不動産売買契約書とは、不動産(土地・建物など)を売買する際に、
売主と買主が締結する契約書です。

不動産売買契約には
「24の不動産売買契約条項」があり、
今回は第15条「手付解除」
について解説します。
「手付解除」について解説
第15条「手付解除」
売主は、買主に受領済の手付金の倍額を現実に提供して、
又買主は、売主に支払済の手付金を放棄して、
それぞれこの契約を解除することができる。
2.前項による解除は、
下記の事項のいずれかが早く到来したとき以降はできないものとする。
① 相手方がこの契約の履行に着手したとき
② 標記の期限(E)を経過したとき
<やさしく翻訳>
売主は、買主からもらった手付金の倍額を払い、
逆に買主は、支払った手付金を放棄して、契約を解除できる
<①②のどちらかが早く到来すると解除できない>
①相手が履行に着手した
②手付金の解除期間を経過した
手付金の解除の例
例えば、手付金が100万だとします。
買主が売買契約後に
「買うのやめた!」→手付金は戻らない
売主が売買契約後に
「売るのやめた!」→手付金×2倍を支払う

売主の場合、倍返しとも言います。
手付金100万円を返金し、
もう100万円を支払います。

100万円失うって・・・
どうして手付解約するの?
<買主の手付解約理由>
・物件がやはり気に入らない
・親に反対された
・会社を解雇された
・離婚した
・あてにしていた資金援助が無くなった
<売主の手付解約理由>
・高く買ってくれる人が登場した
・住み替えをやめた
・会社を解雇された

なるほど・・
ちなみに、手付解約期間が過ぎると
どうなるの?

違約解約になるおそれがあります。
契約の履行に着手したとき
履行とは(約束などを)実際に行うこと。
では、履行に着手したときとは?
<売主側の履行の着手>
・買主がリフォーム希望で建築材料を発注する
・注文住宅の建築で着工する
・保存登記をする
・引き渡し日に、物件の所有権を引渡す
・所有権移転登記をする
・抵当権を抹消し、金融機関の借金を完済する
<買主側の履行の着手>
・内金や中間金を支払う
・引っ越し業者との契約をする
・決済当日、代金を準備し、売主に引き渡しを催告する
・住み替えで、旧居を売却する
相手が履行の着手を行うと、手付解約ができず、
違約解約になります。

履行の着手って
誰が判断するの?

司法に判断を委ねます。
ただし、判例がある場合は別。
例えば新築建売の保存登記は
違約解約の判例があります。
その場合は、素直に違約金を払うほうが
良い、といえます。
手付解除の期限設定は?
手付解除の期限は、売主と買主の合意によって決めます。
<手付解除の期限の決め方は?>
結論、契約日~決済日までの期間によって異なります。
□期間が1か月以内なら、残代金決済日の1週間前から10日前ほど
例:売買契約日:6月13日 決済日:7月15日
→手付解除期限は6月23日
□期間が3か月なら、残代金決済日の1か月ほどほど
例:売買契約日:6月13日 決済日:9月10日
→手付解除期限は7月13日

売買日~決済日まで1.5カ月くらいなら
よいですが、
3か月以上先となると、手付解除のリスクがあります。
手付金の金額&期間の設定は慎重に。
【売買契約(売主・一般消費者用)の24つの条項】
以下、お好きな条項をお選びください
第1条売買の目的物及び売買代金
第2条売買対象面積
第3条「手付金」の条項
第4条境界の明示
第5条売買代金の支払時期及びその方法
第6条所有権移転の時期
第7条「引渡し」
第8条所有権移転登記の申請
第9条物件状況の告知
第10条付帯設備の引渡し
第11条負担の消除
第12条印紙代の負担
第13条「公租・公課の負担」固定資産税等
第14条「収益の帰属・負担金の分担」
第15条「手付解除」
第16条引渡し前の滅失・毀損
第17条契約違反による解除
第18条反社会的勢力の排除
第19条融資利用の特約ついて
第20条契約不適合責任
第21条諸規約の継承
第22条協議事項
第23条「管轄の合意」管轄裁判所
第24条特約条項
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