空き家売却 3000万円特別控除を最初に確認
相続した実家を売るなら、空き家売却 3000万円特別控除を最初に確認してください。
空き家特例は適用条件を1つでも外すと控除額がゼロになる制度であり、使えるかどうかで税負担に数百万円の差が生じます。
本記事では国税庁のタックスアンサーを基準に、2026年時点の最新要件・2024年改正・手続き・失敗事例を解説します。
空き家売却 3000万円特別控除とは
空き家売却 3000万円特別控除の正式名称は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」です。

親が亡くなって残った空き家を売ったとき、条件を満たせば売却益から最大3000万円を差し引ける税金の特例です。
相続の実家の場合「取得費が不明」で売却金額の5%となるため、仮に1000万円で売却すると、50万円で取得、利益が950万円に課税されます。
※わかりやすく諸経費はカット
そこで3000万円控除を利用すれば、手残りが多くなるわけです。
空き家が増えるのを防ぐために設けられた制度で、相続した家を早めに売ると税負担が軽くなる場合があります。
対象となる売却範囲は、平成28年4月1日から令和9年12月31日(2027年12月31日)までです。
控除上限は最大3,000万円ですが、令和6年1月1日以後の譲渡で、家屋と敷地を相続・遺贈で取得した相続人が3人以上である場合は2,000万円までに縮小されます。
適用条件:6つの要件をすべて満たす必要がある

空き家特例は次の6要件をすべて満たす場合のみ適用できます。図(上に表示済みの判定フロー)で順に確認してください。
要件1|相続または遺贈により取得していること
売主である相続人は、相続または遺贈(死因贈与を含みます)で空き家と敷地を取得している必要があります。
贈与や売買で取得した物件は対象外です。
要件2|昭和56年5月31日以前に建築された一戸建てであること
対象建物は昭和56年5月31日以前(1981年5月31日以前)の建築に限られます。
新耐震基準は昭和56年6月1日施行のため、空き家特例は旧耐震基準の住宅が対象です。
区分所有建物登記がされているマンションは対象外です。建築年月日は登記事項証明書で確認できます。
要件3|相続開始直前に被相続人が一人で住んでいたこと
相続開始の直前において、被相続人以外が居住していなかったことが必要です。
配偶者や同居家族がいた場合は対象外です。
被相続人が要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所していた場合は、
①入所前に一人暮らしだったこと
②入所後に家屋が賃貸・事業利用されていないこと等
の一定要件を満たせば対象になります。
要件4|相続後も空き家のまま維持していること
相続の時から売却の時まで、家屋や敷地を事業・賃貸・居住の用途に供していないことが必要です。
相続後に一度でも賃貸に出した場合や、倉庫として事業利用した場合は特例が使えません。
要件5|相続開始から3年目の12月31日までに売却し、代金が1億円以下であること
売却期限は「相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日」です。

たとえば2025年5月に相続が開始した場合、期限は2028年12月31日です。
「3年後」ではなく「3年目の年末」と覚えてください。
売却代金の合計が1億円以下であることも条件で、複数の相続人が時期をずらして売却する場合も合算して判定します。
要件6|第三者へ売却し、他の特例と併用しないこと
親子や夫婦など特別の関係がある人への売却は対象外です。
特別の関係がある人には、生計を一にする親族、売却後にその家屋に同居する親族、
内縁関係にある人、特殊な関係のある法人も含まれます。同時に他の特例(相続財産を譲渡した場合の取得費の特例など)の適用を受けていないこと、
同一の被相続人の家屋で空き家特例をすでに利用していないことも要件です
2024年改正で使いやすくなった2つのポイント
空き家特例は令和5年度税制改正で拡充・延長され、
令和6年(2024年)1月1日以後の譲渡から2点が変わりました
※国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置」
1点目は、譲渡後に買主が耐震改修または取壊しを行う場合でも特例を受けられるようになったことです。
従来は売主が売却前に取壊し・改修を済ませる必要がありましたが、改正後は譲渡の時から譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに買主が工事を完了すれば足ります。
売買契約書に解体・改修の特約を明記することが条件です。
2点目は、相続人が3人以上の場合の控除額が2,000万円に縮小されたことです。
相続人が1〜2人のケースは従来どおり最大3,000万円です。
兄弟3人で相続した場合、1人あたりの控除上限が2,000万円になるため、売却前に確認してください。
適用期限は令和9年12月31日(2027年12月31日)までです。
特例自体が期限付き制度であるため、売却時期の判断は早期が得策です。
いくら節税できるのか:譲渡所得の試算
空き家特例の効果を、具体的な数字で見てみましょう。
想定ケース
- 相続した実家を 4,000万円 で売却
- 取得費+譲渡費用の合計:1,500万円
計算の流れ
- 譲渡所得 4,000万円 − 1,500万円 = 2,500万円
- 空き家特例(3,000万円控除)を適用 2,500万円 − 3,000万円 = 0円
→ 課税される所得がなくなり、譲渡所得税の負担はゼロ
参考:控除がなかった場合
- 所有期間5年超の「長期譲渡所得」の税率 所得税15% + 復興特別所得税0.315% + 住民税5% = 合計20.315%
- 単純計算での税額 2,500万円 × 20.315% ≒ 約508万円 (実際の税額は各種控除の状況により変動します)
空き家特例を使えるかどうかで、数百万円もの差が出るのはこのためです。
手続きと必要書類:確定申告が必須
空き家特例は自動適用されません。

売却した翌年の2月16日から3月15日までに、所轄税務署へ確定申告書を提出する必要があります。
納税額が0円になる場合でも申告は必須です。
主な提出書類は次のとおりです。
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
- 売った資産の登記事項証明書(相続取得の事実・建築年月日・区分所有でないことの証明)
- 被相続人居住用家屋等確認書(物件所在地の市区町村長が発行)
- 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し(家屋を残して売却する場合)
- 取壊し後の現況確認書類(更地で売却する場合)
- 売買契約書の写し
被相続人居住用家屋等確認書は、空き家が所在する市区町村の空き家担当窓口(建築住宅課等)で申請します。
申請には被相続人の住民票の除票や戸籍謄本等が必要で、発行までに日数を要します。
売却活動を始める前に申請しておくと手続きがスムーズです。
使いそこねるケース:失敗事例5選
要件の細かさゆえに、実際の相談でも「うっかりアウト」が頻発します。 代表的な失敗例を5つ挙げます。
①相続後に一時的でも賃貸に出したケース
賃料収入を得るために貸した時点で、空き家特例は使えなくなります。
②期限の計算ミス
「相続から3年」を「翌々年の12月31日」と誤解するケースが目立ちます。
③夫婦や親子間の売買
親族への売却は「特別の関係がある人」への売却となり、対象外です。
④耐震基準の確認漏れ
家屋を残して売却する場合は、売却時点で一定の耐震基準を満たす必要があります。 旧耐震基準の建物は、買主による解体・改修を契約に織り込む必要があります。
⑤確定申告のし忘れ
所得税がかからない場合でも、申告しないと控除を受けられません。
地域別坪単価相場一覧(令和8年地価公示)
空き家の売却価格を検討するうえで、地域の地価相場の把握は欠かせません。
下表は国土交通省が公表する令和8年地価公示(価格時点:令和8年1月1日、公表:令和8年3月)に基づく都道府県別の全用途平均価格です
国土交通省「令和8年地価公示」
坪単価は1坪=3.30578平方メートルで換算した値です
全国の全用途平均は1平方メートルあたり29万8,372円(坪あたり約98万6,000円)です。
住宅地に限ると平均は14万4,740円/平方メートル(坪あたり約47万8,000円)です 。
下表の坪単価は全用途平均のため、住宅地の売却を検討する場合は目安として参照してください。
| 順位 | 都道府県 | 平均価格(円/㎡) | 坪単価(円/坪) | 対前年変動率 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 148万4,765 | 490万8,316 | +8.43% |
| 2 | 大阪府 | 41万2,022 | 136万2,056 | +4.32% |
| 3 | 京都府 | 36万2,311 | 119万7,723 | +3.94% |
| 4 | 神奈川県 | 32万2,476 | 106万6,036 | +4.36% |
| 5 | 福岡県 | 26万3,636 | 87万1,527 | +4.28% |
| 6 | 愛知県 | 25万4,010 | 83万9,704 | +2.27% |
| 7 | 兵庫県 | 19万2,478 | 63万6,291 | +2.87% |
| 8 | 宮城県 | 19万2,069 | 63万4,941 | +3.44% |
| 9 | 埼玉県 | 19万1,121 | 63万1,807 | +2.25% |
| 10 | 広島県 | 17万8,065 | 58万8,646 | +1.98% |
| 11 | 沖縄県 | 17万2,134 | 56万9,039 | +6.63% |
| 12 | 千葉県 | 17万1,211 | 56万5,989 | +5.04% |
| 13 | 熊本県 | 11万2,848 | 37万3,054 | +3.18% |
| 14 | 北海道 | 9万8,783 | 32万6,556 | +1.28% |
| 15 | 静岡県 | 9万674 | 29万9,749 | +0.28% |
| 16 | 石川県 | 8万8,057 | 29万1,097 | +1.38% |
| 17 | 奈良県 | 8万5,933 | 28万4,076 | +0.13% |
| 18 | 長崎県 | 7万9,605 | 26万3,157 | +1.23% |
| 19 | 鹿児島県 | 7万3,410 | 24万2,678 | -0.36% |
| 20 | 岡山県 | 7万2,711 | 24万368 | +1.29% |
| 21 | 愛媛県 | 7万2,587 | 23万9,960 | -0.31% |
| 22 | 滋賀県 | 7万262 | 23万2,272 | +1.71% |
| 23 | 大分県 | 6万8,380 | 22万6,052 | +2.87% |
| 24 | 高知県 | 6万2,590 | 20万6,911 | -0.18% |
| 25 | 徳島県 | 5万9,662 | 19万7,231 | -0.34% |
| 26 | 香川県 | 5万9,501 | 19万6,699 | +0.07% |
| 27 | 岐阜県 | 5万7,067 | 18万8,652 | +0.16% |
| 28 | 和歌山県 | 5万6,173 | 18万5,696 | -0.36% |
| 29 | 福井県 | 5万4,965 | 18万1,702 | +0.21% |
| 30 | 富山県 | 5万1,014 | 16万8,642 | +0.27% |
| 31 | 佐賀県 | 4万9,894 | 16万4,941 | +3.61% |
| 32 | 長野県 | 4万6,741 | 15万4,518 | +1.11% |
| 33 | 三重県 | 4万6,237 | 15万2,849 | +0.53% |
| 34 | 群馬県 | 4万6,031 | 15万2,168 | +0.13% |
| 35 | 新潟県 | 4万5,657 | 15万933 | -0.42% |
| 36 | 岩手県 | 4万4,918 | 14万8,492 | +0.20% |
| 37 | 福島県 | 4万4,264 | 14万6,328 | +0.71% |
| 38 | 栃木県 | 4万3,793 | 14万4,772 | +0.07% |
| 39 | 山口県 | 4万3,435 | 14万3,588 | +0.72% |
| 40 | 山梨県 | 4万2,505 | 14万512 | -0.07% |
| 41 | 宮崎県 | 4万1,392 | 13万6,835 | +0.54% |
| 42 | 島根県 | 4万120 | 13万2,630 | -0.47% |
| 43 | 茨城県 | 3万9,887 | 13万1,858 | +1.04% |
| 44 | 山形県 | 3万3,952 | 11万2,240 | +0.18% |
| 45 | 鳥取県 | 3万3,592 | 11万1,049 | -0.14% |
| 46 | 青森県 | 3万736 | 10万1,607 | +0.25% |
| 47 | 秋田県 | 2万7,070 | 8万9,488 | +0.87% |
最高価格は東京都の490万8,316円/坪、最低価格は秋田県の8万9,488円/坪で、都道府県間には約55倍の差があります。
公示地価は標準地の価格であり、実際の売却価格は建物の状態・立地・周辺環境で変動します。
他の特例との比較
空き家特例と混同しやすい制度に「マイホームの3,000万円特別控除」と「小規模宅地等の特例」があります。
3制度の違いは図にまとめました。

マイホームの3,000万円控除との違い
- マイホームの3,000万円控除 → 自分が居住していた家屋の売却が対象
- 空き家特例 → 相続した空き家の売却が対象 → 建築年の制限あり(昭和56年5月31日以前) → マンションは対象外
注意点 両特例を同じ年に同時に適用することはできません。
小規模宅地等の特例との関係
- 小規模宅地等の特例 → 相続税の特例 → 相続した宅地の評価額を最大80%減額できる
- 空き家特例 → 所得税(譲渡所得)の特例
税目が異なるため、原則として併用できます。 相続税と譲渡所得税の両方の負担を減らせる組み合わせは、税理士に確認しながら進めるのが安全です。
よくある質問(Q&A)空き家売却の3000万円特別控除について

- Q空き家特例の適用期限はいつまでですか。
- A
令和9年12月31日(2027年12月31日)までに売却する必要があります。譲渡の日が期限以内であることが要件です。
- Q相続人が3人以上の場合、控除額はいくらですか
- A
令和6年1月1日以後の譲渡で、家屋と敷地を相続・遺贈で取得した相続人が3人以上である場合は控除上限が2,000万円に縮小されます。2人以下のケースは最大3,000万円です。
- Q建物を取り壊さなくても特例は使えますか
- A
使えます。
売却時点で一定の耐震基準を満たす場合は建物を残したまま売却できます。
耐震基準を満たさない場合も、令和6年1月1日以後の譲渡であれば、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに買主が取壊し・耐震改修を行う契約を結ぶことで特例の対象になります
- Q老人ホームに入所していた親の家は対象になりますか
- A
被相続人が要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所していた場合で、入所前に一人暮らしだったこと、
入所後に家屋が賃貸・事業利用されていないこと等の一定の要件を満たせば対象になります。
- Q売却後に確定申告は必要ですか
- A
必要です。
空き家特例は自動適用されないため、売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に、
被相続人居住用家屋等確認書などを添付して確定申告を行ってください。納税額が0円になる場合も申告は必須です。
まとめ

空き家売却 3000万円特別控除は、相続した実家を売る人にとって最大の節税手段です。
適用条件は厳格ですが、本記事の6要件を順に確認すれば適用可否は判断できます。
売却は令和9年12月31日が制度の期限であり、個別の売却期限である相続開始から3年目の12月31日も同時に意識してください。

不動産売却のご相談はリヤマ不動産までお問合せください
(免責:本記事は情報提供を目的としたものであり、税務・法律上の助言ではありません。適用可否は個別の事情により異なりますので、必ず専門家にご確認ください。)



コメント