再建築不可でも、解体せずに売却できました
2026年、伊勢崎市大手町にある再建築不可の空き家の売却をお手伝いしました。
築50年以上、土地は約30坪。
室内を確認すると、古いだけでなく大きなインフラの課題がありました。水道・下水・ガス・電気の配管が、すべて他人の敷地を経由して引き込まれていたのです。
さらに、敷地は建築基準法上の道路に接しておらず、再建築できない状態でした。
「再建築不可だから売れないのでは?」
「荷物が多いなら、先に片づけないといけないのでは?」
「古い家だから、解体して更地にするしかないのでは?」

今回、実際に現地を見てみると、「解体して売る」以外の方法があると考えました。
結果として、建物も残置物もそのままの状態で販売し、一般の買主に購入していただくことができました。
今回は、リヤマ不動産が実際に現地調査を行い、販売から成約まで進めた一つの事例としてご紹介します。
今回の物件はどんな状態だったのか
- 所在地:伊勢崎市大手町
- 築年数:約50~55年
- 建物:約28坪の2階建て
- 土地:約30坪
- 水道・下水:あり(他人敷地を経由)
- 都市ガス:あり(他人敷地を経由)
- 電気:あり(他人敷地を経由)
- 再建築不可
- 室内に生活用品などの残置物あり
- 電気・ガス・水道は10年以上停止

数字だけを見ると、かなり売却しにくそうな条件です。
実際、売主様も「解体してから売ったほうがいい」と考えており、最初のご相談も解体業者の紹介でした。
家の中に入ってみると、古いだけではありませんでした
玄関のカギは固く、長期間使われていなかったことが分かりました。
室内には、ふとん、タンス、洋服など、当時の生活用品が多数残っていました。



一方で、建物そのものを確認すると、私は「すぐに解体するしかない家」とは感じませんでした。
しっかり造られている印象があり、まだ使える部分も残っていました。
1階の下屋にはサビが見られましたが、2階の子ども部屋で2011年ごろにあった雨漏りについては、屋根瓦を含めて補修された履歴もありました。


また、この家は売主様のお父様が住んでいた家で、病院で亡くなられた後、そのまま長い間使われていなかったそうです。
そのため、家の中には「暮らしていた当時の状態」がかなり残っていました。
再建築できない理由を調べました
建物ではなく、道路との関係が問題でした
現地を見ると、家の南側には道路のように見える通路があります。

そこで、伊勢崎市役所で道路について確認しました。

今回は、現地を見ただけで「再建築不可」と判断したわけではありません。
現地確認に加えて、伊勢崎市役所の建築関係窓口で前面通路の道路種別を確認しました。
その結果、南側の通路は建築基準法上の道路として扱われておらず、敷地が建築基準法上の道路に接していないことを確認しました。
建築基準法では、原則として建築物の敷地は道路に2m以上接する必要があります。伊勢崎市も同様の基準を案内しています。
そのため今回の物件については、「築年数が古いから再建築できない」のではなく、接道関係が原因で現在のままでは再建築できない物件と整理しました。
※再建築の可否は、道路種別や接道状況、建築基準法上の例外規定などによって判断が変わるため、個別の物件については行政窓口等への確認が必要です
区画整理後の権利関係も確認しました
今回の不動産調査では、現在の登記簿だけでなく、区画整理後の権利関係についても確認しました。
登記記録を確認したところ、現在は第三者名義となっている土地の一部について、過去には売主側が権利を有していたことが確認できました。
また、平成13年頃に区画整理に伴って建物が移動した経緯があり、その前後で土地の権利関係が変わっていることも確認しています。
一方で、現在の登記記録だけでは、「なぜ現在の名義になったのか」「当時どのような手続きが行われたのか」など、すべての経緯を確定することはできませんでした。
不動産調査では、確認できた事実と、資料だけでは確認できない事項を分けて整理することが重要です。
今回も、確認できた登記情報や現在の利用状況を整理したうえで、確認できない部分については推測で補わず、買主にも分かる形で情報を開示して販売することにしました。
こうした過去の権利関係や区画整理の経緯まで確認することも、不動産売却における重要な調査の一つです。
解体ではなく、現状のまま135万円で販売
現地と権利関係を確認した結果、当社は「解体しない」という方向をご提案しました。

再建築できない以上、更地にすれば必ず売りやすくなるとは限りません。
今回の物件は、建物を残した状態であれば、自分でリフォームして使いたい人に選んでもらえる可能性があると考えました。
そこで不動産査定書を作成し、135万円で販売をスタートしました。
販売時には、問題点も最初から明示しました。
- 再建築不可
- ライフラインが他人敷地を経由
- 契約不適合責任免責
- 境界非明示
- 現状有姿
- 残置物は残したまま
つまり、良いところだけを見せるのではなく、「こういう条件の物件です。それでも使いたい方を探します」という販売方法です。
約11件の問い合わせ。最終的に購入したのは一般の買主でした
売り出しから成約まで、at homeと自社ホームページを中心に、おおよそ11件ほどの問い合わせがありました。
問い合わせをしてきた人の考え方は、主に3つに分かれました。
賃貸として使いたい投資家
リフォームして賃貸にする前提で検討する投資家もいました。
家賃を月4.5万円とすると年間家賃は54万円。購入費やリフォームなどを含めた総額を約330万円として単純計算すると、表面上は約16%の利回りになります。
ただし、駐車場がないことや再建築不可であること、建物の状態などから、最終的に見送る人も多くいました。
自分でリフォームして住みたい人
そして最終的に購入したのが、このタイプの買主でした。
「安いので、自分でリフォームして住みます」という考えで、物件の状態を確認したうえで購入を決定。
内覧は1回で、その場で購入を決めてくださいました。

買取業者からも問い合わせがありました
ワケあり物件を扱う買取業者からも問い合わせがあり、
「所有権移転登記費用と仲介手数料込みを想定して80万円でどうですか?」
という提案もありました。
今回はその条件では売却せず、一般の買主への販売を続けました。
相談から引き渡しまで約3か月弱
相談を受けたのは2026年6月ごろ。
そこから現地調査、役所や登記の確認、価格査定、販売、内覧、契約、決済を進め、引き渡しまで約3か月弱でした。
今回、抵当権の設定がなく、買主様も現金一括での購入だったため、契約から決済までは約1週間でした。
再建築不可の物件は、購入希望者が見つかっても、権利関係や契約条件の確認に時間がかかる場合があります。
今回も、単に広告を出して待つのではなく、物件の状態を一つずつ整理しながら成約まで進めました。
この事例で、私が特に大事だと感じた3つのこと
- 「再建築不可」の理由を詳しく確認する
今回も、単に「古い家だから」という話ではありませんでした。道路との関係や、区画整理後の権利関係まで確認することで、売却方法を考える材料が増えました。 - 今回の物件では、解体しないことが選択肢を残した
再建築不可だからといって、更地にすることが必ずしも有利とは限りません。今回は、建物を自分でリフォームして使いたい買主が見つかりました。 - 分かっている問題は、最初から伝える
ライフラインの越境や残置物などを最初から明示し、その条件を理解できる人に検討してもらいました。結果として、後から「聞いていなかった」という問題を避けながら成約につなげることができました。 - 荷物が多くても、一般個人に売れる
冷蔵庫など家電製品や、布団、洋服などが残っていても、個人差はありますが、一般個人にも売れることに気づきました。
今回の物件は、決して「問題のない家」ではありませんでした。
それでも、現状を正確に調べ、問題点を隠さず、どんな人なら使えるのかを考えて販売したことで、購入者と出会うことができました。
まとめ|解体する前に、まず現状を調べてみる

今回ご紹介したのは、伊勢崎市大手町・築50年以上・土地約30坪・再建築不可・残置物あり・ライフライン越境・10年以上使用していない空き家です。
売主様は当初、「解体してから売る」ことを考えていました。
しかし、現地と権利関係を確認した結果、今回は建物を残した状態で販売し、一般の買主に購入していただくことができました。
「再建築不可だから売れない」
「荷物が多いから売れない」
「古いから解体するしかない」そう決める前に、まずは「なぜ再建築できないのか」「土地や道路の権利関係はどうなっているのか」「ライフラインはどこを通っているのか」を確認してみてください。
原因が分からない部分があっても、現状を正確に整理すれば、その条件を理解したうえで購入を検討する人が見つかることがあります。
再建築不可の物件では、「解体して更地にしたほうが売りやすい」と考えてしまうことがあります。
ただし、今回の事例では、解体せずに建物を残した状態で販売した結果、実際に購入希望者が見つかりました。
もちろん、すべての再建築不可物件が同じように売却できるわけではありません。
重要なのは、「再建築不可」という一点だけで判断せず、建物の状態、土地の形状、道路・通行関係、ライフライン、価格、利用方法などを一つずつ確認することだと、今回の取引を通じて感じました。
「まだ売るか決めていない」という段階でも大丈夫です。

解体や片づけを始める前に、まず現在の状態で売却できる可能性があるか、一緒に整理してみませんか。


【この記事を書いた人】
- 氏名: 山口(リヤマ不動産株式会社 代表 / 宅地建物取引士)
- プロフィール: 群馬県全域を中心に、空き家や再建築不可物件、残置物撤去にお悩みの方の売却・買取を多数サポート。「解体するしかない」と諦めかけていた物件に新たな価値を見出し、次世代へ繋ぐ売却を得意としています。地元のライフラインや区画整理の事情にも精通しています。



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