連絡します。
<文章>
四 乙は、広く契約の相手方を探索するため、 目的物件につき、 所在地 規模 形 質、媒介価額その他の事項を〇〇にこの媒介契約 の締結の日の翌日から4日以内(乙の休業日を含みません。) に登録します。
また、目的物件を登録したときは、遅滞なく、 甲に対して宅地建物取引業法第50 条の6に定める登録を証する書面を交付します。
なお、乙は、 目的物件の売買又は交換の契約が成立したときは、
宅地建物取引 業法第34条の2第7項に基づき当該契約に関する情報を指定流通機構に通知し、
当該契約に関する情報は、 当該指定流通機構から宅地建物取引業者に提供される など、
宅地建物取引業法第50条の3及び第50条の7に定める指定流通機構の業務 のために利用されます。
<やさしく解説翻訳>
仲介業者は、購入希望者を探すために、
物件の「所在地 規模 形 質、媒介価額その他の事項を」
不動産の出会い系サイト「レインズ」に登録します。
※専任媒介は契約の締結日から5日以内(※業者の休業日を含みません)
また、対象物件の売買が成立したときは、
レインズに通知(取引金額など)し、レインズから他社の業者に取引状況が提供されます。
※売買が成立すると「取引事例」のデータが残ります。
「今後、近隣で売却する人が出てきたら参考にします」
なお、専任・専属専任媒介で期日までに登録をしないと、
業者は違反行為となります。
※一般媒介の場合は任意
<文章>
2媒介に係る業務
乙は、1に掲げる義務を履行するとともに、
次の業務を行います。
乙は、甲に対し、 目的物件を売買すべき価額又は評価額について意見を述べる ときは、その根拠を明らかにして説明を行います。
<やさしく解説翻訳>
仲介業者は、1に掲げる業務に加えて、
売主に対し、物件の査定評価額、売却金額の根拠を説明します。
※例えば査定額が2000万円の戸建なら「なぜ?2000万円なのか?」
エビデンスに基づいた査定が必要です。
査定額が例えば2000万円なのに
「2800万円で売れますよ!チャレンジしませんか?」と
媒介契約目当てでの業者がいます。
※根拠がない金額を提示する業者が違法行為に恐れがあります。
<文章>
二 甲が乙に目的物件の購入又は取得を依頼した場合にあっては、
乙は、甲に対し、 目的物件の売買又は交換の契約が成立するまでの間に、
宅地建物取引士をして、
宅地建物取引業法第35条に定める重要事項について、 宅地建物取引士が記名押印 した書面を交付して説明させます。
<やさしく解説翻訳>※甲が業者 乙が買主、
買主が仲介業者に対し、物件の購入や取得を依頼した場合、
仲介業者は、買主に対し、
「売買契約が成立するまでの間」に
宅地建物取引士が重要事項説明に記名押印した「書面を交付し、説明」します。
かんたんにいうと、
「買主に対し、重要事項説明書を交付し説明、その後、売買契約書を交わします」
<文章>
三 乙は、 目的物件の売買又は交換の契約が成立したときは、
甲及び甲の相手方に 対し、 遅滞なく、
宅地建物取引業法第37条に定める書面を作成し、
宅地建物取引士に当該書面に記名押印させた上で、これを交付します。
<やさしく解説翻訳>
売主は、物件の売買が成立したとき、
不動産業者は「売主と買主両者」に対し、売買契約書を作成し、
宅地建物取引士に当該書面に記名押印させた上で、これを交付します。
<文章>
四 乙は、甲に対し、登記、決済手続等の目的物件の引渡しに係る事務の補助を行 います。
<やさしく解説翻訳>
仲介業者は売主または買主に対し、事務作業(登記&決済手続きなど)を手伝います。
<文章>
3建物状況調査を実施する者のあっせんの有無 (有・無)
<やさしく解説翻訳>
中古の家を売却するとき、
雨漏れ、傾き、シロアリなどが不具合があるか気になります。
そのため、「建物状況調査の業者さん」を仲介業者が
「紹介する/しない」を売主に質問します。
※調査をする/しないでなく、
「業者を紹介する/しない」です。
「区分マンションは5~8万円程度」
「戸建は10万円~」が一般的な価格です。
<文章>
4違約金等
甲がこの媒介契約の有効期間内に乙以外の宅地建物取引業者に目的物件の売買 又は交換の媒介又は代理を依頼し、これによって売買又は交換の契約を成立させ たときは、乙は、甲に対して、約定報酬額に相当する金額 (この媒介に係る消費 税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を除きます。) を違約金として請求 することができます。
この媒介契約の有効期間内において、 甲が自ら発見した相手方と目的物件の売 買若しくは交換の契約を締結したとき、又は乙の責めに帰すことができない事由 によってこの媒介契約が解除されたときは、乙は、甲に対して、この媒介契約の 履行のために要した費用の償還を請求することができます。
<やさしく解説翻訳>
売主が、媒介契約の有効期間内(※一般的に3か月)に
他の仲介業者に浮気をし、契約が成立した場合、
仲介業者は売主に対して、約定報酬額(3%+6万円別消費税)
に相当する金額を違約金として請求できます。
ただし、有効期間中に、
売り主自らが相手(※友達、会社関係者、親戚など)を発見し、
契約が成立したときは問題ありません
また、仲介業者に落ち度がなく、解除された時は、
仲介業者は売主に対して媒介契約を
獲得するためにかかった費用を請求できます。
<文章>
5 有効期間 この媒介契約締結後 〇〇ヶ月 (〇年〇月〇日)とします。
6 約定報酬額 〇円と×円と合計した額とします。
〇:(消費税及び地方消 費税「抜き」報酬額)
×:(消費税額及び地方 「消費税額の合計額」)
7約定報酬の受領の時期△△とします。
<やさしく解説翻訳>
5:媒介契約の有効期間(最大3か月)
6:2000万円の戸建を例にします(金額×3%+6万円と別に消費税10%)
例:66万円+消費税6.6万円=合計72.6万円
7約定報酬の受領の時期は
「①売買契約締結時50% ②決済引き渡し日50%」とします。
※報酬の発生タイミングは売買契約成立後です。
以下約款

<文章>
(2) 専任媒介契約約款 専任媒介契約約款
(目的)
第1条 この約款は、 宅地又は建物の売買又は交換の専任媒介契約について、当事者が契約の締結に際して定めるべき事項及び当事者が契約の履行に関して互いに遵守 すべき事項を明らかにすることを目的とします。
<やさしく解説翻訳>
不動産売買の専任媒介契約で、
契約締結の際の当事者のルールを明らかにし、守りましょう。
<文章>
(当事者の表示と用語の定義)
第2条 この約款においては、媒介契約の当事者について、 依頼者を「甲」、 依頼を 受ける宅地建物取引業者を「乙」と表示します。
2 この約款において、 「専任媒介契約」 とは、 甲が依頼の目的である宅地又は建物 (以下「目的物件」 といいます。) の売買又は交換の媒介又は代理を乙以外の宅地 建物取引業者に重ねて依頼することができないものとする媒介契約をいいます。
(目的物件の表示等)
第3条 目的物件を特定するために必要な表示及び目的物件を売買すべき価額又は交 換すべき評価額 (以下「媒介価額」といいます。)は、専任媒介契約書の別表に記 載します。
<やさしく解説翻訳>
売主「甲」、 仲介業者を「乙」とします。
専任媒介契約は目的物件の
仲介依頼した業者「以外」に浮気して依頼できない契約です。
仲介の報酬(※手数料)は専任媒介契約書の別表に記 載します。
<文章>
(宅地建物取引業者の義務等)
第4条 乙は、次の事項を履行する義務を負います。
契約の相手方を探索するとともに、 契約の相手方との契約条件の調整等を行い、 契約の成立に向けて積極的に努力すること。
二甲に対して、 専任媒介契約書に記載する方法及び頻度により業務の処理状況を 報告すること。
三 目的物件の売買又は交換の申込みがあったときは、 甲に対して、 遅滞なく、 そ の旨を報告すること
四広く契約の相手方を探索するため、 目的物件につき、 所在地、 規模、 形質、媒 介価額その他の事項を、 専任媒介契約書に記載する指定流通機構に媒介契約の締 結の日の翌日から
専任媒介契約書に記載する期間内 (乙の休業日を含みません。) に登録すること。
五 前号の登録をしたときは、遅滞なく、 指定流通機構が発行した宅地建物取引業 法第50条の6に定める登録を証する書面を甲に対して交付すること。
<やさしく解説翻訳>
宅建業者の義務などについて解説
仲介業者は買主を探し、契約条件を調整し、売買契約成立までに積極的に仕事をすること。
二 売主に対して決められて頻度で
業務の進捗状況を報告(※問合せの件数、内覧の感想など)
三 目的物件の買付証明書(申込)が入ったら、
仲介業者はすばやく、売主に報告する
四 広く買主希望者を探すために、
所在地 規模、形質、媒介価額その他の事項をレインズに登録すること。
専任契約の翌日~5日営業日以内に登録すること。
五レインズに登録後、素早く売主に対して
「登録を証する書面※」を交付すること。
※紙やPDFファイルなど
<文章>
2乙は、前項に掲げる義務を履行するとともに、 次の業務を行います。
11媒介価額の決定に際し、 甲に、その価額に関する意見を述べるときは、根拠を 示して説明を行うこと。
甲が乙に目的物件の購入又は取得を依頼した場合にあっては、甲に対して、目 的物件の売買又は交換の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、
宅 地建物取引業法第35条に定める重要事項について、 宅地建物取引士が記名押印し た書面を交付して説明させること。
三目的物件の売買又は交換の契約が成立したときは、甲及び甲の相手方に対して、 遅滞なく、 宅地建物取引業法第37条に定める書面を作成し、 宅地建物取引士に当 該書面に記名押印させた上で、 これを交付すること。
四 甲に対して、 登記、 決済手続等の目的物件の引渡しに係る事務の補助を行うこ と。
五 その他専任媒介契約書に記載する業務を行うこと。
<やさしく解説翻訳>
2仲介業者は次の業務を行います。
11 媒介価格(市場に出す売り出し価格)を聴ける時、
売主に対して根拠を示すこと(なぜ?その価格なのか)
買主(甲)が仲介業者(乙)に「購入したい!」と依頼したとき、
売買契約が成立する前に宅地建物取引士をして、
宅地建物取引業法第35条に定める重要事項について、
宅地建物取引士が記名押印し た書面を交付し説明
四 買主(甲)に対して、
仲介業者は引渡しのための事務処理を手伝うこと(登記や決済など)
五 その他専任媒介契約書に記載する業務を行うこと。
<文章>
(媒介価額の変更の助言等)
第5条 媒介価額が地価や物価の変動その他事情の変更によって不適当と認められる に至ったときは、 乙は、甲に対して、 媒介価額の変更について根拠を示して助言し ます。
2 甲は、媒介価額を変更しようとするときは、乙にその旨を通知します。 この場合 において、 価額の変更が引上げであるとき (甲が乙に目的物件の購入又は取得を依 頼した場合にあっては、引下げであるとき)は、この承諾を要します。
3 乙は、前項の承諾を拒否しようとするときは、その根拠を示さなければなりません。
<やさしく解説翻訳>
媒介価格を変更するときの助言など
第5条 媒介価格が市場の変動で不適当になった場合、
仲介業者は売主に対して「根拠を示して助言」をする
※例:2000万円だった土地が、
地価上昇(※データが必要)によって2200万円に値上がりしたなど
2 仲介業者が媒介価格を変更するときは、売主に通知すること
※価格アップの場合または、逆に買主側から見て値下げの場合
売主が価格変更をを拒否する場合、その根拠が必要。
<文章>
(建物状況調査を実施する者のあっせん)
第6条 乙は、この媒介契約において建物状況調査を実施する者のあっせんを行うこととした場合にあっては、 甲に対して、 建物状況調査を実施する者をあっせんしな ければなりません。
<やさしく解説翻訳>
建物状況調査(※建物に不具合がないか調査)を希望する場合、
売主に対して「調査業者」を紹介しなければならない。
※売主が紹介されて業者に調査する/しないは、別の話
<文章>
(有効期間)
第7条 専任媒介契約の有効期間は、3ヶ月を超えない範囲で、甲乙協議の上、定め ます。
<やさしく解説翻訳>
専任媒介契約は最大3か月です。
<文章>
(報酬の請求)
第8条 乙の媒介によって目的物件の売買又は交換の契約が成立したときは、乙は、 甲に対して、報酬を請求することができます。
ただし、売買又は交換の契約が停止 条件付契約として成立したときは、 乙は、その条件が成就した場合にのみ報酬を請 求することができます。
2 前項の報酬の額は、国土交通省告示に定める限度額の範囲内で、甲乙協議の上、 定めます。
<やさしく解説翻訳>
仲介業者の媒介によって物件の売買が成立したとき、
仲介業者は売主に対して、報酬を請求できます。
ただし、停止条件付契約(※)として成立(ローン特約、買い替え特約など)しない場合、
仲介業者は報酬を請求できません。
※ローンが否決されると、手付金&仲介手数料の返還となります。
報酬の限度額は売主&仲介業者で決めます
<文章>
(報酬の受領の時期)
第9条 乙は、宅地建物取引業法第37条に定める書面を作成し、これを成立した契約 の当事者に交付した後でなければ、
前条第1項の報酬 (以下「約定報酬」 といいま す。)を受領することができません。
目的物件の売買又は交換の契約が、 代金又は交換差金についての融資の不成立を 解除条件として締結された後、融資の不成立が確定した場合、
又は融資が不成立の ときは甲が契約を解除できるものとして締結された後、融資の不成立が確定し、 こ れを理由として甲が契約を解除した場合は、
乙は、甲に、受領した約定報酬の全額 を遅滞なく返還しなければなりません。 ただし、 これに対しては、 利息は付さない こととします。
<やさしく解説翻訳>
仲介業者は第37条に定める書面(売買契約書)を作成し、
売主に交付後に報酬を受け取れます。
①売買契約後50%②決済日50%が一般的
ただし、ローンが通過しない場合、白紙解除となり、
仲介業者は売主に約定報酬の全額(※利息なし)を
素早く返さなければならない。
<文章>
(特別依頼に係る費用)
第10条 甲が乙に特別に依頼した広告の料金又は遠隔地への出張旅費は甲の負担と
し、 甲は、乙の請求に基づいて、 その実費を支払わなければなりません。
<やさしく解説翻訳>
売主が仲介業者に特別に依頼した広告(※広告費が多すぎるなど)
や遠方地(海外や沖縄など)へ出張旅費の負担は売主が実費を支払う※
※滅多にないです。
<文章>
(直接取引)
第11条 専任媒介契約の有効期間内又は有効期間の満了後2年以内に、 甲が乙の紹介 によって知った相手方と乙を排除して目的物件の売買又は交換の契約を締結したときは、
乙は、甲に対して、 契約の成立に寄与した割合に応じた相当額の報酬を請求 することができます。
<やさしく解説翻訳>
簡単言うと、仲介で出会った買主希望者と、
期間満了後2年以内は売買契約しないでくださいということ。
※「契約の成立に寄与した割合に応じた相当額」とあるが、
裁判結果によりけりです。
<文章>
(違約金の請求)
第12条 甲は、 専任媒介契約の有効期間内に、
乙以外の宅地建物取引業者に目的物件 の売買又は交換の媒介又は代理を依頼することはできません。
甲がこれに違反し、 売買又は交換の契約を成立させたときは、 乙は、甲に対して、 約定報酬額に相当す る金額(この媒介に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を除きま す。) の違約金の支払を請求することができます。
<やさしく解説翻訳>
売主は媒介契約期間内に、
依頼した仲介業者以外に仲介や代理を依頼できません。
もし、売主が他社に浮気をし、売買契約などが成立したとき、
約定報酬額に相当する違約金を
売主に請求できます。
<文章>
(自ら発見した相手方と契約しようとする場合の通知)
第13条 甲は、 専任媒介契約の有効期間内に、
自ら発見した相手方と目的物件の売買 又は交換の契約を締結しようとするときは、
乙に対して、 その旨を通知しなければ なりません。
<やさしく解説翻訳>
売主が専任媒介契約の有効期間内に、
知り合いなど自分で発見した相手と契約しようとした場合、
仲介業者に連絡してください。
<文章>
(費用償還の請求)
第14条 専任媒介契約の有効期間内において、 甲が自ら発見した相手方と目的物件の 売買若しくは交換の契約を締結したとき、
又は乙の責めに帰すことができない事由 によって専任媒介契約が解除されたときは、乙は、甲に対して、 専任媒介契約の履 行のために要した費用の償還を請求することができます。
2 前項の費用の額は、約定報酬額を超えることはできません。
<やさしく解説翻訳>
専任媒介契約の有効期間内に、
売主が自ら発見した相手と契約した場合、
又は、仲介業者に落ち度がない理由
(売主がやっぱり売らない!と言い出した)です。
専任媒介契約を解除されたとき、
売却活動費用を売主に請求できます。
※請求費用は約定報酬額を超えてはいけない
<文章>
(更新)
第15条 専任媒介契約の有効期間は、 甲及び乙の合意に基づき、更新することができ ます。
有効期間の更新をしようとするときは、 有効期間の満了に際して甲から乙に対し 文書でその旨を申し出るものとします。
3 前2項の規定による有効期間の更新に当たり、 甲乙間で専任媒介契約の内容につ いて別段の合意がなされなかったときは、
従前の契約と同一内容の契約が成立した ものとみなします。
<やさしく解説翻訳>
専任媒介契約の有効期間は、
売主と仲介業者の合意で更新できます。
有効期間満了の前に「更新の有/無と問う文章」を送ります。
もし、更新をする場合、別段条件の変更がなければ、
今までと同一の内容で成立したものとみなします。
※専任/専属専任は自動更新されません。
<文章>
(契約の解除)
第16条 甲又は乙が専任媒介契約に定める義務の履行に関してその本旨に従った履行 をしない場合には、
その相手方は、 相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内 に履行がないときは、 専任媒介契約を解除することができます。
<やさしく解説翻訳>
専任媒介契約に義務に違反した場合
(※囲い込みや、売却活動をしないなど裏切り行為)には、
相当の期間を定めて「売却活動してください」など催告し、
約束を守らなければ、媒介を解除できます。
<文章>
(契約の解除)
第17条 次のいずれかに該当する場合においては、 甲は、 専任媒介契約を解除するこ とができます。乙が専任媒介契約に係る業務について信義を旨とし誠実に遂行する義務に違反 したとき。
二乙が専任媒介契約に係る重要な事項について故意若しくは重過失により事実を
告げず、又は不実のことを告げる行為をしたとき
三乙が宅地建物取引業に関して不正又は著しく不当な行為をしたとき。
<やさしく解説翻訳>
売主は下記のいずれかに該当すると媒介契約を解除できます。
・裏切り行為をした(囲い込みなど)
・大切なことを「わざと」教えてくれなかった、
ウソをついた
・仲介業者が業法に違反して、
不正行為をした、道理に外れる行為をした
<文章>
(反社会的勢力の排除)
第18条 甲及び乙は、 それぞれ相手方に対し、次の事項を確約します。
自らが、暴力団、暴力団関係企業、 総会屋若しくはこれらに準ずる者又はその 構成員(以下これらを総称して 「反社会的勢力」 といいます。)でないこと。二自らの役員 (業務を執行する社員、 取締役、執行役又はこれらに準ずる者をい います。) が反社会的勢力でないこと。
三 反社会的勢力に自己の名義を利用させ、 専任媒介契約を締結するものでないこ と。
四 専任媒介契約の有効期間内に、自ら又は第三者を利用して、次の行為をしないこと。
イ相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為
口 偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し、又は信用を毀損する行為
2 専任媒介契約の有効期間内に、 甲又は乙が次のいずれかに該当した場合には
、そ の相手方は、 何らの催告を要せずして、 専任媒介契約を解除することができます。 前項第1号又は第2号の確約に反する申告をしたことが判明した場合
一二三
前項第3号の確約に反し契約をしたことが判明した場合
前項第4号の確約に反する行為をした場合
3 乙が前項の規定により専任媒介契約を解除したときは、
甲に対して、約定報酬額 に相当する金額 (既に約定報酬の一部を受領している場合は、その額を除いた額と します。 なお、この媒介に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を 除きます。)を
違約金として請求することができます。
<やさしく解説翻訳>
・売主、買主ともに、反社会勢力の当事者や関係者でない
・法人の役員が反社会的勢力でない
・反社会的勢力に名義を貸して、媒介契約を締結してはいけない
・媒介契約期間中に、人を欺き、誘惑したり、
暴言をはいたり、暴力を用いたり、
信用にキズをつけることをしいてはいけない。
・もし上記に該当する場合、専任媒介契約を解除し、
約定報酬額 に相当する金額を違約金として請求します。
<文章>
(特約)
第19条 この約款に定めがない事項については、 甲及び乙が協議して別に定めること ができます。
2 この約款の各条項の定めに反する特約で甲に不利なものは無効とします。
<やさしく解説翻訳>
約款に定めがない事項は、売主と業者が協議して別に決めることができます。
→ただし、売主に不利なものは無効
まとめ

■ 媒介契約の目的
不動産会社に「売買の仲介」を正式に依頼するための契約。
■ 媒介契約の3つの種類
種類 | 他の業者への依頼 | 自分で相手を見つけた場合 | レインズ登録義務 | 業者の報告義務 |
---|---|---|---|---|
一般媒介契約 | できる(複数OK) | 契約できる | 任意 | 任意(依頼あれば) |
専任媒介契約 | できない(1社) | 契約できる | 7日以内に登録 | 2週間に1回以上 |
専属専任媒介契約 | できない(1社) | 契約できない | 5日以内に登録 | 1週間に1回以上 |
契約期間は、最長3か月(更新は可能)
■ 注意点
- 依頼内容・報酬(仲介手数料)・契約期間などは書面で交付される
- 契約後の業者の活動状況の確認も重要

媒介契約についてあなたのお役に立てれば幸いです。
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