不動産売買契約書とは、不動産(土地・建物など)を売買する際に、
売主と買主が締結する契約書です。

不動産売買契約には
「24の不動産売買契約条項」があり、
今回は第12条印紙代の負担
について解説します。
印紙代の負担について解説
第12条「印紙代の負担」
売主及び買主は、各自が保有するこの契約書にその負担において法令所定の印紙を貼付する。
<やさしく翻訳>
売主と買主は、売買契約書に貼付する印紙を用意しましょう。
印紙代はいくら?
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
10万円を超え 50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え 100万円以下のもの | 1千円 | 500円 |
100万円を超え 500万円以下のもの | 2千円 | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 1万円 | 5千円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え 10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え 50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |

記載金額が10万円を超えるもので、
平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に
作成されるものは軽減税率の対象です。
不動産価格は1000万円~5000万円の物件が多いため、
1万円を貼付するケースが多いです。
印紙代の負担は誰?
売買契約書は
・売主1通
・買主1通
それぞれ作成され、1通ずつ保有します。
※条文通りの場合

例えば2500万円の物件なら、
それぞれ1万円を負担し、
契約書に貼付します。

印紙代節約したいから、
契約書1枚だけで、
私はコピーじゃダメ?

可能です。
ちなみに、印紙税法では、
1枚の契約書だとしても、
売主買主が双方で負担します。
つまり、5000円×2人です。
実際の印紙代負担はどうなの?
大手パワービルダーの建売住宅の場合は、
100%買主負担になるケースが多いです。

売主は年間1万世帯以上、建売を売却します。
仮に双方負担で5000円だとすると、
5千万円以上かかります。
そこで住宅ローンを利用する消費者に印紙代を負担してもらい、
買主はマスター、売主業者はコピーをし、
経費を削減させます。
→売主コピー・買主原本保管といいます。

なるほど!
印紙もコピーするの?

コピーには貼付しません。
税法上は印紙税の脱税行為
ではありません。
また、個人間でも、コピー方法のケースもあれば、
「自分も負担するから」と売主様もご負担いただき、
2通作成するケースもあります。

コピーが裁判で不利?という情報を耳にしましたが、
不利になった判例が見当たりません。
もしご存じの方がいらっしゃいましたら、
メールいただけると幸いです。
印紙代負担の特約は?
売主買主双方の口約束では、後で水掛け論になります。
そのため、売買契約書の特約に記入が必要です。
本契約において、契約書の作成は1通のみとし、売主が写しを、買主が原本を保有するものとします。
※もしくは売主が原本を、買主が写しを
また、これに伴い、本契約書に貼付する印紙の費用については、
本契約書第◯条(印紙の負担区分)の定めにかかわらず、
原本を保有する買主の負担とします。
電子契約書なら印紙代0円?!
2022年5月には宅地建物取引業法が改正されました。
従来、書面契約が当たり前の重要事項説明・売買契約締結・媒介契約締結
が、電子交付が認められるようになりました。

印紙代1万円~2万円。
金消も電子契約なら2万円~3万円印紙代がかかります。
すべて電子契約にすれば、印紙代0円は
かなりお得といえます。
とはいえ、売主様がお年寄りでPCやスマホが使えない・・・
となると、不動産業者のIT化の道のりは険しいといえます。

紙とかコピーとか、
印紙だとか面倒よね!
消費税が含まれる場合は?
売主が消費税事業者で、
建物本体価格と消費税等相当額が記載されていた場合は、
以下の計算式になります。
売買代金-消費税等相当額=土地建物本体価額に対する印紙額
売主が個人、土地のみの売買は消費税がないため、
無関係です。
【売買契約(売主・一般消費者用)の24つの条項】
以下、お好きな条項をお選びください
第1条売買の目的物及び売買代金
第2条売買対象面積
第3条「手付金」の条項
第4条境界の明示
第5条売買代金の支払時期及びその方法
第6条所有権移転の時期
第7条「引渡し」
第8条所有権移転登記の申請
第9条物件状況の告知
第10条付帯設備の引渡し
第11条負担の消除
第12条印紙代の負担
第13条「公租・公課の負担」固定資産税等
第14条「収益の帰属・負担金の分担」
第15条「手付解除」
第16条引渡し前の滅失・毀損
第17条契約違反による解除
第18条反社会的勢力の排除
第19条融資利用の特約ついて
第20条契約不適合責任
第21条諸規約の継承
第22条協議事項
第23条「管轄の合意」管轄裁判所
第24条特約条項
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