なぜ庭が広すぎる土地の一部売却を検討するのか
主な動機は次の通りです。
- 管理負担の軽減(草刈り・固定資産税)
- 現金化して建て替えや修繕資金に充てる
- 相続対策(小規模宅地の特例を最大限活かす)
- 隣地からの「売ってほしい」と申し出
住宅用地の固定資産税は、1戸あたり200㎡までが小規模住宅用地(課税標準が評価額の1/6)、
超過部分が一般住宅用地(1/3)となります。
広い庭を抱え続けると、超過分の負担が続きます。

一部を分筆・売却して残地を200㎡前後に抑えると、
税負担を大きく減らせるケースがあります。
分筆登記が必要な理由
土地は登記上「1筆」単位で管理されます。
1筆のままでは「庭の南側だけ」と所有権を明確に移転しにくいため、
売る部分を独立した土地に分ける「分筆登記」が一般的です。
分筆せずに一部を売買するケースもありますが、第三者対抗要件をしっかり確保するには分筆が安全です。
実務では土地家屋調査士に依頼し、確定測量・境界確認・地積測量図作成を経て法務局に申請します。
分筆の主な流れ
- 売りたい範囲の決定(残地の使いやすさも同時に検討)
- 土地家屋調査士への依頼
- 公図・登記簿・既存測量図の調査
- 隣地所有者との境界立会い・確認書取得
- 確定測量・境界標設置
- 分筆案の確定(接道・形状を確認)
- 法務局への分筆登記申請
- 登記完了後、売却活動

期間の目安は3か月。
境界未確定や隣地の協力が得られない場合はさらに延びます。
費用は境界確定測量込みで30万〜60万円程度が相場です
(土地の形状・隣地数・高低差で変動)。
登録免許税は1筆あたり1,000円程度です。
接道義務を絶対に見落とさない
建築基準法第43条により、都市計画区域・準都市計画区域内の建物敷地は、
原則として幅員4m以上の道路に2m以上接していなければなりません。
分筆で残地や売地のどちらかがこの条件を満たさなくなると「再建築不可」となり、価値が大きく下がります。
分筆前に必ず確認すべき点
- 残る土地が道路に有効に接するか
- 旗竿地や細長い残地にならないか
- 私道の場合の持分・通行権
分筆案を作る段階で土地家屋調査士と建築士・不動産会社に相談し、将来の建て替え可能性を残す設計にしましょう。
宅建業法リスク:1回限りか、反復継続か
個人が自分の土地を1回限り売却する分には通常問題ありません。
しかし、複数区画に分けて不特定多数に繰り返し売る行為は「業として行う」とみなされ、宅地建物取引業法違反になる可能性があります(国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」参照)。
セーフになりやすい例
- 自宅の庭の一部だけを1回限り売却し、残りは永続的に自宅として使う
- 隣地所有者など特定の相手への売却
アウトになりやすい例
- 複数区画に分け、順次一般市場に売る予定がある
- 転売目的で取得した土地を分割販売する
「この部分だけを1回売る」と明確にし、不動産会社に仲介を依頼する形が安全です。
複数区画を想定する場合は、最初から不動産会社への一括買取を検討した方がリスクを避けられます。
税金の扱い
売却益(譲渡所得)には譲渡所得税・住民税がかかります。
所有期間5年超で約20.315%、5年以下で約39.63%です。
居住用財産の3,000万円特別控除(国税庁No.3302)※は、
家屋とともに敷地を売る場合や、家屋を取り壊して一定要件を満たす場合に適用できます。
※建物を残したまま庭の一部だけを売る場合は原則として適用外です。
取り壊し後に売却する場合は、取り壊しから1年以内の契約締結など要件を厳守する必要があります。
取得費が不明な場合は売却価格の5%を概算取得費として使えますが、税額が増えやすい点に注意。
特例の可否は税理士や税務署に事前確認を。
費用と期間の比較表
| 項目 | 分筆+仲介売却 | 不動産会社への一括買取 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 相場に近い | 相場の7〜8割程度が多い |
| 期間 | 分筆1〜3か月+売却数か月 | 最短数日〜数週間 |
| 手間 | 境界立会い・内覧対応あり | 最小限 |
| 仲介手数料 | あり(上限規定あり) | なし |
| 宅建業法リスク | 1回限りなら低い | 低い |
| 向くケース | 高く売りたい・時間に余裕 | 早く現金化・複数区画回避 |
庭が広すぎる場合、残地の固定資産税軽減効果と分筆費用を天秤にかけ、総合的に判断してください。
成功させるための実践ポイント
- 分筆前に複数の土地家屋調査士から見積もりを取る
- 残地の将来価値(建て替え・再売却・相続)を最優先で設計する
- 境界確認書はしっかり取得し、後のトラブルを防ぐ
- 売却後の固定資産税・都市計画税の変化を市区町村で確認する
- 税務は「建物を残すか取り壊すか」で大きく変わるため、計画段階で専門家に相談
土地の一部を売りたい「Q&Aコーナー」

- Q分筆せずに一部だけ売れますか?
- A
可能ですが、登記上の権利関係が不明確になりやすく、買主や金融機関が敬遠するケースが多いです。安全に進めるなら分筆が基本です。
- Q庭の一部を隣地に売る場合も分筆は必要?
- A
はい。
特定の相手でも所有権移転を明確にするため分筆が一般的です。隣地同士なら境界確認がスムーズなことが多いです。
- Q分筆後、残った土地の固定資産税はどうなりますか?
- A
面積が減り、小規模住宅用地(200㎡以下)の特例を受けやすくなると税負担が軽減されます。
実際の税額は市区町村で確認してください。
- Q3000万円特別控除は使えますか?
- A
建物を残したまま庭の一部だけ売る場合は原則不可です。家屋を取り壊して一定要件を満たせば適用できる可能性があります。国税庁の要件を必ず確認し、税理士に相談を。
- Q分筆費用を抑える方法は?
- A
既存の確定測量図がある場合は費用を抑えられます。複数の土地家屋調査士から見積もりを取り、境界が比較的明確な土地を優先しましょう。
分筆登記の具体的な費用内訳
主な費用項目と相場
| 費用項目 | 金額目安 | 内容・備考 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 1筆につき1,000円 | 分筆後の筆数×1,000円 (所有権の登記がある場合)。 2筆に分ければ2,000円。極めて少額。 |
| 土地家屋調査士報酬 (測量・図面・申請) | 10万〜50万円超 | 費用の大半。 境界確定の有無で大きく変動。 |
| 境界標設置費 | 3万〜10万円程度 | コンクリート杭・金属標などの材料・設置費用。点数による。 |
| 書類取得などの実費 | 1万〜5万円程度 | 登記事項証明書・公図・地積測量図などの取得費。 |
| その他(交通費・郵送費など) | 実費 | 遠方の場合など |
- 境界がすでに確定している場合(既存の地積測量図があり、隣地立会いが簡単なケース):
10万〜50万円(シンプルなら15万〜30万円程度) - 境界が未確定で確定測量が必要な場合(一般的な住宅地):30-60万円程度
- 官民境界(道路・水路など)の確定が必要な場合や、隣地が多い・不整形・高低差がある場合:
80万〜100万円以上
日本土地家屋調査士会連合会の調査では、典型的な条件(約80坪・隣地に里道・水路なし)の全国平均報酬が税抜約42万円程度というデータがあります。
土地家屋調査士報酬の詳細内訳例
群馬エリアなどの事務所例を参考にすると、次のような内訳になります。
- 事前調査・資料取得:2万〜5万円
- 現地測量・境界復元:15万〜35万円
- 近隣立会い・境界確認書作成:5万〜15万円
- 図面・分筆案作成(地積測量図など):5万〜15万円
- 登記申請報酬:5万〜12万円
- 官民査定・道路境界確定(必要な場合):+10万〜25万円
- 筆数追加(3筆以上の場合):+5万〜10万円/筆
境界確定測量が必要な場合は、上記の測量・立会い部分が大きく膨らみます。
費用が高くなりやすい要因
- 境界が未確定で隣地所有者との立会いが必要
- 公道・水路などの官有地に接している(官民境界確定)
- 隣地の数が多い、所有者が遠方・不明
- 土地が広い・不整形・高低差がある
- 既存の測量図がない、または古い
費用を抑えるポイント
- 既存の確定測量図や境界標があるか事前に確認する
- 複数の土地家屋調査士から見積もりを取る(無料相談が多い)
- 境界が比較的明確な土地を優先する
- 自分で申請することも可能だが、書類不備でやり直しになるケースが約4割あるため、専門家依頼が一般的
誰が負担するか
原則として分筆を依頼する側(売主)が負担します。
一部売却の場合は売主負担が通例です。
買主が負担するケースもありますが、契約で取り決めます。
費用は土地の現況によって大きく異なるため、実際の見積もりは現地確認後に複数の土地家屋調査士から取るのが確実です。境界の状況を教えていただければ、より具体的な目安をお伝えできます。
まとめ

土地の一部売却
- 庭が広すぎる土地の一部を現金化するには「分筆登記」が基本。
- 分筆せずの売買も可能だが、権利関係が不明確になりやすくトラブルのリスクが高い。
- 残地の接道義務(幅4m以上の道路に2m以上接する)を必ず確認。満たさないと再建築不可になる。
- 個人が複数区画を繰り返し売る行為は宅建業法違反のリスクあり。「1回限り」と明確に。
- 税金:建物を残したまま庭の一部だけ売ると3,000万円特別控除は原則使えない。取り壊し後など要件を満たせば使える可能性あり。
分筆登記の費用(群馬エリア目安)
- 総額:境界確定済みなら15〜50万円、未確定なら50〜100万円前後(複雑だとそれ以上)。
- 主な内訳例
- 事前調査・資料取得:2〜5万円
- 現地測量・境界復元:15〜35万円
- 近隣立会い・境界確認書:5〜15万円
- 図面・分筆案作成:5〜15万円
- 登記申請報酬:5〜12万円
- 官民境界確定(必要な場合):+10〜25万円
- 登録免許税は分筆後1筆につき1,000円のみ。
- 群馬の平均は境界確定含むで約33万円前後。実際は現地確認後の見積もり必須。
進め方のポイント
- 土地家屋調査士に複数見積もりを取り、残地の将来価値(建て替え・相続)を優先して設計する。
- 税務は事前に税理士や税務署で確認。

土地の一部を分筆して売りたい方は、
リヤマ不動産へご相談ください



コメント