個人情報漏洩ではありません。DMが届く「正体」とは・・・
結論からお伝えします。
不動産会社からDMが届くのは、あなたの個人情報がどこかの名簿から漏れたからではありません。
原因は、「不動産の登記情報」が法律に基づいて公開されているからです。
登記簿は「誰でも」見ることができる
日本国内の土地や建物の情報は、法務局が管理する「登記簿」に記録されています。
この登記簿には、所有者の氏名や住所が記載されており、
実は手数料(数百円程度)さえ払えば、誰でも、どこの不動産の所有者情報でも閲覧・取得することが可能です。
参考リンク:法務局|登記情報提供サービス
(※法務局が運営する、オンラインで登記情報を確認できる公的なサービスです)

当社も含め、不動産会社でしたら、必ず利用するサービスです。
なぜ相続直後にピンポイントで届くのか?
特に相続登記(名義変更)をした直後にDMが急増するのは、
不動産業者が法務局の「登記受付帳」を定期的にチェックしているからです。
「登記受付帳」には、「いつ、どの地域の不動産で、どのような登記手続き(相続、売買など)が行われたか」という履歴がリアルタイムで記録されます。
業者はこのリストを見て、
「相続が発生した=近いうちに売却を検討する可能性が高い」と判断し、一斉にDMを送付するのです。
え?!登記受付帳使えなくなる?
2026年10月1日から「登記受付帳」は大幅に「使えなくなる」方向へ変わります。
「完全に廃止される」わけではなく、記載内容が大幅に削減・簡素化され、
不動産業者による相続直後DMなどの営業活用が事実上不可能になる改正です。

DMで集客していた業者さんは、
10月から大変ね・・・

DM集客の会社は厳しくなり、
相続人にとっては、安心といえますね。
改正の核心(2026年10月1日施行)
- 改正内容:不動産登記規則の改正により、登記受付帳の記録事項から以下の項目が削除されます。
- 登記の目的(例:所有権移転相続、売買、贈与など)
- 不動産所在事項(具体的な所在地)
- 改正後の記載事項:基本的に「申請の受付年月日」と「受付番号」のみ。
- 結果:これまで受付帳から「いつ・どこで・どんな種類の登記(特に相続)」が起きたかを一覧で把握できていたのが、できなくなります。
①相続登記直後の所有者リスト作成
②DM大量発送
という従来の「源泉営業」がほぼ封じられます。
おすすめ:相続後に届く「謎のDM」が無くなる? 2026年10月「不動産登記規則」改正で何が変わる
なぜこんな改正が起きたのか(背景)
- 相続登記義務化(2024年4月開始)で登記が増加 →
受付帳開示請求が爆増(法務省への開示請求の6割以上が受付帳関連) - プライバシー侵害の問題:相続直後の個人情報が業者に悪用され、迷惑DMが大量に届く社会問題化。
- 登記事務のデジタル化完了:詳細記載が事務上不要になったため、様式見直しでプライバシー保護を優先。
- 司法書士会などの要望:国民が相続登記を躊躇しないよう制限を求める声が強かった。
誰にとっての影響?
- 相続人:朗報。相続登記後に「なぜこんなタイミングでDMが…」というストレスが激減。
- 不動産業者・名簿業者:大打撃。主要な仕入れルートが失われ、新たな営業戦略(一括査定サイト活用、AI予測など)へのシフトを迫られる。
- 登記受付帳自体:廃止ではなく「超簡素化」版として残る。
「いつ・何件の登記があったか」は分かるが、「何の登記か・どこか」は分からなくなる。

DM集客の会社は冬の時代に突入しますね・・・
【今まで】DMが届くメカニズムと名簿業者の存在
「でも、不動産会社が一件ずつ法務局に通っているの?」と疑問に思うかもしれません。
現代の不動産業界では、よりシステマチックな裏側があります。
名簿業者によるリスト化
現在は、法務局のデータを大量に収集し、不動産業者向けに使いやすく加工して販売する「名簿業者」が存在します。
- 1件あたり数十円程度で「最新の相続発生リスト」が売買されている。
- 不動産業者はそのリストを購入し、自動で宛名印刷・発送を行う。
- この手法は業界で「源泉営業」と呼ばれ、2026年までで有力な集客手法として蔓延しています。
体験談:ある60代男性のケース
「父が他界し、実家の名義を私に変えた2週間後でした。
聞いたこともない不動産会社から、1週間に3通も『あなたの家を買いたい人がいます』という手紙が届いたんです。
葬儀の手続きで疲弊している時に、本当に不思議な体験でした。
このように、感情的なタイミングを無視して機械的に送られてくるのがDMの正体です。
まずは「これは公的な情報を元にした、単なる営業活動なのだ」と割り切って考えることが大切です。
DM、信じて大丈夫?「危険度チェックリスト」
DMの中には、魅力的な言葉が並んでいます。
しかし、その多くは媒介契約(売却の依頼)を取り付けるための「キャッチコピー」です。
以下の内容が含まれていたら、注意が必要です。
| DMの文言 | 危険度 | 業界の裏側(本音) |
| 「このエリアで物件を探しているお客様がいます」 | ★★★ | 8割は嘘。契約を取るための定番の「釣り」文句です。 |
| 「どこよりも高値で買取いたします」 | ★★☆ | 実際は相場より2〜3割安い「買取価格」であることが多い。 |
| 「今なら仲介手数料最大無料!」 | ★☆☆ | 別の名目で費用を取られたり、広告活動を制限されたりするリスク。 |
| 「あなたの物件を〇〇万円と査定しました」 | ★★★ | 根拠のない高額査定で気を引き、後から「売れないので下げましょう」と迫る。 |
「買い手がいます」の罠
最も多いのが「あなたの物件をピンポイントで探している顧客がいる」という内容です。
もし本当にそんな顧客がいるなら、その業者はわざわざ不特定多数にDMを送りません。
媒介契約を結んだ途端に「そのお客様は別の物件に決まってしまいました」と言われるのがオチです。

DM以外で「買いたい人がいます」というケースはたまにありますが、
DMで購入したい!というケースは99%ありません。
DM業者と安易に「媒介契約」を結ぶリスク
DMを送ってくる業者のすべてが悪徳というわけではありません。
しかし、彼らの目的はあくまで「他社に先駆けて、あなたと専属的な契約(媒介契約)を結ぶこと」です。
焦って契約してしまうと、以下のような「損」をする可能性があります。
① 「囲い込み」による売却機会の損失
悪質な業者は、自社で買主も見つけて「売主・買主両方から手数料をもらう(両手取引)」ために、他社からの問い合わせを意図的にブロックすることがあります。これを「囲い込み」と呼びます。
結果として、本来もっと高く買ってくれる人がいたはずなのに、チャンスを逃してしまうのです。
② 「高値づかみ」ならぬ「高値査定放置」
契約を取りたいがために、相場を無視した高い査定額を提示してくることがあります。
「高く売れるなら」と契約しても、市場価格とかけ離れていれば当然売れません
数ヶ月放置された後、「やはりこの価格では無理なので、100万円下げましょう」と、
結局相場以下で売らされるパターンが後を絶ちません。
豆知識:2026年の法規制
2025年から2026年にかけて、不動産流通標準情報システム(レインズ)への登録義務や、取引状況の透明化に関する指導が強化されました。
しかし、巧妙に網の目をくぐり抜ける業者はゼロではありません。参考リンク:国土交通省|不動産売却ガイド
媒介契約のどればいい?
DM業者に「この契約書に判を押してください」と言われる前に、媒介契約の種類を知っておきましょう。
| 種類 | 複数社への依頼 | 自己発見取引 | 特徴 |
| 専属専任媒介契約 | 不可 | 不可 | 1社に完全に任せる。親戚への売却なども不可。拘束力が最も強い。 |
| 専任媒介契約 | 不可 | 可能 | 1社に任せるが、自分で見つけた相手との取引はOK。一般的。 |
| 一般媒介契約 | 可能 | 可能 | 複数の不動産会社に同時に依頼できる。競争原理が働く。 |
【アドバイス】
群馬県など地方の場合は、専任媒介をおすすめします。
しかし、都心など不動産の動きが早い場所は一般でもOKといえます。
※囲い込みをしなければ、専任でも問題ありません。
届いたDMをどう扱うべきか?「賢い活用法」
「DMは全部捨てればいいのか?」というと、実はそうとも限りません。
DMを「売却の検討を始めるきっかけ」にするのは賢い選択です。
1. 基本は無視でOK
興味がない、と感じるなら、一切反応せず破棄して構いません。
2. 地域の相場感を知るための「資料」にする
DMに記載されている「近隣の成約事例」などは、参考程度に眺めておきましょう。
「今、自分の家の周りはこのくらいの価格で動いているのか」という目安になります。
3. 「一括査定」でプロを比較する
DM業者の1社だけに話を聞くのではなく、
「複数の信頼できる会社」に同時に査定を依頼するのが、不動産売却を成功させる唯一の正攻法です。
DM業者の提示額が「適正」なのか「釣り」なのかを判断するには、比較対象が不可欠だからです。
損をしないための「正しい売却の始め方」
相続した大切な資産を、納得のいく価格で売却するためには、以下の3ステップを意識してください。
ステップ1:不動産査定で「相場」を知る
まずは、DM以外の不動産業者で査定依頼をしましょう。
ステップ2:信頼できる「宅建士」を見極める
良い不動産会社というより、「良い担当者」を探してください。
- デメリット(売れにくい理由)もしっかり説明してくれるか?
- レインズ(指定流通機構)への登録予定を明確に示しているか?
- 囲い込みをしないか
ステップ3:根拠を聞いてみる
査定額が高いのなら、どうしてこの金額なのか?
質問をして、納得できるのであれば、信頼できる不動産会社といえます。
参考リンク:公益財団法人 東日本不動産流通機構(レインズ)
まとめ:DMは「拒絶」ではなく「利用」するもの

不動産DMが届くのは、あなたの不動産に*「価値がある」というサインでもあります。
しかし、そのサインを鵜呑みにして、最初に声をかけてきた業者にすべてを委ねるのは、相続という大きな節目において非常に危険です。
- DMが届くのは、登記簿という公開情報を元にした仕組み。
- 「買い手がいる」という言葉に惑わされない。
- あなたと馬の合う会社を比較し、自分の味方になってくれるパートナーを探す。
不安を解消し、納得のいく売却への第一歩は、「まずは自分の家の正しい価値を知ること」から始まります。




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