契約不適合責任を免責にして土地を売りたい方へ

「親から相続した土地だけど、状態がよく分からない」
「古い建物が残っていて、売った後に責任を問われないか不安」
このような悩みを抱えている方は少なくありません。

結論からいうと、個人が売主となる土地売買では、契約不適合責任を免責にして売却すること自体は可能です。
ただし、売主が知っていた不具合を告げなかった場合は、免責特約があっても責任を免れません。
さらに、売主が宅建業者で買主が一般消費者の場合は、買主に不利な特約は宅建業法で制限されます。
※法令検索より
つまり、土地売却で本当に大切なのは、「免責を付けること」そのものではなく、免責が機能するように正しく準備することです。
この記事では、相続した土地や古家付き土地を、できるだけトラブルなく売却するための考え方と手順を、実務ベースで分かりやすく解説します。
結論|免責で土地は売れる。ただし「正しい進め方」が必要
契約不適合責任を免責にして売却する方法は、相続不動産や古家付き土地では珍しくありません。
とくに、売主が物件の状況を十分に把握できていないケースでは、免責特約を前提に売却条件を整えることがあります。
- 建物や設備の状態が分からない
- 長年使っておらず、雨漏りや腐食の有無を把握できない
- 境界や越境の状況が不明
- 地中埋設物や古い井戸など、過去の利用履歴が不明

ただし、「免責=何が起きても売主は責任を負わない」ではありません。
知っていることを隠さず、分からないことは分からないと明示し、契約書と告知内容を一致させることが不可欠です。
契約不適合責任とは?
契約不適合責任とは、引き渡した土地や建物が、契約内容に適合していなかった場合に売主が負う責任です。
簡単に言うと、契約した内容と違ったら(適合していない)、売主が責任追う、ということです。

売主が個人の場合は「引き渡し日から3か月」責任を負うのが一般的です。
※任意のため、1年と長くしたり、1か月と短くすることも可能
民法では、買主は状況に応じて、追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除などを求めることができます。
※参照:「不動産取引の手引き」10 引渡し後に不具合・欠陥
不動産売買で問題になりやすいのは、たとえば次のようなケースです。
- 地中から廃材やコンクリート殻が見つかった
- 古家に重大な雨漏りや腐食があった
- 境界が未確定で、隣地との認識が食い違っていた
- 越境、私道、擁壁、土壌汚染などの問題が後から判明した
なお、土地だけの売買でも、地中埋設物・境界・越境・土壌・権利関係などはトラブルの火種になりやすいため注意が必要です。
免責でも責任が残るケース
契約不適合責任を免責にしていても、次のような場合は売主が責任を問われる可能性があります。
- 売主が知っていた不具合を告げなかった
- 事実と違う説明をした
- 契約書・告知書・重要事項説明の内容が食い違っていた
- 売主が宅建業者で、買主に不利な免責特約を付けた
民法572条では、売主は免責特約を置いていても、知りながら告げなかった事実については責任を免れないとされています。
※参照:売主に重過失がある場合の契約不適合免責特約条項の効力
余談ですが、宅建業者が売主の場合は、引渡しから2年以上とする場合を除き、民法より買主に不利な特約は無効です。
【よくある理由】なぜ相続人は免責にしたいのか
相続不動産では、売主自身がその土地や建物を使用していないことが多く、状態を正確に把握できないまま売却を検討するケースがよくあります。
- 古家付き土地で、建物内部の状態が分からない
- 長年空き家で、雨漏りや腐食の確認ができていない
- 境界未確定で、測量図や境界確認書がそろっていない
- 過去の利用履歴が不明で、井戸・浄化槽・埋設物の有無が分からない
- 土地に何が埋まっているかわからない
- 東京に住んでいて、田舎の実家の状況が分からない
つまり、相続人が免責を希望する理由は、「知らないリスクまで背負いたくない」という点にあります。
これは自然な発想ですが、
際には“隠す”のではなく“開示して整理する”ことがトラブル回避につながります。
売却前に確認しておきたいチェックポイント
免責で安全に売るには、契約書を作る前の下調べが重要です。
最低限、次の点は確認しておきましょう。
- 登記事項証明書の内容
- 公図・測量図・境界確認書の有無
- 古家の有無、雨漏り・傾き・シロアリ・設備不具合の有無
- 越境の有無(塀・樹木・屋根・配管など)
- 井戸、浄化槽、擁壁、地下埋設物の有無
- 前面道路と接道状況
- 私道負担や通行・掘削承諾の要否
- ハザードマップや土砂災害・浸水リスク

すべてを完璧に把握する必要はありません。
大切なのは、分かることは確認し、分からないことは「不明」と明記することです。
リヤマ不動産では、現地調査を含め、ヒアリングをしっかり行います。
また、売主様を守るため、長文の容認事項や特約を記載しております(汗)
トラブルを防ぐための全手順
①資料を集める
最初に、登記簿、公図、測量図、固定資産税の資料、建築確認関係書類、過去の売買契約書、リフォーム履歴など、残っている資料を集めます。
資料があるだけで、説明できる範囲が広がります。
※不動産業者がある程度集められますが、売主様のご協力が必要です。
② 現地を確認し、「分かること」と「分からないこと」を分ける
現地を見て、境界標の有無、越境、建物の傷み、残置物、擁壁の状況などを確認します。
そのうえで、確認できたことと未確認事項を整理します。
ここを曖昧にすると、後で説明不足になりやすくなります。
③ 告知書は「空欄」にしない
告知書(物件状況等報告書)は、売主しか分からない事情を伝えて紛争を防ぐための重要書類です。
知っていることはもちろん、
確認できていない事項も「不明」として記載するのが基本です。

「書かない」より「分からないと書く」ほうが安全です。
④ 売り方を決める
土地の状態によって、売り方は変わります。
- 古家付き土地として現況売却する
- 建物を解体して更地で売る
- 境界非明示のまま売る
- 現況有姿・契約不適合責任免責を条件にする
どの売り方が適切かは、物件の状態と買主層によって変わります。
価格だけでなく、トラブルリスクと売却スピードも含めて判断することが大切です。
⑤ 買主の属性を見極める
契約不適合責任の免責を前提にするなら、買主選びは非常に重要です。
①一般の個人買主:
引渡し後の不具合に敏感で、トラブルに発展しやすい傾向があります。
②買取業者:
一定のリスクを織り込んで購入するため、免責・現況有姿と相性がよいケースがあります。
相続した古家付き土地や、状態不明な土地ほど、価格だけでなく“契約条件を受け入れてくれる相手か”を見ることが大切です。
⑥ 免責条項はテンプレで済ませない
「契約不適合責任を免責とする」と一文入れるだけでは不十分です。
実務では、次の点を明確にしたほうが安全です。
- 土地のみが対象か、建物も対象か
- 境界非明示かどうか
- 現況有姿での引渡しかどうか
- 地中埋設物、井戸、越境、擁壁など既知事項をどう扱うか
- 残置物の扱いをどうするか
免責条項は、告知書・重要事項説明・売買契約書の内容が整合していることが重要です。
⑦ 説明した証拠を残す
後日の紛争予防では、「説明したかどうか」が大きな争点になります。
告知書、メール、LINE、写真、境界資料、打合せメモなどは保管しておきましょう。

トラブルを防ぐうえで最も強いのは、口頭の説明ではなく、書面と記録です。
よくある3つの相談例
相談例①:古家付き土地で建物の状態が分からない
長年使っていない実家を相続し、建物の中も細かく確認できていないケースです。
この場合は、建物の状態を無理に断定せず、未確認事項を明示したうえで、古家付き土地・現況有姿・免責条件での売却を検討します。
相談例②:境界がはっきりしない
測量図や境界確認書がなく、隣地との境界が曖昧なケースです。
確定測量をしてから売る方法もありますが、費用や時間をかけず、境界非明示で価格調整して売却する方法が取られることもあります。
相談例③:地中埋設物が心配
昔からある土地で、過去の建物解体歴や埋設物の有無が分からないケースです。
この場合は「埋設物なし」と断定せず、
過去履歴不明として買主に説明し、必要に応じて業者買取を含めて検討します。
仲介と買取、どちらが向いている?
| 項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 価格 | 高く売れる可能性がある | 仲介より低くなることが多い |
| 売却期間 | 長引くことがある | 比較的短い |
| 契約条件の柔軟さ | 買主次第 | 免責や現況有姿が通りやすい |
| トラブルリスク | 説明不足だと上がりやすい | 相対的に抑えやすい |
相続した土地や古家付き土地で、「高く売ること」より「揉めずに早く売ること」を重視するなら、買取が向いているケースがあります。
一方で、条件の良い土地なら、仲介でも免責条件を調整しながら売れることがあります。大切なのは、価格だけでなく、契約条件とリスクのバランスで選ぶことです。
よくある質問Q&A

- Q本当に免責で売れますか?
- A
はい、個人売主の土地売買では可能です(買主が合意をすれば)
ただし、知っている不具合を隠した場合は免責が機能しません。
- Q契約不適合責任免責にすると安くなりますか?
- A
土地、戸建ての場合は、相場よりも少し安くなります。
しかし、人気の物件の場合は、さほど影響がありません。
- Q境界が未確定でも売れますか?
- A
売れるケースはあります。
確定測量をしてから売る方法もあれば、境界非明示や現況で価格調整して売る方法もあります。ただし、説明不足のまま進めるのは危険です。
- Q古家は解体したほうがいいですか?
- A
必ずしもそうではありません。
解体費用が高い地域では、古家付き土地のまま売るほうが手残りがよいこともあります。建物の状態や買主層を見て判断しましょう。
- Q土地の免責についての特約文は?
- A
本契約書第◯条(契約不適合による修補請求等)および第◯条(設備の引渡し・修復)の定めにかかわらず、売主は、買主に対し、本契約にかかる一切の契約不適合責任、および設備の修補責任を負わないものします。
したがって、買主は、本物件が品質に関して契約の内容に適合しないことを理由として、補修の請求、または本契約の解除をできません。
上記の文章に加えて、「境界の非明示」「地中埋設物について」説明も細かく記載します。
- Q免責なら告知書は不要ですか?
- A
必要です。
売主しか分からない事項を共有し、トラブルを防ぐ役割があるため、免責で売るときほど丁寧に作成したほうが安全です。
- Q売主が不動産会社でも完全免責にできますか?
- A
売主が宅建業者で、買主が一般消費者の場合は、買主に不利な特約は宅建業法で制限されます。
引渡しから2年以上とする特約を除き、民法より不利な内容は無効です。
まとめ|相続土地は「正しく免責」するのが大切

- 契約不適合責任を免責にして土地を売ること自体は可能
- ただし、知っていることを隠すと免責は機能しない
- 境界・埋設物・古家の状態などは事前整理が重要
- 告知書・契約書・重要事項説明の整合性がトラブル回避のカギ
- 相続不動産は、仲介だけでなく買取も有力な選択肢

相続した土地には、売主自身も把握していないリスクが潜んでいることがあります。
だからこそ、自己判断で進めるより、売却条件の設計に慣れた不動産会社へ早めに相談することが大切です。
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