結論:境界非明示・現況有姿・公簿売買は可能
結論からいうと、境界非明示・現況有姿・公簿売買を組み合わせた不動産売買は可能です。
ただし、「公簿売買だから境界を明示しなくてよい」という意味ではありません。
- 境界非明示:隣地との境界を売主が明示しない契約条件
- 現況有姿:建物・土地を契約時の現状のまま引き渡す条件
- 公簿売買:登記簿上の面積を基準に売買代金を決め、実測面積との差額を原則として精算しない売買方式
つまり、この3つはそれぞれ意味が異なります。
特に注意したいのが、公簿売買と境界明示は別問題という点です。
土地を境界非明示で売却する場合は、「何を明示しないのか」「何を買主が了承するのか」「既知の越境や境界トラブルをどう告知するのか」を契約書・重要事項説明書等で具体的に整理することが重要です。

戸建と土地を購入する時、
境界非明示で公募売買ってヤバイ?

投資用のアパートの場合は、
①境界非明示②現況有姿③公簿売買
はよくあります。
ですが、戸建&土地の場合は、
①境界非明示は注意が必要です。
今回は、住居用の戸建て&土地の
境界非明示について解説します。
境界明示・境界非明示とは?
境界明示とは、土地売買で買主に対し、
境界を明示することが義務付けられています。
ちなみに「明示」とは明らかに示すこと。はっきり示すこと。
境界の明示を行わず土地を売却すると、
債務不履行となり損害賠償責任が売主に発生する場合がある

義務ってことは
強制ってこと?

境界明示は義務です。
しかし、売買契約の特約で
非明示にできます。
【境界の明示を省略】
買主は本物件土地に関し、売主が境界の明示を省略することを承諾の上、
買い受けるものとし、将来本物件土地の面積、形状等に変化、
差異が生じても、買主は売主に対して何らの異議を申し立てない。
※不動産契約 特約雛形DBより参照
境界明示はいつまでに行う?
境界明示は残代金支払日(引き渡し日)までに、
現地で境界標を指示して境界を明示します。

明示ってなにするの?

①境界標の指差し、
ない場合は復元
②写真撮影
などが一般的です。
境界標がない(道路工事・イタズラで紛失)とき、
売主は境界標を設置(復元など)して境界を明示します。
※ちなみに、道路(私道含む)と土地との境界は、境界標は省略できます。
確定測量をするか、時間や予算関係上難しい場合は
境界標を復元や設置しましょう。
法務局に保管された「地積測量図」を見ながら、
現地の境界標を確認し、復元しましょう。
境界非明示のメリット・デメリットは

| メリット | デメリット |
| ・費用がかからない ・手間がかからない | ・引き渡し後、 隣人とのトラブルの可能性を含む ・売却しづらい ※安くなる |
境界非明示について売買契約書に特約を入れ、
売主・買主双方が同意すれば、費用がかからず、
手間がかかりません。
しかし、隣人とのトラブル可能性があり、
土地・建物を売却する際、売りづらくなります。

投資用のアパートはよくあるため、
さほど気にせず問題ありません。
しかし、戸建・土地の場合は、
購入者から見ると、買い控えにつながる
ケースもあります
境界非明示の具体的なケースは?

どうして非明示
になるの?
①田舎の相続案件
都心に住む相続人が実家や土地を相続し、
売却する際「立ち合いとか面倒」と境界非明示で
売却するケースがあります。
※旧耐震の空き家などで多いです。
→古家付き土地(空き家)を高く売るなら!仲介VS買取
②お隣の連絡がつかない(立ち合い不可)
お隣が更地で、登記名義人に連絡がつかない。
または、相続登記が未了で、相続人が行方不明など
境界確認ができないため「境界非明示」となります。
③立ち合いを拒否された
土地家屋調査士に交渉を委ねます。
お隣さんと険悪な仲だったり、
立ち合い拒否をされた場合、
境界非明示になるケースがあります。

境界確認の立ち合いは義務でなく
任意です。
イヤがある人を無理やり立ち会わせる
わけにはいきません。
公簿売買とは?境界非明示とは別の話
公簿売買とは、登記簿に記載された土地面積を基準として売買代金を決め、後から実測した面積との差について、原則として売買代金の精算を行わない契約方式です。
一方「境界非明示」は、隣地との境界について、売主が買主に境界を明示することを省略する契約条件を指します。

したがって、公簿売買=境界非明示ではありません。
例えば、
「登記簿面積100㎡で公簿売買とする。ただし、売主は引渡しまでに現地の境界を明示する」
という契約も可能です。
反対に、「登記簿面積100㎡を基準に公簿売買とし、さらに境界の明示も省略する」という契約も考えられます。
このように、「面積の精算方法」と「境界を明示するかどうか」は分けて考える必要があります。
現況有姿とは?境界問題まで免責する意味ではない
現況有姿とは、簡単にいえば、売買契約時の土地・建物の現状を前提として引き渡すことです。
ただし、「現況有姿」と記載すれば、売主が把握しているすべての問題について責任を負わなくてよくなるわけではありません。
例えば、
- 隣地との境界について紛争がある
- ブロック塀が越境している
- 建物の一部が隣地に越境している
- 過去に境界について隣地と協議した
- 登記面積と実際の面積が大きく異なることを知っている
- 建物や土地について重要な不具合を把握している
といった事情がある場合は、単に「現況有姿」と記載するだけではなく、買主に具体的な事実を説明し、契約内容として明確にしておくことが重要です。

現況有姿は「何でも売主免責」という意味ではありません。
現状有姿&契約不適合責任免責&球界非明示のセットで考えることをおすすめします。
境界非明示&契約不適合責任免責は危険?

相続空き家で、戸建・土地のことをもらった場合は、
売買契約の特約で
①境界非明示②契約不適合責任免責に
するケースはあります。

築40年の旧耐震戸建てで、
雨漏れ、水回りの修繕履歴がわからない。
隣地との境界もよくわからない・・・
となると、値下げして売却する方法が
ベストといえます。


境界非明示で売却する前のチェックリスト
境界非明示で売却する場合でも、次の資料・状況は事前に確認しておくことをおすすめします。
| 確認項目 | チェック内容 |
|---|---|
| 登記簿 | 地積・地目・所有者を確認 |
| 公図 | 隣接地との位置関係を確認 |
| 地積測量図 | 過去に測量された記録があるか確認 |
| 境界標 | 現地に境界標が残っているか確認 |
| 越境 | 建物・塀・樹木・雨樋などを確認 |
| 境界トラブル | 隣地所有者との過去の協議を確認 |
| 面積 | 公簿面積と現況との大きな差がないか確認 |
| 物件状況報告書 | 売主が把握している問題を正確に記載 |
| 契約条項 | 境界非明示・公簿売買・契約不適合責任の範囲を確認 |
特に重要なのが、「知らない」のか「問題を把握しているが明示しない」のかを区別することです。

境界が不明確なこと自体と、境界について具体的なトラブルを把握していることは同じではありません。
売主が把握している重要な事実については、買主に説明したうえで契約条件を整理することが、後日のトラブル防止につながります。
【実務事例】相続した古家を境界非明示・公簿売買で検討したケース

<場所>群馬県沼田市
<売却理由>相続
<特約内容>
①契約不適合責任を免責
②境界明示を削除
③現状有姿
築50年以上の古家で、買主側にて残置物処理&解体し、埋設物まで免責としました。
※相続のため、境界や埋設物があるかなど不明
安価となりましたが、問題なく売買契約を済ませ、すでに引き渡し済みです。
よくあるQ&A

境界非明示について、よくある質問をまとめました。
Q:境界標が破損・移動する原因&対策は?
| 【原因】 | 【説明】 |
| 工事・造成時の誤撤去 | 建築工事や外構工事、道路工事などで、 重機がぶつかったり、掘削時に取り除かれるケース |
| 地盤の変動や自然災害 | 地震や地盤沈下、大雨による地盤のゆるみなどで、境界標が傾いたり埋もれたりケースあり |
| 悪意ある移動・破損 | まれに隣地トラブルや土地の拡張を狙った意図的な移動が行われることも。 ※法的には違法 ※近所の子供が剥がして、持ち帰った |
| 草刈りや清掃時の破損 | 草刈り機や刈払い中に、誤って境界標に接触して破損 特にプラスチック製は壊れやすい |
| 経年劣化 | 石やプラスチックの境界標は、 紫外線や風雨により劣化し、 風化して砕けたり割れるケーあり |
| 舗装や地形の変更 | 境界標がアスファルトで覆われる、 または整地によって位置が変わったように見える |
以下、対策方法について
| 【対処方法】 | 【内容】 |
| 土地家屋調査士に相談 | 元の位置を特定するため、 測量や登記簿との照合を依頼します。 |
| 境界復元登記を検討 | 破損や紛失が確定している場合は、 復元測量を行って正式に設置し 直せます。 |
| 隣地所有者との立ち会い | トラブル防止のため、隣地所有者と立ち会って設置するのがベストです。 |
| 破損・移動させた者の責任追及 | 意図的な破壊・移動が明らかであれば、 民事上の損害賠償請求や警察への相談も 視野に入れましょう。 |
Q:隣地と境界が越境している場合は?
<越境でよくあるパターン>
・家の樋が隣地上空を越境している
・ブロックが傾いて空中越境している
・敷地に木の枝が飛び出す
・電線電話線などの引込線が空中越境
越境している/されているケースがあります。

越境の場合は、
売買契約に特約をつけます。
→不動産売却を相談する
本物件東側隣地の建物の一部が越境している可能性がある為、
隣地と立会の結果、越境が確認された場合は、
売主は本物件引渡し期日までに
「越境建物の建て替え等の際には越境部分を収去する」等の内容の
「確認書」を隣地越境者より印鑑証明書添付にて取得し買主に引き渡すものとする。
隣地と越境部の確認書参照
本物件の北側隣接地(地番:○○番○)の○○氏所有の
建物の屋根の雨樋(幅約15cm・長さ6m)の一部が越境しております。
この越境物の
撤去については別添の覚書が売主と○○氏間で交わされています。
金龍ラーメンさんが、龍のしっぽが越境しており、
撤去されました。
Q:公簿売買にすれば、境界を明示しなくてもいい?
いいえ。公簿売買と境界明示は別の問題です。
公簿売買は、土地の面積や境界の確定方法に関する取引形態を指すものです。
売主の明示義務とは直接関係がなく明示義務は、
取引の種類や宅地建物取引業法(宅建業法)の適用範囲によって決まります。

公簿売買でも明示義務は必須です。
※特約で明示義務を外さない限り
Q:売主が境界を明示した部分が間違っていたら?
売主が「このブロックが境界だ」
と買主に引き渡した後
隣人が「ちがう、ここ境界だ」とトラブルになった場合
どうなるか?
この場合、契約不適合責任を追及されるケースがあります。
※引き渡し後に隣人から異議が出され、
実際の境界が異なることが判明すると、土地の品質が契約内容に適合しない(不適合)と見なされます。
※ただし、売主が知っていたかを証明する必要があります。
まとめ

<境界明示>
・境界明示が義務
※売買契約書の特約で非明示も可能
・「地積測量図」で境界標を復元
・道路・私道は立ち合い不要
・田舎の相続案件は境界非明示が多い
・投資用アパートは境界非明示が多い
境界非明示・現況有姿・公簿売買は、それぞれ意味が異なるため、セットで考えないことが重要です。
公簿売買とは、登記簿上の面積を基準に売買代金を決め、実測面積との差を原則として精算しない売買方式です。境界非明示とは、売主が買主に対して隣地との境界を明示することを省略する契約条件です。現況有姿とは、契約時の土地・建物の現状を前提として引き渡すことを意味します。
したがって、「公簿売買だから境界非明示になる」「現況有姿だから売主はすべて免責される」という理解は正しくありません。
境界非明示で売却する場合は、境界標・公図・地積測量図・越境・過去の境界トラブルなどを確認し、売主が把握している重要な事実を買主へ説明したうえで、契約条件を明確にすることが重要です。

確定測量がベスト。
しかし、現実的にそうはいかないため、
リヤマ不動産へ一度ご相談ください。



出典
国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」
一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)
「特定紛争案件検索システム」 民法




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