不動産売買契約書とは、不動産(土地・建物など)を売買する際に、
売主と買主が締結する契約書です。

不動産売買契約には
「24の不動産売買契約条項」があり、
今回は第17条契約違反による解除
について解説します。
契約違反による解除について解説
第17条「契約違反による解除」
売主又は買主は、相手方がこの契約に定める債務を履行しないとき、
自己の債務の履行を提供し、かつ、相当の期間を定めて催告したうえ、
この契約を解除することができる。2.前項の契約解除がなされた場合、
売主又は買主は、相手方に標記の違約金(F)を請求することができる。
ただし、債務の不履行がこの契約及び取引上の社会通念に照らして
相手方の責めに帰することができない事由によるものであるときは、
違約金の請求はできないものとする。3.前項の違約金に関しては、現に生じた損害額の多寡を問わず、
相手方に増減を請求することはできないものとする。4.違約金の支払いは、次のとおり、遅滞なくこれを行う。
① 売主の債務不履行により買主が解除したときは、
売主は、受領済の金員に違約金を付加した額を無利息で買主に支払う。② 買主の債務不履行により売主が解除したときは、
売主は、受領済の金員から違約金を控除した残額を無利息で買主に返還する。この場合において、違約金の額が支払済の金員を上回るときは、買主は、売主にその差額を支払うものとする。5.買主が本物件の所有権移転登記を受け、
又は本物件の引渡しを受けているときは、前項の支払いを受けるのと引換えに、その登記の抹消登記手続き、又は本物件の返還をしなければならない。6.本条の規定は、第20条に定める
契約不適合による契約の解除には適用されないものとする。
<やさしく翻訳>
売主・買主が相手が債務を履行をしないとき、
自分の債務を履行を提供し、期間を決めて「債務を履行して!」と
内容証明を送った上で、契約解除できます。
2.契約解除すると、相手に違約金を請求できる
ただし、債務不履行の理由が、相手に落ち度や過失がない理由なら
違約金は請求できない。
→交通事故・ケガで長期入院など
3.違約金が決められた金額から増やしたり、減らせない
4.違約金は以下の通り、遅れなく払う
①売主が物件を引き渡さなくて、買主が解除したら、
売主は「手付金 + 違約金」を買主に無利息で支払う。
②買主が代金を支払わなくて、、売主が解除したら、
買主は「違約金 ― 手付金」を売主に無利息で支払う。
5.買主が所有権移転登記を受ける、又は引き渡しを受けたときは
売主に一部支払ったお金と引き換えに、抵当権を解除する又は、物件を返還する
6.契約不適合の契約解除とは関係なし
契約解除の3つの条件
①契約違反の事実があること
②同時履行をしない違反あること
③内容証明で催告すること

なんか難しそう・・・
①違反の事実って?

売主は「期日に物件を引き渡さない」
買主は「代金を支払わない」
要は、商品を渡さない、金払わない
ってことです。
加えて、売主の場合は抵当権抹消が必要です。
引き渡し日に抹消書類がないと、抹消登記できず、
決済が流れます。

じゃあ
②の同時履行の違反って?

履行=実際に行うこと
例えば、コンビニで
①缶コーヒーを渡す
②代金の支払い
同時に履行しますよね?
不動産で言うと、残代金の支払いと、所有権移転登記は
同日に行う必要があります。※抵当権抹消もあれば

催告は?

催告は「債務の履行」を請求する意思の通知です。
要は「金払え!」「物件引き渡せ!」
の書類を相手に送ります。
催告の文章は「内容証明」と言います。
内容証明は文書の内容や送付日などを証明する制度で、内容証明郵便」といいます。
後になって、「催告の書類なんて届いていない!」
「書類は届いたが、中身は何も入っていなかった!」
と言い逃れできないようにします。

郵便局が
①配達記録あり
②手紙の内容を確認し証明する
ために、相手は言い逃れができません。
内容証明料は手紙が1枚の時は480円、
2枚目以降は1枚につき290円プラスかかります。
司法書士・弁護士さんに書類作成&郵送をお願いしましょう。
※契約解除&違約金請求のため、弁護士案件です。
※60万円以下なら少額訴訟もあり
同時履行の成立に注意
決済日の1週間前に仲介業者から
「買主さんから支払いが難しい」と連絡があった、とします。

じゃあ、すぐに内容証明送るの?

いいえ。まだ送れません。
売主は決済日に必要書類を用意して、
銀行などで待機しましょう。
その段階で支払えない、と確定したら
内容証明を送りましょう。
同時履行は決済&引き渡し日に
①買主はお金を準備
②売主は権利書など書類を準備
することが条件です。
決済日より前に「支払えない」と言ってきても、
当時は支払いができるかもしれません。
「物件が引き渡せない」と1週間前に申告してきても、
当時は物件を引き渡せるかもしれません。
仲介業者にアドバイスをもらいながら、作業を進めていきましょう。
書類の準備や抵当権抹消のミスは?
準備書類を間違えた
売主が抵当権抹消手続きを忘れた
といった、ミスはたまにあります。
※お年寄りに多いようですね・・・

個人間売買の場合は、
別日に仕切り直しになる
ケースが多いです。
債務の不履行がこの契約及び取引上の社会通念に照らして
相手方の責めに帰することができない事由によるものであるときは、
違約金の請求はできないものとする。
・・・と言いたいところですが、
相手(売主・買主)が不動産業者の場合は、
契約違反による解除&内容証明を翌日に送ってくるかもしれません。

こ、怖い・・・

違約金が20%なら、
例えば3000万円の物件なら600万円です。
違約を狙った業者も一部いるようですね。
最終的には民事裁判になり、司法の判断にゆだねます。
相手がプロの業者の場合は、書類など間違わないようにしましょう。
違約金は増やせない&減らせない?
3000万円の不動産で例えば違約金20%(600万円)とします。
例えば、
①損害額が800万円でたから、200万円アップしろ!
②損害額が200万円なら、400万円値下げしろ!
売買契約書は売主&買主双方の合意のもと作成されます。
違約金は損失の大小にかかわらず、変更できません。

違約金っていくらが一般的?

10%~20%あたりです。
物件価格5000万円くらいまでは20%で
高額物件になるほど10%に近づきます。
※個人間は最大20%まで
違約金が安すぎると、売買が軽くなるため、
大きめに設定することで、売買解除の抑止力になります。
【売買契約(売主・一般消費者用)の24つの条項】
以下、お好きな条項をお選びください
第1条売買の目的物及び売買代金
第2条売買対象面積
第3条「手付金」の条項
第4条境界の明示
第5条売買代金の支払時期及びその方法
第6条所有権移転の時期
第7条「引渡し」
第8条所有権移転登記の申請
第9条物件状況の告知
第10条付帯設備の引渡し
第11条負担の消除
第12条印紙代の負担
第13条「公租・公課の負担」固定資産税等
第14条「収益の帰属・負担金の分担」
第15条「手付解除」
第16条引渡し前の滅失・毀損
第17条契約違反による解除
第18条反社会的勢力の排除
第19条融資利用の特約ついて
第20条契約不適合責任
第21条諸規約の継承
第22条協議事項
第23条「管轄の合意」管轄裁判所
第24条特約条項
コメント